CCS – LBNL Collaborative Workshop(2014年4月10日、11日)

Date: April 10th (Thu) – 11th (Fri), 2014
Venue: International Workshop Room, Center for Computational Sciences, University of Tsukuba

DAY-1 (April 10th)

09:30-09:40 Welcome Address (Masayuki Umemura, CCS)
09:40-10:10 CCS Research Update (Masayuki Umemura, CCS)
10:10-10:40 LBNL Research Update (David Brown, LBNL)
10:40-11:10 HA-PACS/TCA: GPU direct communciation (Taisuke Boku, CCS)
11:10-11:30 Coffee Break
11:30-12:00 Simulating Hurricanes and Typhoons in a Global Climate Model: Results and Challenges (Michael Wehner, LBNL)
12:00-12:30 Overview for Urban Climate Study (Hiroyuki Kusaka, CCS)
12:30-14:00 Lunch Break
14:00-14:30 Lattice QCD Activities at CCS (Yoshinobu Kuramashi, CCS)
14:30-15:00 Large-scale Eigenvalue Calculations in Scientific Applications (Esmond Ng, LBNL)
15:00-15:30 A report on Feasibility Study on Future HPC Infrastructure (Mitsuhisa Sato, CCS)
15:30-15:50 Coffee Break
15:50-16:20 Dynamic Exascale Global Address Space Programming Environments (Costin Iancu, LBNL)
16:20-16:50 Research Activities of Astrophysics at CCS (Masao Mori, CCS)
16:50-17:20 The Lyman-alpha Forest in Cosmological Hydrodynamic Simulations (Casey Stark, LBNL)

We will have a welcome banquet from 19:00 on DAY-1, at Restaurant “Kisoji”. The restaurant is in walking distance with 15 min. from the hotel for LBNL guests.

DAY-2 (April 11th)

09:30-10:00 GPU-based acceleration of data mining algorithms (Toshiyuki Amagasa, CCS)
10:00-10:30 Analysis and Optimization of Gyrokinetic Toroidal Simulations on Emerging Multi- and Many-core Architectures (Khaled Ibrahim, LBNL)
10:30-11:00 Recent Activities of Biological Function Group for HA-PACS Project (Yasuteru Shigeta & Hiroaki Umeda, CCS)
11:00-11:20 Coffee Break
11:20-12:05 CCS-LBNL Researchers Only
Breakout Discussion for Research Collaboration (*)
Application-1, Application-2, HPC
12:05-12:35 CCS-LBNL Researchers Only
Plenary Discussion for Research Collaboration
12:35-12:45 Closing Remarks (Masayuki Umemura, CCS & David Brown, LBNL)

(*) Breakout discussion for research collaboration focuses on the topics and methods for future research collaboration between two organizations. To improve the efficiency of discussion, we will breakout into three groups: Application-1 (Fundamental Science and Numerical Analysis), Application-2 (Applied Science) and HPC (HPC Systems). The breakout discussion rooms are as follows:
Application-1: Meeting Room A
Application-2: Meeting Room C
HPC: International Workshop Room
After breakout discussion, we will gather at plenary room and summarize the future collaboration plan.

【受賞】青木愼也客員教授、石井理修准教授、石山智明研究員が平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受けました

平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、筑波大学計算科学研究センターの青木愼也客員教授・石井理修准教授が科学技術賞研究部門を、石山智明研究員が若手科学者賞を受賞しました。授賞式は4月15日(火)、文部科学省3階講堂にて行われます。

科学技術賞研究部門
「量子色力学の第一原理計算に基づく核力の研究」
初田哲男・理化学研究所仁科加速器研究センター主任研究員
青木愼也・京都大学基礎物理学研究所教授/筑波大学数理物質系(計算科学研究センター)客員教授
石井理修・筑波大学数理物質系(計算科学研究センター)准教授

若手科学者賞
「高精度大規模計算によるダークマター微細構造の研究」
石山智明・筑波大学計算科学研究センター研究員

賞の詳細、受賞理由等については文部科学省ホームページ
報道発表「平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について」(平成26年4月7日)
をご覧ください。受賞者一覧は最下部にPDFにて掲載されています。

必須アミノ酸「トレオニン」生合成の最終過程が明らかに-スーパーコンピュータで網羅的に反応経路を探索

掲載情報:QLifePro医療ニュース(3/26)

プレスリリース

2014年3月14日

国立大学法人 筑波大学
学校法人 大阪医科大学

[印刷用PDF 277KB]

