記者会見「合体で巨大化するブラックホール」(6月13日、日本天文学会)

東日本大震災のために延期となっていた(社)日本天文学会・春季年会における記者会見が6月13日に国立天文台にて行われ、当センター所属の研究者が発表を行いました。

「合体で巨大化するブラックホール -高精度シミュレーションが解き明かす巨大ブラックホールの謎-」

記者会見出席者:
梅村雅之・筑波大学計算科学研究センター教授
谷川 衝・筑波大学計算科学研究センター研究員

概 要:
様々な銀河の中心部に巨大なブラックホールが観測されているが、まだその起源は明らかにされていない。標準銀河形成論では、多数の銀河の合体によって、より大きな銀河が生まれると考えられている。元の銀河がブラックホールを持っていれば、合体後の銀河の中に多数のブラックホールが浮かんでいることになるが、これでは観測事実を説明できない。我々は宇宙シミュレータFIRST(筑波大学)を用い、銀河内の多数のブラックホールについて、一般相対論の効果を入れた高精度重力計算を世界で初めて実現した。10個のブラックホールと50万個の星について、1億年にわたる進化を追跡した結果、ブラックホールが銀河の中心部で連続的な合体を起して巨大化することが明らかとなった。これは、銀河中心の巨大ブラックホールの起源を解き明かす上で、マイルストーンとなる発見である。この成果は、Astrophysical Journal Letters に掲載された。

研究の解説はこちらをご覧ください。

問い合わせ先:
梅村雅之 umemura[at] ccs.tsukuba.ac.jp([at]を@に変えてください)

メディア掲載情報

日本経済新聞(6/14)、毎日新聞(6/14)AstroArts(6/15)

研究紹介:地球環境研究部門紹介に火山灰拡散の動画を掲載しました

「火山灰追跡モデルPUFFを用いた2010年4月のアイスランド火山灰の輸送拡散数値実験」の動画(作成:邉見萌乃、天笠俊之、田中 博)を掲載しました。これは、2010 年4 月にアイスランド南部に位置するEyjafjallajokull (エイヤフィヤトラヨークトル)火山が噴火した際の火山灰の広がりを再現したものです。地球環境研究部門と計算情報学研究部門データ基盤分野の共同研究成果です。

動画はこちらからご覧いただけます。

アメリカからの計算資源提供について-素粒子理論研究者らの国際協力が実現-

プレスリリース

平成23年5月24日
国立大学法人 筑波大学
大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構

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概要

ポイント

○ 平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う電力不足により、各研究機関においてスーパーコンピュータの運用が今も制限されています。
○ このような状況の中、アメリカの素粒子理論研究者らで構成される「USQCD Collaboration*1」から日本の同分野の「格子場理論*2フォーラム」に対し、計算資源提供による国際協力の提案がありました。
○ この提案に対し両者間で調整を重ねた結果、今般合意に至り、5月19日からフェルミ国立加速器研究所(FNAL)トーマス・ジェファーソン国立加速器施設(Jefferson Lab)ブルックヘブン国立研究所(BNL)のスーパーコンピュータの利用を開始することとなりました。

概要

 日本の素粒子理論研究者らが構成する「格子場理論フォーラム」(代表:宇川 彰・筑波大学副学長・理事)は、アメリカの研究機関から計算資源(スーパーコンピュータ)の提供を受ける形での国際協力について、USQCD Collaboration(代表:Paul Mackenzie・フェルミ国立加速器研究所)と合意し、5月19日に利用を開始しました。国際協力が実現したのは、素粒子理論分野の中でも、計算機シミュレーションにより量子色力学*3(QCD:Quantum Chromodynamics)の研究を行う「格子QCD」のコミュニティです。

 2011年3月11日に起こった東日本大震災に伴う電力不足により、東日本にある研究機関のスーパーコンピュータの運用は大きく制限され、格子QCDの研究にも影響が出ています。そのような中、同分野の世界的な研究コミュニティの一員であり、従来は研究上の激しい競争相手でもあったUSQCD Collaborationから日本を支援する声があがりました。交渉を進めた結果、アメリカの3つの研究機関(FNAL・Jefferson Lab・BNL)が計算資源の一部を無償で提供する形で、国際協力が実現しました。

 格子場理論フォーラムは、FNAL、Jefferson Labに設置されたスーパーコンピュータのおよそ1割、22TFlopsを上回る計算資源を約半年間にわたり使用します。これは、当該研究コミュニティが従来使用していた計算資源のおよそ1割に相当する量です。その他BNLからも、計算資源の一部が提供されます。なお、日本側研究者は、インターネットを通じて日本からこれら米国研究機関のスーパーコンピュータを使用することとなります。
今回の協力実現は、格子QCDコミュニティの国際的な結びつきの強さを示すもので、日米の研究者らは、これを機に国際共同研究など研究上の協力関係が深まることを期待しています。

用語解説

*1 USQCD Collaboration:アメリカの格子QCD研究コミュニティの組織。研究計画の推進、計算資源の整備、配分等に関する協議を行っている。
USQCDウエブサイト http://www.usqcd.org/collaboration.html

*2 格子場理論:素粒子の基礎理論はゲージ場の理論と呼ばれる、空間のあらゆる点に物理的自由度をもつ理論を基にしている。連続空間を格子で近似し、自由度を格子点上に限定することで、理論について計算機シミュレーションを用いて解析することが可能になる。量子色力学の研究等で広く用いられている。同フォーラムは、これらについて討論している日本の格子QCD研究コミュニティ。

*3 量子色力学:自然界の4つの基本相互作用の一つ、「強い相互作用」の基礎理論。相互作用が強いという特質をもち、クォークの閉じ込めや自発的対称性の破れといった現象を起こす。理論計算が非常に難しく、スーパーコンピュータを用いた大規模シミュレーションによる計算で、その性質が研究されている。

参考

イギリスの工学・物理科学研究会議(EPSRC)からは、科学技術振興機構(JST)を通じて、震災の影響を受けた研究者への計算資源提供の申し出がなされ、ヨーロッパからも支援の声があがっています。

問い合わせ先

「格子場理論フォーラム」代表
宇川 彰(筑波大学副学長・理事)
青木慎也(筑波大学計算科学研究センター教授)
橋本省二(高エネルギー加速器研究機構教授)

<取材に関する窓口>
筑波大学計算科学研究センター広報室 吉戸智明
電話 029-853-6487 FAX 029-853-6406 E-mail:yoshito [at] ccs.tsukuba.ac.jp
筑波大学広報室
電話 029-853-2040 FAX 029-853-2014
高エネルギー加速器研究機構 広報室長 森田洋平
電話 029-879-6047 Fax 029-879-6049 E-mail:press [at] kek.jp

スーパーコンピュータがとらえたクォーク6個からなる粒子「H-ダイバリオン」

プレスリリース

2011年4月21日
学校法人日本大学
国立大学法人筑波大学

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概要

ポイント

・30年以上にわたり存在が確認できなかったクォーク6個からなる粒子「H-ダイバリオン」が、スーパーコンピュータを用いた大規模シミュレーションにより捉えられました。

・H-ダイバリオンの解明をきっかけに、天然には存在しない原子核の研究が進展すると期待されます。

・中性子星の内部構造や超新星爆発など宇宙の物理現象に関する新たな知見の獲得にもつながります。

概要

日本大学生物資源科学部の井上貴史助教、筑波大学計算科学研究センターの青木慎也教授、石井理修准教授、東京大学大学院理学系研究科の初田哲男教授をはじめとする研究グループ(HAL QCD Collaboration)は、クォーク6つからなる粒子「H-ダイバリオン」の解明への端緒を開きました。この成果は、筑波大学計算科学センターのスーパーコンピュータT2K-Tsukubaを用いた大規模数値シミュレーションによるものです。

