宇宙物理研究部門

研究部門主任

Masayuki-Umemura

梅村 雅之(うめむらまさゆき) 筑波大学計算科学研究センター センター長

理学博士。1987年北海道大学大学院博士課程修了。1988年国立天文台助手。1993年筑波大学計算物理学研究センター助教授、2002年同教授。2004年から計算科学研究センター教授。専門は、理論宇宙物理学。特に宇宙輻射流体力学による宇宙第一世代天体形成、銀河形成の研究に従事。

メンバー

研究分野の概要

我々は、宇宙最初の星や銀河の誕生、それらが放つ光の特性、銀河・銀河団や大規模構造の形成進化、ブラックホールの形成進化と銀河中心核活動などを、基礎物理学から理解することを目指しています。そのために、解析的研究やスーパーコンピュータを利用した大規模数値シミュレーションを駆使して研究を行っています。

研究紹介

①分野の説明

 宇宙は、今から約138億年前に“ビッグバン”によって誕生したと考えられています。その後、宇宙は膨張を続け、灼熱の状態から徐々に温度と密度が下がってきました。宇宙に初めて水素原子が誕生したのはビッグバンから約38万年後(宇宙の晴れ上がり)です。その頃の宇宙の温度は約3000Kで、星や銀河はなく、10万分の1ほどのわずかな密度の濃淡があっただけであることがわかっています。

一方、最近になって、ビッグバンから6億年経った頃の宇宙に、生まれたての銀河がたくさん見つかってきました。これは、宇宙誕生後38万年から6億年の間に、宇宙が銀河形成という大きな変化を遂げたことを物語っています。しかしながら、どのように銀河が誕生したのかは謎に包まれています。
 その後、宇宙はさらに膨張と進化を続け、大規模な構造を作っていきます。このような銀河の形成と宇宙の進化は、宇宙に普遍的に存在すると考えられているダークマター (暗黒物質)が鍵を握っていると考えられています。

宇宙の歴史
図1 宇宙の歴史

②研究トピック

宇宙物理分野では、宇宙最初の星や銀河の誕生、それらが放つ光の特性、銀河や銀河団の形成進化、ブラックホールの形成進化と銀河中心核活動、そして星・惑星系形成などについて、基礎物理学から理解することを目指しています。研究の特色は、輻射輸送方程式や相対論的輻射流体力学方程式を扱うことにより、物質と光の相互作用を忠実に採り入れていることと、多成分多体からなる天体の形成進化において互いの重力の相互作用を忠実に採り入れていることです。研究手法としては、解析的研究やコンピュータでの演算をはじめとして、計算科学研究センターのスーパーコンピュータを利用した大規模数値シミュレーションを用いています。

③現在までの成果

図2は、宇宙最初に誕生した星の輝きが周辺環境に及ぼす影響を、世界初の高精度3次元輻射流体シミュレーションによって描き出し たものです。この研究により、星から発せられる強い紫外光によって周辺のガスの物理状態が変化していく様子が詳細にわかり、新たな星の誕生にどのように影響するかが明らかになりました。

Astrophysics_Fig3
図2 宇宙初期に誕生した星が周辺環境に及ぼす影響

図3は、今から約10億年前にアンドロメダ銀河で起こった銀河衝突のシミュレーションです。アンドロメダ銀河の約1/400の質量しかない小さな銀河が、アンドロメダ銀河の強い重力に捕まり、無残にもバラバラに引き裂かれる様子がスーパーコンピュータによるシミュレーションで明らかになりました。この小さな銀河の残骸は、約40万光年にも渡って夜空を流れる“アンドロメダの涙”を作り上げ、幾重にも重なる貝殻状の星の群れを生み出すことが示されました。

Astrophysics_Fig3
図3 アンドロメダ銀河で起こった銀河衝突のシミュレーション

関連リンク:宇宙物理理論研究室 FIRSTプロジェクト

(最終更新日:2017.3.14)