必須アミノ酸「トレオニン」生合成の最終過程が明らかに
-スーパーコンピュータで網羅的に反応経路を探索

概要

筑波大学数理物質系の庄司光男助教と大阪医科大学総合教育講座の林 秀行教授らによる研究グループ(以下筑波大グループ)は、筑波大学計算科学研究センターのスーパーコンピュータ「T2K-Tsukuba」など※1を用いて「トレオニン」生合成の最終過程の反応経路を初めて解き明かしました。

トレオニンはヒトの体内で作り出すことができない必須アミノ酸です。植物や大部分の微生物はトレオニンを多段階の複雑な反応経路で合成しており、その最終過程では、トレオニン合成酵素による酵素反応が行われています。この反応には“生成物支援触媒”という特徴があり、生成物の1つであるリン酸イオンがトレオニン生成反応を飛躍的に増大させています。この特徴は実験的には証明されているのですが、実際にどのような経路で反応しているのかがわかっていませんでした。

トレオニン合成酵素が関わる複雑な反応機構を探るためには、スーパーコンピュータを用いた高精度量子力学計算法※2が有効です。筑波大グループは、高並列計算によって網羅的に反応中間体と反応経路の探索を行い、生成物支援触媒の仕組みを初めて明らかにしました。この研究成果は、国際論文誌「Journal of the American Chemical Society」ウエブ版に3月13日(現地時刻。日本時刻14日)付けで掲載されました。

1.背景

酵素は、生体内において生命現象に不可欠な化学反応を支えており、効率的に物質変換とエネルギー変換を行っています。また、様々な調節機構により情報伝達や反応制御を行っており、極めて洗練されたシステムを構築しています。このような酵素の仕組みを解明することは、生物学や化学だけではなく、農学、医薬品開発など多くの分野への応用が期待できるため極めて重要です。

多くの酵素反応のうち、加水分解酵素など比較的簡単な反応については解析が進み、電子レベルでの反応機構が議論されるようになっています。しかし、より複雑な酵素反応においてはまだその水準に達していません。

トレオニン合成酵素(ThrS:threonine synthase)は、トレオニン生合成の最終過程である ホスホホモセリンからトレオニンを生成する段階を触媒しています。ThrSの反応は実験的解明が進んでおり、多段階の位置特異的かつ立体選択的反応過程が含まれ、さらに反応副成物のリン酸イオンがその後の反応制御に関わる“生成物支援触媒”機構をもつことが明らかにされています※3。しかし、ThrSの反応には他に「補欠分子族」と呼ばれる分子が関わるため反応中間体の特定は難しく、これまでThrSの反応機構、とくに反応制御の分子メカニズムは明らかになっていませんでした。

2.研究手法と結果

酵素における反応機構を明らかにするには高精度量子力学計算法のひとつであるQM/MM法が有効です。しかし、トレオニン合成酵素反応では多くの不確定要素、たとえば活性中心におけるプロトン化状態、水素結合ネットワーク、水の存在様式などがあるため、理論計算による検証には非常に多くの計算と、それを現実的な時間で可能にする計算の高速化が必要とされていました。

筑波大グループはスーパーコンピュータ「T2K-Tsukuba」を用いて並列計算(256~1024並列)の効率化に取り組んだ結果、高速計算が実行できるようになりました。それにより、ThrSにおける反応特性決定過程に重要な反応におけるすべての反応中間体と反応経路について理論検証を行うことができました。トレオニン生成経路のCβ水酸化反応、Cαプロトン付加反応、イミノ基転移反応を明らかにし、副反応を抑えてトレオニン生成が特異的に進行することを説明しました。

計算により得られた自由エネルギーやUVスペクトルといった化学的性質は実験結果と非常に良く一致し、計算の妥当性が確認できました。さらに選択的なトレオニン生成が、リン酸イオンと生成物の間に作られる特定の水素結合によりもたらされていることを解明しました。

トレオニン合成酵素の計算モデル全系 反応が行われる場所の拡大図

図 左はトレオニン合成酵素の計算モデル全系。溶媒水(薄い紫)の中にトレオニン合成酵素が浮かぶ。右は反応が行われる場所の拡大図。重要な部分だけ、正確だが計算量が大きい量子力学計算を行い、それ以外は、正確さは欠けるが計算量が小さい古典力学計算を行う(QM/MM法)。

3.今後の期待

トレオニン合成酵素における生成物支援触媒の仕組みが明らかになったことで、酵素反応の学術的理解が進むのみならず、酵素や精密有機合成における効率的反応進行や主反応・副反応の制御に応用していく上で極めて重要な示唆を与えることができたと考えています。それにより、新薬開発への発展も期待されます。