H-ダイバリオンは、1977年にロバート・ヤッフェ博士により存在を予言された粒子です。ところが、長年の理論的研究や粒子加速器を用いた実験的探査にも関わらず、現在に至るまでその存在は確認できていません。H-ダイバリオンはクォーク6つがコンパクトにまとまった粒子で、通常の原子核とは全く異なった性質を持ちます。

研究グループは、クォークの基礎理論である量子色力学(QCD)を大規模数値シミュレーションで解く「格子QCD」という手法に、計算上の様々な困難を打破する独自の工夫を加えて、SU(3)極限とよばれる理想的状況におけるH-ダイバリオンの質量や空間的大きさなどを明らかにしました。

今回の研究は、H-ダイバリオンだけでなく、粒子加速器でしか作れないストレンジクォークやチャームクォークを含む新しい原子核の研究にもつながります。それらは、中性子星の内部構造や超新星爆発を理解する鍵となるだけでなく、茨城県東海村で稼働を始めた大強度陽子加速器施設J-PARC における実験的研究とも密接に関係しています。

この研究成果は、米国物理学会の『フィジカル・レビュー・レター』誌2011 年4月22日号およびオンライン版(4月20日更新)に掲載されます。また、本研究は4月22日号のハイライトに選定されました。冒頭に、エディターによる概要が掲載されます。

1.背景

原子核を構成する陽子や中性子を総称してバリオン1とよびます。1964年、マレー・ゲルマン博士(1969年ノーベル物理学賞受賞)は、このバリオンが3つのクォーク2で構成されるとするクォーク模型を提唱しました。

さらに、小林 誠博士、益川敏英博士(2008年ノーベル物理学賞受賞)は、クォークが全部で6種類あることを予言しました。質量の軽い順に、アップ、ダウン、ストレンジ、チャーム、ボトム、トップとよびます。また、クォークを支配する理論は量子色力学3であることもわかりました。しかし、量子色力学は、クォーク間の相互作用を媒介するグルーオン4が互いに複雑な相互作用をするために、解くことが極めて難しく、バリオンの性質を理論的に導くことができませんでした。

そこで、量子色力学の重要な特徴を備えつつも扱いやすい理論を作り、バリオンなどの性質を調べる研究が盛んに行われました。これを有効模型といいます。1977年、ロバート・ヤッフェ博士は、バッグ模型とよばれる有効模型を用いて、6つのクォークがコンパクトにまとまった粒子が存在する可能性に気づきました(図1)。この粒子は2つのストレンジクォーク2を含みます。これは、バリオンの一種であるラムダ粒子2が2つあるのと同じ構成です。そのため、バリオン2つぶんという意味でH–ダイバリオンとよばれています。

H–ダイバリオンの存在には、クォークの持つ軌道、スピン、フレーバー2、カラーの自由度とフェルミ統計性5が本質的に重要です。他の有効模型を用いた研究からもその存在は示唆されています。H–ダイバリオンは、バリオンにもメソン6にも分類されない“エキゾチックな”ハドロン6で、存在が確定した場合の物理学へのインパクトは非常に大きなものです。そのため、粒子加速器を用いた探査実験が数多く行われましたが、残念ながら現在まで発見されていません。また、H–ダイバリオンが、有効模型から予想されるにすぎない粒子であるとして、その存在に否定的な研究者も少なくありませんでした。
h-dibaryon1

図1 バリオン、メソン、H-ダイバリオンの模式図。u:アップクォーク、d:ダウンクォーク、s:ストレンジクォーク。バー(-)は反クォークを、矢印(↑)はスピンを表している。

2.研究方法1:格子ゲージ理論と高性能スーパーコンピュータ

量子色力学の複雑な計算を可能にする方法として、ケン・ウィルソン博士(1982年ノーベル物理学賞受賞)により提唱されたのが、格子ゲージ理論7です。これは量子色力学を連続的な4次元時空間ではなく、離散的な4次元格子空間上に構築するもので、スーパーコンピュータを使った大規模数値シミュレーションに適しています。近年、陽子や中性子の質量の精密計算が、この手法で可能になりました。日本はアメリカやヨーロッパにならび、格子ゲージ理論研究を世界的にリードしています。特に筑波大学計算科学研究センターは、多くの世界的な研究成果をあげています。

今回、日本大学、筑波大学をはじめとする研究チームは、この格子ゲージ理論をバリオン2個、すなわちクォーク6個の系に適用し、8種類のバリオンの組み合わせやスピンによる相互作用の違いを調べ、同時にH–ダイバリオンの存在を探りました。数値シミュレーションの第一段階に必要な数値データについてはPACS-CS Collaboration*8の協力を得ると同時に、高性能スーパーコンピュータT2K-Tsukuba*9を用いることで、膨大な計算を実行しました。

3.研究方法2:従来にない独自の手法

従来は、格子ゲージ理論を用いたとしても、H–ダイバリオンの存在を判定することは困難でした。それは次の理由によります。
(a) クォーク6 個の伝播を計算すると、数値データがノイズで占められてしまう。
(b) クォーク6 個を格子空間に収めるために、極めて大きな空間体積が必要となる。
(c) 空間体積を大きくするとエネルギー固有状態10の分離が難しくなる。

この中で、(a)と(b)は計算時間の問題ですが、(c)は原理的な困難です。なぜなら、従来の方法では、さまざまな物理量はエネルギー固有状態を通して導かれていたからです。それに対し、我々は数値シミュレーションからバリオン同士にはたらく相互作用ポテンシャルを導き、そのポテンシャルを用いて物理量を計算するという独自の手法を用いました。この手法では空間体積を必要最小限に抑えることができ、かつ、エネルギー固有状態を分離する必要がないため、(b)と同時に原理的な困難(c)を解決することができました。

これに加えて、フレーバーSU(3)極限とよばれる理想的世界を調べたことも、H–ダイバリオンの存在を判定するのに役立ちました。SU(3)極限は、3種類のクォーク(アップ、ダウン、ストレンジ)の質量を共通に設定することで実現できます。現実世界からそれほどかけ離れてはいないこの極限では、H–ダイバリオンが現れるチャンネル11(フレーバー1重項チャンネル)があらかじめわかっているので、計算時間が大幅に少なくて済むのです。

4.主な結果

図2は、格子ゲージ理論の大規模数値シミュレーションで得られた結果の一例です。赤い点は、フレーバー1重項チャンネルのポテンシャルをさまざまな距離に対してプロットしています。ポテンシャルは距離によらず右上がりになっていることがわかります。右上がりは引き合う力を意味するので、このポテンシャルは、「どんなに近づいても引き合う力がはたらく」ことを表しています。

距離によらず右上がりのポテンシャルは、バリオンの世界ではこのチャンネルだけに見られる特別な性質です。他のチャンネル、たとえば陽子と中性子では、ポテンシャルは図3のように至近距離では右下がりになります。これは近づき過ぎると斥け合う力がはたらくことを意味し、「斥力芯」とよばれています。フレーバー1重項チャンネルには斥力芯が存在せず、逆に「引力芯」が存在しているのです。この近づいても引き合う性質から、2つのバリオンが1つに融合している可能性が予想されます。

計算結果をさらに詳細に調べることで、フレーバー1重項チャンネルでは、クォーク6つがコンパクトにまとまった粒子「H-ダイバリオン」が存在していることが明らかになりました。図2の緑の線は、数値シミュレーションで得られたポテンシャルから求めた波動関数12とよばれる量です。波動関数はバリオンの存在確率に関係する指標なので、この結果は2つのバリオンが非常に狭い領域に集まって存在していることを示しています。
h-dibaryon2

