高性能計算システム運用開発室

コデザインによるスーパーコンピュータの開発と運用

室長 建部 修見 教授

高性能計算システム運用開発室では、素粒子物理研究部門、宇宙物理研究部門、原子核物理研究部門、量子物性研究部門、生命科学研究部門、地球環境研究部門、計算情報学研究部門のアプリケーションとのコデザインによりスーパコンピュータの設計、開発を行い、実際にセンターに導入し運用を行っています。スーパコンピュータの設計においては、単純に演算性能を向上させるだけではなく、アプリケーションの性能を向上させることが重要となります。従って、演算性能とメモリ性能、ネットワーク性能、ストレージ性能をバランスよく向上させることが必要になります。また、演算性能、メモリ性能を向上させるため、演算加速機構の利用が必須となってきていますが、その性能をフルに活用するためにはアプリケーション側の対応が必要となります。計算機側の発展とアプリケーション側の発展を同時に考慮し、コデザインすることにより、アプリケーションの性能向上をもたらし、計算科学、データ駆動科学、AI駆動科学の発展につながります。

2021年は、GPU/FPGA混載型のCygnusと、大規模メニーコア型のOakforest-PACSの運用を行っています。Cygnusは次世代計算システム開発室で研究開発がすすめられたGPUとFPGAを混載するアーキテクチャとなっています。FPGAは、GPUによる演算加速の補完に用いるだけではなく、FPGA間ネットワークによる高速ネットワークにも利用されています。これにより、宇宙物理研究部門で開発されているARGOTアプリケーションの演算加速が可能となりました。また、データ駆動科学、AI駆動科学の推進のため、不揮発性メモリを搭載した計算ノードによる強化システムも導入しました。今後、このシステムを用いて大規模データ解析、ビッグデータAIの研究開発を進めていきます。Oakforest-PACSは東京大学との最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)により運用を行っています。Oakforest-PACSは2016年に稼働を開始し、稼働当初は国内最高性能のスーパコンピュータでした。2021年度をもって運用を終了しますが、現在も国内4位の性能を誇り、多くの科学的成果を上げてきました。

   

Cygnus                                                            Oakforest-PACS

 

 

(最終更新日:2021.12.10)