また、スーパーコンピュータを利用することでリアリステックな計算モデルを用いることができ、実験結果と多くの対応がつけられるようになった点も極めて先進的です。今後はより多くの実験結果と比較検討していくことで、理論計算の正確さと理論的アプローチの有用性の向上に取り組みます。

近年、計算機性能は目覚ましく向上しています。計算科学的アプローチは、今後、より短時間でより膨大な探索を行うことが可能になります。生命現象が分子レベルで詳しく解明されていくのみならず、化学、材料、医療分野での革新的進展に貢献できると期待されます。

用語解説

※1 スーパーコンピュータ
主にT2K-Tsukubaを利用。ほかに筑波大学計算科学研究センターのHA-PACS、東京大学物性研究所のスーパーコンピュータ、東京大学情報基盤センターFX10を利用した。

※2 高精度量子力学計算法
原子の世界を支配する法則である量子力学を用いた計算法。計算モデル全体に適用すると計算量が膨大になるため、重要な中心部だけ量子力学計算を行い、それ以外は古典力学を用いたQuantum mechanics/ Molecular Mechanics(QM/MM)法が開発された。QM/MM法は、2013年ノーベル化学賞の受賞対象となった計算手法である。

※3 T. Murakawa, et. al, J. Biol. Chem., 286, 2274 (2011)

掲載論文

タイトル:A QM/MM study of the L-threonine formation reaction of threonine synthase: Implications into the mechanism of the reaction specificity
(タイトル和訳: トレオニン合成酵素におけるL-トレオニン生成反応のQM/MM計算-反応特異性の仕組みについて)

著者:Shoji, M.; Hanaoka, K.; Ujiie, Y.; Tanaka, W.; Kondo, D.; Umeda, H.; Kamoshida, Y.; Kayanuma, M.; Kamiya, K.; Shiraishi, K.; Machida, Y.; Murakawa, T.; Hayashi, H.,

掲載誌: the Journal of the American Chemical Society.

問い合わせ先

庄司光男(しょうじ・みつお)
筑波大学 数理物質系/計算科学研究センター 助教
E-mail:mshoji [at] ccs.tsukuba.ac.jp

林 秀行(はやし・ひでゆき)
大阪医科大学 総合教育講座化学教室 教授
E-mail:hayashi [at] art.osaka-med.ac.jp

報道担当:
筑波大学計算科学研究センター広報室
TEL:029-853-6260 FAX:029-853-6260
E-mail:pr [at] ccs.tsukuba.ac.jp

スーパーコンピュータ T2K-Tsukuba 運用終了

T2K-Tsukuba

計算科学研究センターが平成20年6月より運用を続けてきましたスーパーコンピュータT2K-Tsukubaは、5年9ヶ月の計画運用期間を満了し、平成26年2月28日に運用を終了しました。同システムは本センターがCP-PACS構築以来続けてきた、超並列型スーパーコンピュータによる大規模先進的計算科学の推進研究を、コモディティ技術をもって実現するべく導入された超並列PCクラスタです。

同システムは、当時最先端のquad-core processor(1つのCPUチップ内に4つのCPU core を内蔵)であるAMD社OpteronシリーズのBarcelona世代CPUをノード当たり4つ搭載し、16 coreで共有メモリを構築可能な先進的大規模PCクラスタでした。また、並列通信性能を大幅に増強するため、InfiniBand DDRリンクを4つ搭載し、演算性能と通信性能のバランスの取れた、汎用高性能計算用システムとして構築されました。総ノード数648台、総CPU core数10368基、総理論ピーク性能95TFLOPSで、平成20年6月時点のTOP500リストで日本国内第2位、同世界20位にランクされました。

さらに、同システムは筑波大学・東京大学・京都大学の三者間で結ばれた T2K Open Superomputer Alliance の下で、基本システム・アーキテクチャを共通のものとし、各サイトで開発されたプログラムコードの性能可搬性の実現、専用回線を使ったグリッド接続実験、さらにこの連携に基づく様々な計算機科学共同研究等、幅広い展開につながるマシンでもありました。

同システムは計算科学研究センターが展開する様々なスーパーコンピュータ共同利用プログラムである、学際共同利用プログラム、大規模一般利用プログラム、そして平成24年後半からは文部科学省が進めるHPCI (High Performance Computing Infrastructure) プログラムにおける共有リソースの一つとして、全国の様々な計算科学・計算工学・計算機科学の研究者に利用され、常に高い利用率で運用を続けました。

同システムの運用終了に際し、長期間に渡り同システムをご愛用頂きましたことを改めて感謝致します。T2K-Tsukuba が少しでも皆様の研究に貢献できたのであれば、大変嬉しく思います。ありがとうございました。