図2 フレーバー1重項のポテンシャル(赤い点)とH–ダイバリオンの波動関数(緑の線)。格子ゲージ理論とスーパーコンピュータを用いて、世界で初めて明らかになった。

h-dibaryon3

図3 図2と同じ手法で得られた陽子と中性子の間のポテンシャル。これは実験的に確認されている核力のさまざまな性質と、定性的に良く一致している。

5.意義

今回明らかになった、フレーバー1重項チャンネルにおける斥力芯の消失とH–ダイバリオンの存在は、クォークの持つスピン、フレーバー、カラーの自由度とフェルミ統計性を合わせると定性的に理解できます。今回の成果は、物質世界におけるクォークの重要性を端的に表しています。つまり、クォークはハドロンの中に閉じ込められていて単独では存在できないにもかかわらず、物質世界のあり方に大きな影響を及ぼしていることが、今回の研究成果で明らかにされたわけです。

また、ストレンジクォークを複数含む系では、斥力芯の消失やH-ダイバリオンの出現など、通常では見られない現象が起きることがわかりました。これらの事実は、より多くのストレンジクォークを含む中性子星13の中心部などを理解する上で重要な鍵となります。

今回は計算量を抑えるためSU(3)極限という理想的世界を調べましたが、その結果から、現実世界でも比較的長い寿命を持ったH–ダイバリオンが存在する可能性が強く推察されます。これは、茨城県東海村で稼働を始めた大強度陽子加速器施設J-PARC*14を用いた、今後のH–ダイバリオン探査実験やストレンジネス15核物理の理論的支柱を与えることにもなります。今後、我々は京速コンピュータ「京」16を用いてこの研究を継続し、現実世界におけるH–ダイバリオンの質量や寿命について詳細な計算を行う予定です。

6.論文

米国物理学会『フィジカル・レビュー・レター』誌4月22日号:
Takashi Inoue, Noriyoshi Ishii, Sinya Aoki, Takumi Doi, Tetsuo Hatsuda, Yoichi Ikeda, Keiko Murano, Hidekatsu Nemura, Kenji Sasaki, “Bound H-dibaryon in Flavor SU(3) Limit of Lattice QCD” Physical Review Letters (2011)

参考文献

基礎物理学研究所と日本物理学会『プログレス・オブ・セオレティカル・フィジクス』誌:
Takashi Inoue, Noriyoshi Ishii, Sinya Aoki, Takumi Doi, Tetsuo Hatsuda, Yoichi Ikeda, Keiko Murano, Hidekatsu Nemura, Kenji Sasaki “Baryon-Baryon Interactions in the Flavor SU(3) Limit from Full QCD Simulations on the Lattice” , Progress of Theoretical Physics, Vol. 124, No. 4, October 2010, pp.591-603

7.用語解説

*1 バリオン:3つのクォークから構成される粒子。陽子、中性子のほか、ラムダ粒子、デルタ粒子などがあります。

*2 クォーク:物質を構成する基本要素。軌道とスピンに加え6種類のフレーバー(アップ、ダウン、ストレンジ、チャーム、ボトム、トップ)と3種類のカラー(赤、青、緑)を持ちます。陽子はアップクォーク2つとダウンクォーク1つ、中性子はアップクォーク1つとダウンクォーク2つ、ラムダ粒子はアップクォーク、ダウンクォーク、ストレンジクォーク1つずつからなります。

*3 量子色力学(Quantum Chromodynamics):クォークおよび、クォーク間の相互作用を媒介するグルーオンを支配する基本理論。ゲージ理論の一種。南部陽一郎博士(2008 年ノーベル物理学賞受賞)がその原型を提唱しました。グロス博士、ウィルチェック博士、ポリツァー博士らが量子色力学の重要な性質である漸近自由性(高エネルギーになるほど相互作用が弱くなる現象)を理論的に発見し、2004年ノーベル物理学賞を受賞しました。

*4 グルーオン:クォーク間の強い相互作用を媒介します。グルーオン同士にも相互作用がはたらきます。

*5 フェルミ統計性:量子力学における粒子の統計的性質。フェルミ・ディラック統計とボーズ・アインシュタイン統計があり、クォークは前者に従います。フェルミ・ディラック統計には「2つの粒子は同一の状態を占められない」などの特徴があります。

*6 ハドロン:強い相互作用をする粒子の総称。バリオンやメソン(クォーク1つと反クォーク1つからなる粒子)がこれに含まれます。

*7 格子ゲージ理論:量子色力学などのゲージ理論を、時空に超立方格子を導入して定式化する理論。モンテカルロ法などを使ったゲージ理論の大規模数値シミュレーションに適しています。

*8 PACS-CS collaboration:筑波大学のスーパーコンピュータPACS-CSを利用して格子ゲージ理論の研究をするグループ。

*9 T2K-Tsukuba:筑波大学・東京大学・京都大学の3大学間で結ばれたT2Kオープンスーパーコンピュータ提携に基づき、2008年6月、筑波大学に導入された大規模PCクラスタ。2011年現在、国内トップクラスの性能を持ちます。

*10 エネルギー固有状態:量子力学においてエネルギーが定まった状態。

*11 チャンネル:散乱する2粒子の状態を、粒子の種類、合計スピン、相対軌道角運動量などで分類したときの呼称。

*12 波動関数:量子力学において粒子の波動的状態を表すのに用いられる関数。その絶対値二乗が粒子の存在確率を表します。

*13 中性子星:半径が約10 km、重さは太陽質量の1~2倍の高密度天体で、中心部は主として中性子やハイペロンの液体になっています。大質量星が超新星爆発を起こした後に残ると考えられています。

*14 J-PARC:高エネルギー加速器研究機構と日本原子力開発研究機構が共同で茨城県那珂郡東海村に建設した、大強度陽子加速器を中心とする施設。2009 年から稼働を開始し、理工学のさまざまな研究に使用されています。

*15 ストレンジネス:ストレンジクォークが持つフレーバー量子数。ストレンジクォークを含むバリオンをハイペロンとよび、ハイペロンを含む原子核はハイパー核とよばれます。

*16 京速コンピュータ「京」:理化学研究所を中心に開発が進められている次世代スーパーコンピュータシステム。

問合せ先

担当者:
日本大学生物資源科学部助教 井上貴史(Takashi Inoue)
筑波大学計算科学研究センター教授 青木慎也(Sinya Aoki)
筑波大学計算科学研究センター准教授 石井理修(Noriyoshi Ishii)

報道担当:
日本大学生物資源科学部庶務課
電話 0466-84-3800 FAX 0466-84-3805
筑波大学計算科学研究センター広報室
電話 029-853-6487 FAX 029-853-6406 E-MAIL:yoshito [at] ccs.tsukuba.ac.jp

今後のスーパーコンピュータ利用者に対する情報基盤センターからの利用支援について

電力需給逼迫に伴い、本センターのスーパーコンピュータ利用者は、中長期的に利用制限せざるえない可能性があります。これに呼応して、北海道大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の各情報基盤センターから可能な範囲での計算資源提供の申し出を頂いております。今後、利用者の皆様に具体的にどのように提供していくか検討した後、皆様にアナウンスする予定です。

この支援計画は、「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ (HPCI) 」構築の準備段階の活動として実施する予定です。

なお、5大学の計算資源提供の取り組みは、東北大学、東京大学、東京工業大学にも行われます。

2011年3月25日
計算科学研究センター長 佐藤三久

新たな分割型イントロンを寄生性真核生物ゲノムで発見 ―イントロンの切り出し機構を使って分断遺伝子を合体―

 プレスリリース
 

2011年2月11日
国立大学法人筑波大学

印刷用PDF[181KB]

概要

筑波大学計算科学研究センターの稲垣祐司准教授橋本哲男教授の研究グループは、Giardia intestinalisと呼ばれる寄生性真核生物が、分断された遺伝子コピーをタンパク質合成直前に結合させる「分割イントロン」領域を持つことを発見しました。この研究は金沢大学、ダルハウジー大学(カナダ)の協力を得て行われ、2011年2月10日発行の米論文誌『Current Biology』オンライン版で発表されました。

すべての生物は、ゲノムと呼ばれる生命活動を行うための設計図を持っています。ここには、生命活動に必要な道具であるタンパク質やRNAを作り出すための遺伝子と呼ばれる領域があります。イントロンは、我々ヒトを含む真核生物が遺伝子内に持っており、タンパク質合成において使用されない領域です。

今回、Giardia intestinalisがある種の遺伝子をイントロンごと断片化し、イントロン部分を“のりしろ”として断片化された遺伝子を完全なものに組み立てることがわかりました。このタイプのイントロンはヒトでは見つかっておらず、副作用の無い薬剤開発に役立つ可能性があります。

 

1.背景

我々ヒトを含めた真核生物のゲノムは核膜に覆われており、生物の「基本設計図」として多数の遺伝子と、遺伝子の調節領域を含みます。生物種ごとにゲノムの大きさや構造は多様ですが、真核生物ゲノムに共通する特徴の一つは、その遺伝子中にスプライセオソーマルイントロン(以下イントロンと記述する)が存在することです。

たとえば、ヒトでは全遺伝子の85%、陸上植物シロイズナズナでは79%がイントロンを含んでいることがわかっています。遺伝子からタンパク質が合成される過程で、遺伝子のDNA配列はまず伝達RNA(mRNA)と呼ばれる中間物質にコピーされます。この際、mRNA中のイントロンはスプライセオソームと呼ばれるRNA-タンパク質複合体により取り除かれ(スプライシング)、残りの領域(エキソン)が互いに結合することにより成熟したmRNAとなります(通常型、図1左)。mRNAはイントロンの除去などが行われた後、タンパク質合成に使用されます。一般に、真核生物の遺伝子には多数のイントロンが存在するので、遺伝子→mRNA→タンパク質という遺伝情報のスムーズな伝達のために、イントロンを効率的に除去しています。

最近、多数の真核生物種のゲノムが解析されています。この過程では遺伝子の種類や数をまず理解する必要がありますが、そのためには遺伝子中のイントロンを正確に同定しなければなりません。


図1 通常型イントロン(左)と分割イントロン(右)のスプライシング

2.研究手法

単細胞真核生物Giardia intestinalis(図2)は、ヒトなどの腸管内に寄生し、血便を伴わない激しい下痢症状を引き起こします。また、この生物が最も祖先的真核生物の一つであるとの説もあり、公衆衛生上だけでなく基礎生物学において極めて重要な生物です。

我々は、Giardiaのゲノムデータと網羅的発現RNAデータを比較することで、ゲノム中の極めて遠く離れた領域に分割してコードされているタンパク質遺伝子を同定しました。その断片化した遺伝子から発現したRNAに、標識したDNA断片(DNAプローブ)を結合させ、その大きさを調べました。また、RNAを一本鎖DNAに変換した後PCR増幅すること(逆転写PCR)で、目的遺伝子のRNA塩基配列や高次構造を推定しました。これらの実験は、金沢大およびダルハウジー大から提供された材料および情報をもとに、筑波大において行われました。


図2 Giardia intestinalis光学顕微鏡写真

3.研究成果

これまでGiardiaゲノム中にイントロンを探索した研究では、わずか4つのイントロンしか見つかっていません。このイントロン数は他の真核生物のイントロン数と比べ驚異的に少なく、イントロンと真核生物ゲノムの進化を考える上で非常に重要な生物といえます。

Giardiaゲノムでは、タンパク質の立体構造調整に関わる遺伝子(HSP90)および細胞運動に関わる遺伝子(OAD)が2つもしくは3つの断片に分断され、互いに離れた領域にコードされています。標識DNAプローブを用いて目的mRNAを調べた結果、この分割化された遺伝子断片は、まず未成熟mRNAとして別々にコピーされ、その後未成熟mRNAが正確な並び順で結合し、最終的に一つの成熟したmRNAとなることがわかりました(図1右)。

ではどのように2つの未成熟mRNAが成熟mRNAに結合されるのでしょうか。逆転写PCRにより、未成熟mRNA配列から除去される領域の塩基配列を決定したところ、これまで同定されたGiardiaの通常型イントロンと同じ配列モチーフがあることがわかりました。また、この領域の塩基配列には、結合すべき未成熟mRNA同士の特異的結合を補助する役割を持つと考えられる部位も存在しました。

また、未成熟mRNAから切り出された分割イントロンの構造を調べた結果、スプライセオソームにより削除されたイントロン断片に特異的な高次構造を取ることがわかりました。この実験データとイントロンの塩基配列情報から、確かにこの分割イントロンはスプライセオソームによって切り出されると考えられます。

4.今後への期待

Giardiaゲノムには通常型と分割のイントロンがほぼ同数存在することから、Giardiaのスプライセオソームは通常型と分割を両方認識するための特殊な構造である可能性があります。分割イントロンの削除に直接関与するスプライセオソームの構成因子を標的にすることで、ヒトや家畜に感染したGiardiaを体内から選択的に駆除できる薬剤開発も可能となるでしょう。

今回Giardiaで発見された分割イントロンに似た構造を持つイントロンは、線虫Caenorhabditis elegansでたった一例の報告があります。線虫と進化的に遠縁であるGiardiaが共通して構造的に似た分割イントロンを持つという事実により、他の真核生物ゲノム中でも分割イントロンが存在することを否定できなくなりました。Giardiaにおける分割イントロンの発見を契機に、これまで想像していなかった真核生物ゲノムの複雑性が明らかになるかもしれません。

問合せ先

担当者:

筑波大学計算科学研究センター准教授 稲垣祐司(Yuji Inagaki)

筑波大学大学院生命環境科学研究科教授 橋本哲男(Tetsuo Hashimoto)

報道担当:

筑波大学広報室
TEL:029-853-2040   FAX:029-853-2014
E-MAIL:kohositu [at] un.tsukuba.ac.jp (@を[at]と表示しています)

筑波大学計算科学研究センター広報室
TEL:029-853-6487   FAX:029-853-6406
E-MAIL:yoshito [at] ccs.tsukuba.ac.jp

平成22年度 年次報告会

平成22年度 年次報告会

日時:2月28日(月)9:15~17:45(開始時間が変更になりました

会場:計算科学研究センター1F 国際ワークショップ室

計算科学研究センター平成22年度年次報告会を行います。 研究員が、今年度の報告とこれからの計画について発表します。どなたでもご参加いただける公開の報告会ですので、ご興味のある方はご参加ください。

プログラム(仮)※確定しだい順次更新します

セッション1(9:15-10:15 座長:高橋 大介

9:15 佐藤 三久 (高性能計算システム研究部門)

9:30 藏増 嘉伸 (素粒子物理研究部門)

9:45 館野 賢(生命科学研究部門)

10:00 白石 賢二 (量子物性研究部門)

休憩 (10:15 – 10:30)

セッション2 (10:30-11:45 座長:白石 賢二

10:30 日下 博幸 (地球環境研究部門)

「都市気候研究に関する2010年度の取り組み」

10:45 仝 暁民 (量子物性研究部門)
「赤外線レーザーで原子電離過程の制御」

11:00 高橋大介(高性能計算システム研究部門)
「超高速計算システムにおける大規模科学技術計算」

11:15 北原 格 (計算情報学研究部門)

昼食 (11:45 – 13:30)

セッション3 (13:30-14:45 座長:谷口 祐介

13:30 吉川 耕司 (宇宙・原子核物理研究部門)

13:45 石塚 成人 (素粒子物理研究部門)