計算機システム運用委員会委員長
朴 泰祐

高校生がスーパーコンピュータを使って5×5魔方陣の全解を求めることに成功

掲載情報:日刊スポーツ/共同(2/28)朝日新聞(3/1)、茨城新聞(3/1)、読売新聞(3/2)、日経新聞(3/2)、東京新聞(3/2)

プレスリリース

平成26年2月28日

国立大学法人筑波大学

[印刷用PDF 496KB]

概要

筑波大学計算科学研究センターは、全国共同利用施設として、一般公募による「学際共同利用プログラム」※1を実施しています。平成25年度に、茨城県立並木中等教育学校4年次(高校1年)の杉﨑行優(すぎざき・ゆきまさ)君の申請が採択されました。杉﨑君は筑波大学計算科学研究センターの朴泰祐教授と共同研究を進めた結果、スーパーコンピュータ「T2K-Tsukuba」※2を使った並列計算により、5×5の魔方陣の全ての解を求めることに成功しました。
魔方陣とは、正方形のマス目に、縦・横・斜めの合計が同じになるよう数字を置いたものです。5×5の魔方陣の全解は2億7530万5224通りあることがすでにわかっています。杉﨑君は「枝刈り法」を改良した求解アルゴリズムを考案し、スパコンに並列計算させるためのプログラムを開発しました。朴教授は、並列データの収集や並列化に関する詳細なアドバイスを行いました。並列計算はT2K-Tsukubaの全648ノードのうち32ノードを使って行われ、最速で約2時間36分で全解を求めることができました。

1.魔方陣

魔方陣は、正方形の方陣(マス目)に、縦・横・斜めの和が同じになるよう数字を置いたものです。とくに、1からマス目の総数までの数字すべてを使ったものを指します。

魔方陣1 魔方陣2 魔方陣3
図1 魔方陣の例
マス目の数が3×3のとき、縦・横・斜めの和はすべて15になっており、解は対称のものを除くと1通りだけである。4×4では和は34で解は880通り、5×5では和は65で解は2億7530万5224通り(1970年代に発見)。6×6の解の総数はわかっていない。

2.スーパーコンピュータによる並列計算

(1) アルゴリズムの考案

魔方陣の求解は、すべての数字を「総当たり」で入れて正解かどうかを確かめていくのが基本です。しかし、たとえば5×5の場合、1列の和が65とわかっているため、1列の4マスまで埋まると残り1マスは自動的に求められ、これを総当たりから除くことができます。この考え方を「枝刈り法」といいます。
杉﨑君はこの枝刈り法をもとに、総当たりのマス目の数を25から14まで減らせることに気づきました(図2)。これは非常に重要で、総当たり数が14から15へたった1増えただけでも計算時間は数十倍になると見積もられています。今回は総当たりを14で行いましたが、これが最も少ないかどうかはわかりません。さらに減らせる可能性もあります。

image4
図2 枝刈り法をもとにした求解アルゴリズム
丸数字は総当たりで数字を入れる順番(1から25の数字そのものではない)、✓は自動的に求められるマスを表す。斜めのマスを優先的に埋めることで、自動的に求められるマスの個数をさらに増やすことができた。

(2) 並列プログラムの開発

並列型スーパーコンピュータのプログラミングでは、計算をいかに均等に各コアに振り分けるかが重要です。今回、5×5魔方陣の解を求めるにあたって、T2K-Tsukubaの512CPUコア(32ノード)を用いました。これは4.7TFLOPS(1秒間に4.7兆回の計算性能)に相当します。
魔方陣の解を求めるのに必要な計算を512コアに振り分けるために、マスタ・ワーカー方式を用いました。1コアをマスタに指定して全体の司令塔の役目を担わせます。それ以外の511コアはワーカーとしてマスタの指示に従って計算を行います。このとき、仕事の振り分け方が均等でないと、計算を早く終えてさぼっているコアが出てきてしまい、全体の計算時間が増えてしまいます。
実際の計算では、マスタがN番目(Nは0から14のいずれか)のマスまで総当たりをして、その後をワーカーに振り分け、各ワーカーはN+1番目のマスから総当たりを行います。このとき、Nの値が小さいとワーカーの「粒度」(仕事のバラつき)が大きくなってワーカーの計算時間にバラつきがでます(全体の計算時間は増える)。一方、Nの値が大きいと、粒度は小さくなってワーカーの計算時間が均等になっていきますが、マスタとワーカーの通信時間が増大するために、全体の計算時間はやはり増えてしまいます。以上のことから、Nには計算時間が最小になる最適な値が存在することになります。