14:00 塙 敏博 (高性能計算システム研究部門)
「省電力・高信頼・高性能通信機構PEARL」

14:15 前島 展也 (量子物性研究部門)

14:30 梅村 雅之(宇宙・原子核物理研究部門)

休憩 (14:45 – 15:00)

セッション4 (15:00-16:00 座長:塙 敏博

15:00 朴 泰祐(高性能計算システム研究部門)

15:15 田中 博 (地球環境研究部門)
「次世代型大気大循環モデルNICAMを用いた地球環境研究と予測実験」

15:30 橋本 幸男 (宇宙・原子核物理研究部門)

15:45 谷口 裕介(素粒子物理研究部門)

休憩 (16:00 – 16:15)

セッション5 (16:15-17:15 座長:橋本 幸男

16:15 建部修見(高性能計算システム研究部門)

16:30 岩田 潤一(量子物性研究部門)
「実空間密度汎関数法の開発とナノ構造物質への応用」

16:45 矢花一浩(宇宙・原子核物理研究部門)
「マクスウェル・TDDFTマルチスケールシミュレータの開発」

17:00 多田野 寛人 (高性能計算システム研究部門)
「Block Krylov 部分空間反復法の収束性向上・高精度化とその応用」

17:15 総括・閉会挨拶

筑波大学‐エジンバラ大学合同シンポジウムおよびEPCC‐CCS合同ワークショップ(2010年12月7日-8日)

筑波大学‐エジンバラ大学合同シンポジウム
 ―筑波大学‐エジンバラ大学連携協定による国際展開―

日時:12月7日(火)14:00~17:30
会場:総合研究棟B棟110公開講義室

後援:計算科学研究センター、最先端サイバニクス研究拠点

2010年度、本学と英国エジンバラ大学との間で、大学間連携の協定が締結されました。これを受けて本シンポジウムでは、エジンバラ大学から副学長のリチャード・ケンウェイ教授をはじめとする方々を迎えて、連携が進められている分野を中心とした講演と議論を行います。

[ポスター]

プログラム

14:00-14:10 開会

14:10-14:30 ご挨拶
 筑波大学学長 山田信博教授
 エジンバラ大学副学長 Richard Kenway教授
 筑波大学副学長 塩尻和子教授

14:30-15:10 Introduction to Scientific computing at the University of Edinburgh
 エジンバラ大学 Richard Kenway教授

15:10-15:30 Research and Collaboration on Computational Sciences between CCS and EPCC
 筑波大学計算科学研究センター長 佐藤三久教授

15:30-16:00 Academic exchanges and cooperation in medical fields between the University of Tsukuba and the University of Edinburgh
 筑波大学大学院人間総合科学研究科/生命科学動物資源センター長 高橋智教授

16:00-16:30 Leading Edge of Cybernics and Promotion of Tsukuba-Edinburgh Project for the Future Challenges
 筑波大学大学院システム情報工学研究科/サイバニクス研究コア研究統括 山海嘉之教授

16:30-17:00 Variable Impedance Action: Implications for exoskeletons
 エジンバラ大学 Sethu Vijayakumar教授

17:00-17:30 The Software Sustainability institute
 エジンバラ大学 Neil Chue Hong教授

17:30-17:40 閉会

 

EPCC (Edinburgh Parallel Computing Centre)‐CCS合同ワークショップ

日時:12月8日(水)10:30-17:00
会場:計算科学研究センター棟1F 国際ワークショップ室

懇親会 ワークショップ終了後に懇親会を行います。参加を希望される方は登録フォームよりご登録ください。

プログラム

10:30-12:00 Session 1

New Supercomputer at CCS and Status of K-Computer
  Prof. Taisuke Boku, University of Tsukuba

Computing at Exascale
  Prof. Chris Maynard, University of Edinburgh

Numerical Study on Urban Climate in the CCS
  Prof. Hiroyuki Kusaka, University of Tsukuba

12:00-13:30 Lunch break

13:30-15:00 Session 2

The HPC MSc
  Prof. David Henty, University of Edinburgh

Numerical Algorithms and Intelligent software: NAIS
  Prof. George Beckett, University of Edinburgh

Computational Science Dual Degree Program
  Prof. Tetsuya Sakurai, University of Tsukuba

15:00-15:30 Coffee break

15:30-17:00 Session 3

Lattice QCD on K Computer
  Prof. Yoshinobu Kuramashi, University of Tsukuba

Machines for QCD
  Prof. Peter Boyle, University of Edinburgh

DiGS / Metadata capture
  Prof. James Perry, University of Edinburgh
  Prof. Toshiyuki Amagasa , University of Tsukuba

2010年以前の開催履歴(セミナー・ワークショップ)

 

多治見の猛暑解明へ

岐阜県多治見市と連携して行う猛暑解明の取り組みが、報道各社に取り上げられています。7月23日朝日新聞8月2日読売新聞8月15日朝日新聞など。7月30日岐阜放送で放送された動画ニュースが、岐阜新聞ホームページにアップされています(「大学が多治見の暑さを調査」)。担当する日下博幸研究室のウエブページはこちら。5月27日に行われた協定締結式の模様はこちら

第1回「学際計算科学による新たな知の発見・統合・創出」シンポジウム -ポストペタスケールコンピューティングへの学際計算科学の展開-

開催案内

主催 筑波大学 計算科学研究センター
日程 平成22年5月6日(木) ~ 7日(金)
プログラム プログラム(PDF)
会場 筑波大学 大学会館 国際会議場
懇親会 平成22年5月6日(木)18:45~
筑波大学 大学会館レストラン
参加費 シンポジウム参加無料、懇親会4,000円

Web上での参加登録は締め切りました。

当日参加も受け付けますので受付に直接お越しください。

時間中はシンポジウムの模様を視聴できます。映像を見るにはリアルプレーヤーが必要です。

開催趣旨

平成22年度から国立大学法人の第2次中期目標・中期計画期間が始まり、筑波大学計算科学研究センターでは、共同利用・共同研究拠点「先端学際計算科学共同研究拠点」として、新たに活動を開始します。「共同利用・共同研究拠点」は、全国の関連研究者が共同で利用することにより、我が国の学術の発展に特に資する施設を、文部科学大臣が拠点として認定し、国全体の学術の発展を図ることを目的として2008年度から文部科学省が行っている事業で、当センターは計算科学と計算機科学の協働により計算科学の先端を切り拓く学際計算科学を推進する「先端学際計算科学共同研究拠点」として認定されました。

現在、わが国においては十数ペタフロップスの性能を持つ次世代スーパーコンピュータの開発・構築が進められており、計算科学の研究体制の構築が進む中、新たな学術研究を目指し、わが国の計算科学の長期的ビジョンが必要となってきております。このような状況に鑑み、「先端学際計算科学共同研究拠点」のキックオフを機会に、拠点の基本コンセプトである学際計算科学とこれからの計算科学を議論するシンポジウムを開催することにしました。

共同利用・共同研究拠点「先端学際計算科学共同研究拠点」のキックオフを機会に、拠点の基本コンセプトである、計算科学と計算機科学の協働により計算科学の先端を切り拓く学際計算科学の課題と、国の次世代スパコンの構築・研究体制の整備が進む中、これを踏まえて、新たな学術研究を目指した最先端の学際計算科学の長期的ビジョンについて議論したいと考えます。本シンポジウムにおいて、「先端学際計算科学共同研究拠点」の概要について明らかにするとともに、次世代スパコン研究開発機関、および次世代スパコン戦略分野の主要戦略機関からの招待講演を通し、これからの展開・展望について議論を行いたいと思います。また、併せて当拠点で行われている学際計算科学の取組みについても報告します。

プログラム

5月6日(木)

【第1セッション司会】朴 泰祐(計算科学研究センター)

13:00 開会挨拶 

 

佐藤 三久(筑波大学・計算科学研究センター センター長)
13:15 学長挨拶 

 

山田信博(筑波大学・学長)
13:25 来賓挨拶 

 

文部科学省ご来賓
13:35 
 
計算科学研究センター名誉フェロー表彰式
13:50 記念講演
「計算科学研究拠点の形成 ~センター設立の頃を回顧して~」
 

 

岩崎洋一(高エネルギー加速器研究機構監事/前筑波大学学長)
14:20 招待講演
「ナノ分野における『グランドチャレンジ』課題への挑戦と計算科学」
 

 

平田文男(自然科学研究機構・岡崎共通施設・計算科学研究センター長/
文科省「次世代スパコン」プロジェクト「ナノ統合」拠点長)
14:50 休憩

【第2セッション司会】北川 博之(計算科学研究センター)

15:05 招待講演
「次*世代スパコン開発に向けて」
 

 

石川裕(東京大学・情報基盤センター長)
15:35 招待講演
「計算科学が推進する学際融合 — 素粒子・原子核・宇宙分野の取り組み」
 

 

橋本省二(高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所・准教授)
16:05 招待講演
「ポストペタスケールの計算機システム 
~ ヘテロ,マルチコア,加速器,超並列,大規模ストレージ ~」
 

 

松岡聡(東京工業大学・学術国際情報センター・教授)
16:35 休憩

【第3セッション司会】佐藤 三久(計算科学研究センター)

16:50 計算科学研究センター・新研究部門紹介

 

(計算科学研究センター・各研究部門主任)
18:35 閉会挨拶 

 

宇川彰(筑波大学・副学長)
18:45 懇親会

5月7日(金)

<計算科学研究センター平成21年度学際共同研究成果発表>

発表10分、質疑3分

【座長】 朴 泰祐(計算科学研究センター)

10:00 「configuration interactionによるQMC全エネルギー評価の改善」 

 

木野日織 (物質・材料研究機構)
10:13 「大気大循環モデルNICAMによる台風の再現計算と領域気候モデルWRFによる都市気候の将来予測」 

 

日下博幸 (筑波大学)
10:26 「格子QCDによるバリオン間相互作用の研究」 

 

石井理修 (東京大学)
10:39 「格子 QCD による pi-K 散乱長の研究」 

 

佐々木 潔 (東京工業大学)
10:52 「テラヘルツ波駆動半導体超格子における動的ファノ効果」 

 

前島展也 (筑波大学)
11:05 「中重質量領域における光核反応断面積のTDDFT線形応答計算」 

 

中務 孝(理化学研究所)
11:18 「実空間密度汎関数法によるSiナノ構造体の大規模電子構造計算」 

 

岩田潤一 (筑波大学)
11:31 休憩

【座長】 白石 賢二(計算科学研究センター)

11:45 「生体高分子機能の動力学的解析」 

 

舘野 賢 (筑波大学)
11:58 「半導体デバイスにおけるキャリア輸送の大規模分子動力学シミュレーション」 

 

神岡武文(早稲田大学)
12:11 「パルスレーザーが誘起する電子・フォノンダイナミクスの第一原理計算」 

 

矢花一浩 (筑波大学)
12:24 「不均質な系における粒子コードの効率的並列化」 

 

坂上仁志 (核融合科学研究所)
12:37 「オーダーN法第一原理計算プログラムCONQUESTによる大規模計算」 

 

宮崎剛 (物質・材料研究機構)
12:50 「多成分自己重力系の緩和過程」 

 

梅村雅之 (筑波大学)
13:03 「格子QCDを用いたチャーモニウム核子間相互作用の研究」 

 

佐々木勝一 (東京大学)
13:16 昼食

【座長】 田中 博(計算科学研究センター)

14:15 「ヒューリステイックな樹形探索効率評価」 

 

稲垣祐司 (筑波大学)
14:28 「最尤系統樹の信頼性に対する樹形探索労力量と初期樹形の影響」 

 

田辺晶史 (筑波大学)
14:41 「HIV-1プロテアーゼ複合体における相互作用エネルギーのDFT計算」 

 

岩瀬智行 (筑波大学)
14:54 「実空間差分法に基づく第一原理電子構造・量子輸送特性計算コードとそのアプリケーション」

 

小野倫也(大阪大学)
15:07 「マルチコア/マルチレーン・クラスタにおける性能評価及び最適化」 

 

朴 泰祐 (筑波大学)
15:20 「並列固有値解法のILC加速器設計への応用」 

 

櫻井鉄也 (筑波大学)
15:33 「格子ゲージ理論を用いたクォーク・グルオンプラズマ相の研究
– 高エネルギー重イオン衝突におけるチャーモニウム」
 

 

野中千穂 (名古屋大学)
15:46 休憩

【座長】 梅村 雅之(計算科学研究センター)

16:00 「ナノスケール系の量子伝導シミュレーション」 

 

小林伸彦 (筑波大学)
16:13 「物理的クォーク質量における2+1フレーバー格子QCD」 

 

蔵増嘉伸 (筑波大学)
16:26 「回転球殻熱対流系における帯状流の形成」 

 

陰山 聡 (神戸大学)
16:39 「次世代スーパーコンピュータに向けたグランドチャレンジ・アプリケーションの開発」

 

高橋大介 (筑波大学)
16:52 「DFTベースOn The Fly MD計算の実証と応用」 

 

館山佳尚 (物質・材料研究機構)
17:05 「強レーザー場における分子過程に関する時間発展計算法」 

 

仝 暁民 (筑波大学)

※当日の模様はRealNetworks社のストリーミング技術である RealMedia形式を用いてライブ中継します。

参加申し込み

シンポジウムの参加は無料です。
懇親会(会費4,000円)に参加されない場合でも登録をお願いします。

Web上での参加登録は締め切りました。
当日参加も受け付けますので直接受付までお越しください。

お問い合わせ

シンポジウムに関するお問い合わせは電子メールにて、 
sympo2010[at]ccs.tsukuba.ac.jp 
までお送り下さい。

※スパム防止のためアットマークを[at]と表記しています。

つくば計算物質生命科学コロキウム

第39回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年11月27日火曜日 15:00 – 16:30
  • 場所:計算科学研究センター 1階 会議室B
  • 講師:鷹野 優 氏 (阪大蛋白研)
  • 題目:「分子軌道法によるチトクロムc酸化酵素の新しいプロトン輸送機構への理論的アプローチ -heme aの酸化還元における電子構造とペプチドを介したプロトン移動の関係-」

第38回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年10月12日金曜日 15:00 – 16:30
  • 場所:計算科学研究センター 1階 会議室A
  • 講師:藤本義隆 (筑波大学, CREST)
  • 題目:「シリコンとゲルマニウムの新結晶相と電子特性」

第37回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年9月12日水曜日 14:00 – 15:30
  • 場所:計算科学研究センター 1階 ワークショップ室
  • 講師:Prof. Oleg Prezhdo (University of Washington)
  • 題目:「DYNAMICS ON THE NANOSCALE: Time-domain ab initio studies of quantum dots and carbon nanotubes」

第36回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年8月3日金曜日 14:00 – 16:00
  • 場所:計算科学研究センター 1階 会議室A
  • 講師:Prof. Sukmin Jeong (Chonbuk National University)
  • 題目:「Behaviors of metal impurities on Si(111) with two-dimensional electron gas」

第35回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年7月6日金曜日 14:00 – 16:00
  • 場所:総合研究棟B棟0108 1階
  • 講師:大野 雄高 氏 (名古屋大・量子工学専攻)
  • 題目:「カーボンナノチューブの電子デバイス応用」