3.結果

スーパーコンピュータT2K-Tsukubaを用いて並列計算を行い、5×5の魔方陣の全ての解2億7530万5224通りを求めることに成功しました。出力結果は約25GBになりました。
Nの値が3から8について計算を実行し、N=6のときに計算時間が最も短くなることがわかりました。5×5の魔方陣の全解を求めるのにかかった時間は約2時間36分でした(図3)。

図3
図3 N=3~8における実行時間
N=4~7の実行時間はわずかな差だが、N=6のときが最も短い。

また、N=3、6、8のときの各ワーカーの主要処理実行時間を調べたところ、N=3ではバラつきが大きく、N=6、8ではバラつきがほとんどないことがわかりました。また、同じくN=3、6、8のときの各ワーカーの総通信時間を調べ、N=3、6ではほぼ0時間、N=8では1時間以上かかったことが判明しました(図4)。

図4左 図4右
図4 各ワーカーの主要処理実行時間(左)と総通信時間(右)
主要処理実行時間は、N=3のときおよそ0時間から12時間とバラつきが大きかった。

4.今後の展望

筑波大学計算科学研究センターのスーパーコンピュータ「T2K-Tsukuba」は、2014年2月末で運用を終了します。2014年度からは、新たなスーパーコンピュータ「COMA」※3(こま)を導入し、「HA-PACS/TCA」との2台体制で、今後も学際共同利用プログラムを積極的に展開していきます。
杉﨑君と朴教授は引き続き、5×5魔方陣における並列計算の高速化を進めていきます。COMAの学際共同利用プログラム利用を目指して、アルゴリズムやプログラムの改良を行います。6×6魔方陣へのチャレンジは、現時点では不可能と判断しています。総当たり数を36から23まで減らすことができていますが、現在のプログラムでは150兆年かかると見積もられています。これはエクサスケールのスパコンでも54万年以上かかる計算で、事実上不可能です。

用語解説

※1 学際共同利用プログラム(平成26年度)
公募について(締切済) http://www.ccs.tsukuba.ac.jp/kyodoriyou/gakusai/koubo/

※2 スーパーコンピュータ「T2K-Tsukba」
2008年に稼働開始した648ノード、総演算性能95.4TFLOPS(1秒間に95.4兆回)の並列スーパーコンピュータシステム。筑波大、東大、京大の3機関で共通の仕様を用いているため「T2K」の名がついた。T2K-Tsukba は2014年2月末に運用を終了する。

※3 スーパーコンピュータ「COMA」
2014年度から導入されるメニーコア・スーパーコンピュータシステム。計算科学研究センターが開発してきたPACSシリーズの9代目(PACS-Ⅸ)。377ノードで総演算性能は960TFLOPS。そのうちCPU部分が151TFLOPS、61コアのメニーコアプロセッサ部分が809TFLOPS。

<問い合わせ先>
国立大学法人筑波大学 計算科学研究センター 広報室
TEL:029-853-6260 FAX:029-853-6260
E-mail:pr[at]ccs.tsukuba.ac.jp
※並木中等教育学校への直接の取材依頼はご遠慮ください。筑波大学計算科学研究センター広報室が窓口として対応いたします。

 

JAPAN-KOREA HPC WINTER SCHOOL

Date:
February 24th (Mon) – 27th (Thu), 2014

Venue:
International Workshop Room, Center for Computational Sciences, University of Tsukuba
1-1-1 Tennodai, Tsukubashi, Ibaraki 305-8577 Japan
http://www.ccs.tsukuba.ac.jp

Sponsored by:
Center for Computational Sciences, University of Tsukuba, Japan
National Institute of Supercomputing and Networking, Korea
IMG_1134


Agenda:

24th Feb.: SCHOOL DAY-1

09:00 – 10:30 Fundamentals on HPC and Parallel Processing
( Taisuke Boku, CCS )
10:45 – 12:15 Parallel Programming 1: OpenMP
( Mitsuhisa Sato, CCS )
14:15 – 15:45 Parallel Numerical Algorithm
( Hiroto Tadano, CCS )
16:00 – 17:30 Optimization 1: Computation Optimization
( Daisuke Takahashi, CCS )

25th Feb.: SCHOOL DAY-2

09:00 – 10:30 Parallel Programming 2: MPI
( Osamu Tatebe, CCS )
10:45 – 12:15 Parallel Processing Systems
( Yuetsu Kodama, CCS )
12:15 – 12:45 Site visit of HA-PACS
13:45 – 15:15 Optimization 2: Communication Optimization
( Osamu Tatebe, CCS )