第34回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年6月15日金曜日 14:00 – 16:00
  • 場所:総合研究棟B棟0108 1階
  • 講師:藤本 義隆 氏 (筑波大・計算科学研究センター)
  • 題目:「第一原理シミュレーションによるSi(001)上のGe膜の転位の構造と歪緩和」

第33回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年6月1日金曜日 14:00 – 16:00
  • 場所:総合研究棟B棟0108 1階
  • 講師:内田 和之 氏 (筑波大・計算科学研究センター)
  • 題目:「カーボンナノチューブおける電界ドープの第一原理シミュレーション」

第32回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年5月25日金曜日 14:00 – 16:00
  • 場所:総合研究棟B棟0108 1階
  • 講師:岡田 晋 氏 (筑波大学計算科学研究センター)
  • 題目:「ナノグラファイトのエネルギー論:端形状安定性と電子状態」

第31回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年5月11日金曜日 14:00 – 16:00
  • 場所:総合研究棟B棟0108 1階
  • 講師:大塚 泰弘 氏 (富山大・電気電子システム工学科)
  • 題目:「原子・分子架橋におけるコンダクタンスの位相のずれを用いた解析的研究」

第30回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年4月27日金曜日 14:00 – 16:00
  • 場所:総合研究棟B棟0108 1階
  • 講師:村口 正和 氏 (筑波大数理物質科学研究科)
  • 題目:「時間依存シュレディンガー方程式の数値解法による量子閉\じこめ場内電子波束の動力学」

第29回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年2月23日金曜日 16:30 – 18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112 1階
  • 講師:岩田 潤一 氏 (筑波大計算科学研究センター)
  • 題目:「超並列計算機と実空間法による第一原理電子状態計算」

第28回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2007年2月16日金曜日 16:30 – 18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112 1階
  • 講師:重田 育照 氏 (筑波大TARAセンター)
  • 題目:「DNA塩基内の水素移動反応:van der Waals DFTの紹介と凖量子cumulantdynamics法に関して」

第27回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2006年12月22日金曜日 16:30 – 18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112 1階
  • 講師:吉本 芳英 氏 (東大物性研)
  • 題目:「Multicanonical法の拡張およびその第一原理計算との結合による液体結晶相転移のシミュレーション」

第26回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2006年11月22日水曜日 15:30 – 17:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112 1階
  • 講師:前園涼 氏 (物質材料研究機構)
  • 題目:「量子モンテカルロ法を用いた電子状態計算」

第25回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2006年9月7日木曜日 14:00 – 15:00
  • 場所:総合研究棟B棟0302 3階
  • 講師:Dr. Francesco Gervasio (ETH Zurich)
  • 題目:「Charge transfer mechanism in a PolydGpdCp Fiber and in wet DNA and docking free energies from metadynamics 」

第24回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2006年6月2日金曜日 16:30 – 18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112 1階
  • 講師:小川 哲生 氏 (大阪大学大学院理学研究科 物理学専攻)
  • 題目:「物性物理学と光: 半導体での光誘起相転移現象の面白さ」

第23回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2006年5月26日金曜日 16:30 – 18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112 1階
  • 講師:Mauro Boero 氏 (筑波大学計算科学研究センター)
  • 題目:「A first principles molecular dynamics insight into ATP-synthase」

第22回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2006年4月21日金曜日 16:30 – 18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112 1階
  • 講師:内田 和之 氏 (筑波大学計算科学研究センター)
  • 題目:「ナノスケール物質に対するバイアス印加・電荷注入による動的な物性制御に向けて(ナノスケールキャパシタの第一原理電子状態計算)」

第21回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2006年3月3日金曜日 16:30 – 18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112 1階
  • 講師:古家 真之介 氏 (東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻)
  • 題目:「第一原理計算による金属原子鎖の電気特性の解析」

第20回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2006年2月10日金曜日 15:30 – 17:30
  • 場所:総合研究棟B棟0112 1階
  • 講師:神谷 克政 氏 (筑波大学数理物質科学研究科)
  • 題目:「ケト-エノール互変異性化におけるペプチド結合を介した水素イオン移動の理論的研究」

第19回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時:2005年11月4日金曜日 16:30 – 18:00
  • 場所:総合研究棟B棟1223 12階
  • 講師:Dr. A. Laio (ETH Zurich)
  • 題目:「Computer simulations of rare events in material sciences and biophysics」

第18回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2005年9月28日水曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟1223 12階
  • 講師:Dr. Marcella Iannuzzi (University of Zurich)
  • 題目:「All electron calculations in condensed matter: the GAPW approach」

第17回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2005年7月8日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112 1階
  • 講師:中村 浩次 氏(三重大学工学部)
  • 題目:「表面・界面、磁壁のノンコリニア磁性」

第16回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2005年6月24日金曜日 17:00-18:30
  • 場所:総合研究棟B棟 会議室 1223 (12F)
  • 講師:大橋 洋士 氏(筑波大物理学系数理物質科学研究科)
  • 題目:「フェルミ原子ガスにおける新しい超流動とBCS-BECクロスオーバー」

第15回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2005年6月10日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:館山 佳尚 氏(物質・材料研究機構)
  • 題目:「グランドカノニカル第一原理MDとMarcusのエネルギーギャップ関係式による水溶液中の酸化還元反応の考察」

第14回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2005年5月27日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:小泉 裕康(筑波大計算科学研究センター/数理物質科学研究科)
  • 題目:「メロンによる永久電流の生成」

第13回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2005年4月15日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:Naoto Umezawa 氏(NIMS)
  • 題目:「The Intrinsic effect of nitrogen incorporation in Hf-based high-k gate dielectrics – a first principles study 」

第12回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2005年2月18日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:上村 洸 氏(東京理科大・特別顧問・理学部嘱託教授)
  • 題目:「水素結合型物質における超イオン伝導のメカニズム
    Mechanism of Superionic Conduction in Hydrogen-Bonded Materials
    上村 洸、 池畑 誠一郎、松尾 康光
    (東京理科大・理学部・応用物理)」

第11回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2005年2月4日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:千葉 かおり 氏(産業総合技術総合研究所、 生物情報解析研究センター、つくば分子認識研究チーム日本原子力研究所、中性子利用研究センター、中性子構造生物学研究グループ)
  • 題目:「中性子結晶構造解析により観測された局在水素及び水和水により引き起こされるペプチド結合の歪み」

第10回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2004年12月17日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:佐々木 泰造 氏(物質材料研究機構 計算科学研究センター)
  • 題目:「ハバードUの起源」

第9回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2004年12月3日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:矢花 一浩 氏(筑波大物理学系/計算科学研究センター)
  • 題目:「強レーザー場中での多電子ダイナミクス計算」

第8回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2004年10月15日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:河合 孝純 氏 (NEC基礎・環境研究所)
  • 題目:「グラフェンシートから構成される三次元構造の形成と応用に関する理論計算」

第7回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2004年10月1日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:小山 紀久 氏(物質・材料研究機構)
  • 題目:「第一原理計算によるシリコン中転位の拡散過程に関する研究」

第6回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2004年9月24日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:山崎 聡 氏(産業技術総合研究所 ダイヤモンド研究センター)
  • 題目:「シリコン酸化過程における界面欠陥生成のその場観察」

第5回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2004年9月10日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:高橋 憲彦 氏(物質・材料研究機構)
  • 題目:「水素終端Si(001)表面における水素原子の反応性散乱過程の量子論」

第4回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2004年7月23日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:岡野 真也(筑波大学/JST)
  • 題目:「Si(100)表面電子状態の量子閉じ込め」

第3回つくば計算物質生命科学コロキウム

  • 日時: 2004年7月2日金曜日 16:30-18:00
  • 場所:総合研究棟B棟0112(1F)
  • 講師:Pawel M. Kozlowski (Department of Chemistry, University of Louisville)
  • 題目: 「Application of Density Functional Theory to Study Structure and Spectroscopic Properties of Metalloporphyrins」