26th Feb.: SCHOOL DAY-3 / MINI-WORKSHOP Part1

MINI-WORKSHOP Part1

09:00 – 10:30 Accelerated Computing 1: GPGPU Programming and Computing
( Hyungon Ryu, nVIDIA Korea )
10:45 – 12:15 Accelerated Computing 2: Many-core Processor Programming and Computing
( Hongsuk Yi, KISTI )
14:00 – 14:30 Phantom-GRAPE : high performance software library to accelerate N-body calculation with SIMD instruction set
( Kohji Yoshikawa, CCS )
14:30 – 15:30 Global Optimization by Conformational Space Annealing and its Applications to Biological Systems
(Jooyoung Lee, KIAS)
15:30 – 16:00 Understanding and control of quantum dynamics by pulsed lasers in an ultra-short time scale
( Tong Xiao-Min, CCS )
16:00 – 17:00 Developing a highly scalable molecular dynamics simulation program
( KwangJin Oh, KISTI )
17:00 – 17:30 Fock matrix preparation with GPGPU for fragment molecular orbital calculation
( Hiroaki Umeda, CCS )

27th Feb.: MINI-WORKSHOP Part2

09:00 – 09:30 Development of Block Krylov subspace methods for computing high accuracy solutions and their applications
( Hiroto Tadano, CCS )
09:30 – 10:30 EDISON: A Platform for Simulation based Learning of Computational Science and Engineering
( Ruth Lee, KISTI )
10:30 – 11:00 HA-PACS/TCA: Tightly Coupled Accelerators for Low-Latency Communication between GPUs
( Yuetsu Kodama, CCS )
11:00 – 11:30 KISTI application experiences with Intel Xeon Phi Coprocessor
( Hongsuk Yi, KISTI )

 

JAPAN-KOREA HPC WINTER SCHOOL(2014年2月24日-27日)

Date:
February 24th (Mon) – 27th (Thu), 2014

Venue:
International Workshop Room, Center for Computational Sciences, University of Tsukuba
1-1-1 Tennodai, Tsukubashi, Ibaraki 305-8577 Japan
http://www.ccs.tsukuba.ac.jp

Sponsored by:
Center for Computational Sciences, University of Tsukuba, Japan
National Institute of Supercomputing and Networking, Korea
IMG_1134


Agenda:

24th Feb.: SCHOOL DAY-1

09:00 – 10:30 Fundamentals on HPC and Parallel Processing
( Taisuke Boku, CCS )
10:45 – 12:15 Parallel Programming 1: OpenMP
( Mitsuhisa Sato, CCS )
14:15 – 15:45 Parallel Numerical Algorithm
( Hiroto Tadano, CCS )
16:00 – 17:30 Optimization 1: Computation Optimization
( Daisuke Takahashi, CCS )

25th Feb.: SCHOOL DAY-2

09:00 – 10:30 Parallel Programming 2: MPI
( Osamu Tatebe, CCS )
10:45 – 12:15 Parallel Processing Systems
( Yuetsu Kodama, CCS )
12:15 – 12:45 Site visit of HA-PACS
13:45 – 15:15 Optimization 2: Communication Optimization
( Osamu Tatebe, CCS )

26th Feb.: SCHOOL DAY-3 / MINI-WORKSHOP Part1

MINI-WORKSHOP Part1

09:00 – 10:30 Accelerated Computing 1: GPGPU Programming and Computing
( Hyungon Ryu, nVIDIA Korea )
10:45 – 12:15 Accelerated Computing 2: Many-core Processor Programming and Computing
( Hongsuk Yi, KISTI )
14:00 – 14:30 Phantom-GRAPE : high performance software library to accelerate N-body calculation with SIMD instruction set
( Kohji Yoshikawa, CCS )
14:30 – 15:30 Global Optimization by Conformational Space Annealing and its Applications to Biological Systems
(Jooyoung Lee, KIAS)
15:30 – 16:00 Understanding and control of quantum dynamics by pulsed lasers in an ultra-short time scale
( Tong Xiao-Min, CCS )
16:00 – 17:00 Developing a highly scalable molecular dynamics simulation program
( KwangJin Oh, KISTI )
17:00 – 17:30 Fock matrix preparation with GPGPU for fragment molecular orbital calculation
( Hiroaki Umeda, CCS )

27th Feb.: MINI-WORKSHOP Part2

09:00 – 09:30 Development of Block Krylov subspace methods for computing high accuracy solutions and their applications
( Hiroto Tadano, CCS )
09:30 – 10:30 EDISON: A Platform for Simulation based Learning of Computational Science and Engineering
( Ruth Lee, KISTI )
10:30 – 11:00 HA-PACS/TCA: Tightly Coupled Accelerators for Low-Latency Communication between GPUs
( Yuetsu Kodama, CCS )
11:00 – 11:30 KISTI application experiences with Intel Xeon Phi Coprocessor
( Hongsuk Yi, KISTI )

第97回計算科学コロキウムを2月24日(月)13:30より行います。

第97回計算科学コロキウムを、2月24日(月)に開催します。
多数のご来聴をお願い致します。

日時:2014年2月24日(月)13:30-15:00
場所:CCS 会議室A
Title: The Quest for Solving QCD: Simulating fundamental particle interactions on supercomputers
講師:Dr. Karl Jansen(NIC, DESY, Zeuthen)

abstract:
The strong interactions of elementary particles are described theoretically in the framework of Quantum Chromodynamics (QCD). The most promising way to solve QCD is given by numerical simulations using Monte Carlo Methods, in which the space-time continuum is replaced by a lattice. We shall demonstrate that since the invention of this approach by K. Wilson the conceptual, algorithmic and supercomputer developments have progressed so much that today realistic simulations of lattice-QCD become possible, bringing us close to a, at least, numerical solution of QCD. As one example, we will show results for the hadron spectrum. In addition, we will address the anomalous magnetic moment of the muon as a prime candidate for finding physics beyond the standard model.

世話人:金谷和至
素粒子理論研究室セミナーとの共同開催です。

筑波大学2013 BEST FACULTY MEMBER表彰式(2/12)

計算科学研究センター 素粒子物理学研究部門の石井理修准教授と、計算情報学研究部門データ基盤分野の北川博之教授が、筑波大学2013 BEST FACULTY MEMBERに選ばれました。

日 時:2月12日(火)15:00~17:00
場 所:筑波大学 大学会館ホール
式次第:15:00~15:30 表彰式
    15:30~17:00 表彰教員による講演

詳しくは大学ホームページをご覧ください。

教育部門で表彰を受ける北川博之教授
教育部門で表彰を受ける北川博之教授
講演を行う石井理修准教授
講演を行う石井理修准教授

宇川彰先生 筑波大学退職記念講演会とパーティーのご案内

拝啓

 永年にわたり筑波大学で素粒子物理学と計算科学を牽引し、大学運営と計算科学コミュニティー育成に多大な貢献をしてこられた宇川彰先生が、来る2014年3月末日をもって筑波大学を退職され、理化学研究所計算科学研究機構・副機構長に御栄転されることとなりました。そこで、退職記念講演会とパーティーを企画いたしましたので、ご案内申し上げます。
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記念講演会
 日時:2014年3月18日(火)14:00 開場、14:40~17:10
 場所:筑波大学会館ホール
    茨城県つくば市天王台 筑波大学 南地区 大学会館本館
    http://www.tsukuba.ac.jp/access/map_south.html

パーティー
 日時:2014年3月18日(火)18:00~21:00
 場所:オークラ フロンティア ホテル つくば アネックス1F
    昴・東の間
    茨城県つくば市吾妻1丁目1364-1  TEL.029-852-1112
    http://www.okura-tsukuba.co.jp
 会費:1万円(記念品代を含む)  当日会場にて

なお、準備の都合上、できるだけ3月10日(月)までに、ご出欠を電子メール等にて下記までお知らせいただきたいと存じます。

連絡先:〒305-8571 茨城県つくば市天王台1-1-1
筑波大学 数理物質系 物理学域 金谷和至
email: kanaya[at]ccs.tsukuba.ac.jp
fax: 029-853-4492

 宇川彰先生は、1977年に東京大学で博士号を取得され、コーネル大学原子核研究所、CERN、プリンストン大学物理学科のポスドク研究員、東京大学原子核研究所助教授を経て、1984年に筑波大学物理学系助教授に着任されました。1990年には教授に昇任され、1998年計算物理学研究センター長、2004年計算科学研究センター長を歴任されました。1994年には、「格子量子力学の大規模シミュレーションによる研究」により、仁科記念賞を、岩崎洋一先生、大川正典先生、福来正孝先生と共同受賞されました。その後、2007年からの学長特別補佐を経て、2009年4月に筑波大学副学長に就任され、2013年3月まで大学の運営に活躍されました。学外でも、スーパーコンピュータ「京」の開発と利活用をはじめとする計算科学全般の推進に向けて、文部科学省の多くの委員会委員や一般社団法人HPCIコンソーシアムの理事長を務められるなど、わが国における理学と計算科学の発展に尽力されました。

 記念講演会とパーティーは、先生の御退職にあたって、その御功績を称え、今後の一層の御活躍を願って、筑波大学の有志で企画いたしました。形式にはこだわらず、ご参加の皆さんに大いにご歓談いただく場にしたいと考えております。ぜひご参加いただき、私達と一緒に楽しんで下さいますよう、お願い申し上げます。

敬具

2014年2月
世話人一同  三明康郎、大田友一、梅村雅之、佐藤三久、朴泰祐、和田耕一、藏増嘉伸、石橋延幸、金信弘、金谷和至

計算科学研究センター 計算機システムT2K-Tsukubaログインサーバへの不正アクセスについて

計算科学研究センター 計算機システムT2K-Tsukubaログインサーバにおいて、外部から不正アクセスがあったことが、平成26年1月27日(月)に判明しました。

1月24日(金)、ログインサーバに一般ユーザアカウントを使って侵入が行われましたが、個人情報の流出など、他機関に波及するような被害が無いことは確認できています。また、T2K-Tsukubaスーパーコンピュータ本体への侵入もありません。判明後、ログインサーバ及びスパコン本体を停止し、原因を究明しています。

センターにおいては昨年11月より、T2K-Tsukubaログインノードから外部向けのsshアクセスポートを閉鎖しており、当ログインノードを踏み台とした被害拡大はありません。今回の事案につきましては、徹底的な原因究明の上、対策を講じていきます。

計算機ユーザならびに関係機関の皆様には、ご迷惑をお掛けしますことをおわび申し上げるとともに、問題解決に向け、ご協力をお願い申し上げる次第です。

平成26年2月7日

筑波大学 計算科学研究センター
センター長 梅村 雅之


システム・ログインサーバ及びスパコン本体を停止後、本インシデントの原因を究明の上、新たなセキュリティ強化の対策を講じて安全性を確認したのち、ユーザファイルの保全等のため、2月17日(月)14:30より運用を再開しましたが、予定していた運用期限を迎えましたので、2月28日17:00に本システムの運用を終了しました。

これまでの5年9ヶ月の長期に渡りT2K-Tsukubaを利用して頂きました多数の皆様に心よりお礼申し上げます。

平成26年3月4日

筑波大学 計算科学研究センター
センター長 梅村 雅之

問い合わせ先:
筑波大学計算科学研究センター広報室
TEL:029-853-6260(直通)、029-853-6487(センター事務)
Email:pr [at] ccs.tsukuba.ac.jp

エクサスケール時代の高性能計算システム

筑波大学計算科学研究センター ワークショップ
「エクサスケール時代の高性能計算システム」

 来年度より文部科学省による次世代スーパーコンピュータの開発計画が始まることになり、欧米でも次世代の計算システムとして Exascale Computing System の研究開発が始まろうとしています。Exascale Computing では、これまでの Petascale Computing に比べ、より一層のハードウェア/ソフトウェア/アプリケーションにおけるチャレンジが待っており、あらゆる面での Co-Design が求められます。このための様々な試みや共同研究が始まっており、今後5年程度を目処にシステムの実現を目指す研究が活性化されるものと期待されます。
 このような背景の下、筑波大学計算科学研究センターでは米国 Oak Ridge National Laboratory の Dr. Jeffrey Allen Nichols をお招きし、Exascale Computing に関する講演をして頂くことになりました。併せて、米国クレイ社による次世代超並列システムのための相互結合網技術に関する講演、また本年4月より本センターで稼働開始予定の次期スーパーコンピュータ COMA:PACS-IX (Cluster of Many-core Architecture Processors) の概要に関する紹介を行います。
 本ワークショップはどなたでも無料で参加頂けます(事前参加登録をお願いします)。次世代計算システム技術の最新動向とコモディティ技術ベースによる最先端計算システムに関する情報及び意見交換の場として、多数の皆様のご参加をお待ちしております。

日時:
平成26年1月30日(木)10:30~12:30

場所:
筑波大学 計算科学研究センター 国際ワークショップ室

参加登録:
参加登録は終了しました。

プログラム:

(1) 10:30~11:30 “Toward EXA Flops Era”
Jeffrey Allen Nichols
(Associate Laboratory Director, Computing and Computational Sciences,
Oak Ridge National Lavatory)
(2) 11:30~12:00 “Next generation HPC technology, the cost and scalability of interconnects”
Steve Lyness
VP Solution Engineering, Cray Cluster System division.
Cray Inc.
(3) 12:00~12:30 “計算科学研究センター次期スーパーコンピュータ COMA:PACS-IX”
朴 泰祐
筑波大学計算科学研究センター 副センター長