第三回「計算科学による新たな知の発見・統合・創出」シンポジウム -PACS-CSシステムと計算科学-

詳細はこちらをご覧下さい。

◆ シンポジウム

日程: 2007年9月3日(月)~4日(火)
会場: 筑波大学計算科学研究センター ワークショップ室
アクセス: アクセス情報付近の宿泊施設
参加費用: 参加無料
参加登録: シンポジウムの事前参加受付は締め切りました。以降は当日会場にて受付を行います。
問合せ先: symposium2007 [at] ccs.tsukuba.ac.jp

現在シンポジウムの模様を配信中です。(配信は終了しました)
配信映像はこちら

当日の模様はRealVideo配信する予定です。
配信をご覧になるには リアルプレーヤーが必要です。

 

◆ 懇親会

日程: 2007年9月3日(月) 18:40から
会場: 大学会館1Fレストラン
参加費用: 3,000円
参加登録: シンポジウム参加登録フォームからご登録ください。

◆ 開催主旨

超高性能計算機システムの上で大規模なシミュレーションを行うことにより、従来成し得なかった様々なサイエンスを実現する計算科学(Computational Science)は、いよいよその規模を拡大し、各種分野における成果が挙がりつつあります。筑波大学計算科学研究センターでは、平成17年度~19年度の3ヵ年に渡り、文部科学省特別教育研究経費による「計算科学による新たな知の発見・統合・創出」プロジェクトを推進してまいりました。本センターは、計算科学の諸分野と計算機科学の研究者が共同して行う計算科学の先端的かつ学際的な研究を大きな特徴としており、このプロジェクトでは2560ノードを持つ国産最大の高性能超並列クラスタシステムPACS-CS (Parallel Array Computer System for Computational Sciences)の研究開発と、これを用いた各種先端的計算科学アプリケーションの開発と運用が進められています。本年度は本プロジェクトの最終年度に当たり、PACS-CSシステムはフルシステムによる運用を開始し、素粒子物理学・物性物理学を始めとする各種計算科学アプリケーションのプロダクトランが実施され、大規模計算科学シミュレーションに基づく各種成果が現れ始めています。

本センターでは、プロジェクトの最終年度にあたり、『第三回「計算科学による新たな知の発見・統合・創出」シンポジウム ~PACS-CSシステムと計算科学~』と題した2日間のシンポジウムを開催いたします。本シンポジウムでは、PACS-CSの研究開発と各種アプリケーションの開発及び運用による研究成果を発表するとともに、本センター研究者による計算科学及び計算機科学両面からの成果発表だけでなく、各種分野における国内外の著名な第一線研究者の招待講演を行い、システムと応用の間の縦断的な議論及び各種計算科学応用間の横断的な議論を通じた学際的な意見交換を行うことを目的とするものです。

プログラム

第一部:PACS-CS完成記念式典 (9/3 09:30-10:10)

  • 学長挨拶 岩崎洋一(筑波大学学長)
  • 来賓挨拶(文部科学省学術機関課)
  • PACS-CS披露

第二部:シンポジウム第1日目(9/3 10:10-18:25)

開会挨拶  [進行:朴泰祐(筑波大学システム情報工学研究科)]
10:10-10:20 宇川 彰(筑波大学学長特別補佐)
セッション1:「地球環境」(10:20-12:05)  [座長:田中博(筑波大学生命環境科学研究科)]
10:20-11:05 招待講演:
富田浩文(海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター)
「全球雲解像大気モデルNICAMを用いた熱帯対流集団のシミュレーション」
11:05-11:35 講演:
日下博幸(筑波大学)
「気象モデルWRFを用いた都市気候の数値シミュレーション」
11:35-12:05 講演:
北川博之(筑波大学)
「気象予報データGPV/JMAアーカイブの概要と今後の展開」
昼食 (12:05-13:05)
セッション2:「高性能計算システム」(13:05-15:20)  [座長:佐藤三久(筑波大学システム情報工学研究科)]
13:05-14:05 招待講演:
Tommy Minyard (University of Texas at Austin)
“Beginning the Transition from Terascale to Petascale Computing ? Deployment of the first 1/2 Petaflop System”
14:05-14:35 講演:
朴泰祐(筑波大学)
「超並列クラスタPACS-CSの概要」
14:35-15:20 招待講演:
石川裕(東京大学)
「ペタスケールスパコン時代に向けてのシステム研究・開発・運用」
休憩(15:20-15:40)
セッション3:「素粒子物理学」(15:40-18:25)  [座長:金谷和至(筑波大学数理物質科学研究科)]
15:40-16:40 招待講演:
Norman Christ (Columbia University)
“Low Energy QCD, Chiral Symmetry and Petaflops”
16:40-17:10 講演:
藏増嘉伸(筑波大学)
「現実的なクォーク質量における格子QCD計算」
17:10-17:55 招待講演:
中村純(広島大学)
「極限状態の量子色力学 - 数値シミュレーションの挑戦」
17:55-18:25 講演:
吉江友照(筑波大学)
「格子QCD計算の将来像:ペタフロップス計算機からグリッドまで」
懇親会(18:40~)

第三部:シンポジウム第2日目(9/4 09:30-18:00)

セッション4:「宇宙物理学」(09:30-11:15)  [座長:朴泰祐(筑波大学システム情報工学研究科)]
09:30-10:15 招待講演:
和田桂一(国立天文台)
「国立天文台天文シミュレーションプロジェクト」
10:15-10:45 講演:
梅村雅之(筑波大学)
「融合型並列計算機FIRSTによる計算宇宙物理学の展開」
10:45-11:15 講演:
吉川耕司(筑波大学)
「天文シミュレーションにおけるHigh Performance Computing」
PACS-CS見学会(11:15-11:45)
昼食(11:45-12:45)
セッション5:「分子進化」(12:45-14:00)  [座長:橋本哲男(筑波大学生命環境科学研究科)]
12:45-13:30 招待講演:
西原秀典(東京工業大学)
「全ゲノム情報を利用した哺乳類の分子系統」
13:30-14:00 講演:
稲垣祐司(筑波大学)
「Multigene phylogenetic analyses: Not like playing LEGO」
セッション6:「物質と生命」(14:00-17:50)  [座長:押山淳(筑波大学数理物質科学研究科)]
14:00-15:00 招待講演:
荻津格(Lawrence Livermore National Laboratory)
「第一原理計算による知の発見の一例:単元素物質(ヘリウムを除く) の基底状態は常に完全結晶か?」
休憩(15:00-15:20)
15:20-16:05 招待講演:
立花明知(京都大学)
「Rigged QED 理論に基づく化学結合の表現」
16:05-16:35 講演:
岩田潤一(筑波大学)
「実空間密度汎関数法による大規模第一原理計算」
16:35-17:20 招待講演:
高田俊和(理化学研究所)
「次世代スーパーコンピュータが拓く計算化学の新世界」
17:20-17:50 講演:
矢花一浩(筑波大学)
「電子励起ダイナミクスの第一原理シミュレーション」
閉会挨拶
17:50-18:00 佐藤三久(筑波大学計算科学研究センター長)

第二回「計算科学による新たな知の発見・統合・創出」シンポジウム -計算科学の戦略と次世代スーパーコンピュータ-

詳細はこちらをご覧下さい。

主催 筑波大学 計算科学研究センター
協賛 (株)日立製作所、富士通(株)、NEC(株)
場所 つくば国際会議場(エポカルつくば)
日時 平成18年4月
4日(火曜日)10:00 – 18:00
5日(水曜日) 9:30 – 17:00
参加費:無料 懇親会費:3,000円
[当日の記録写真]
世話人

総括

超高速計算分野

物質・生命分野

素粒子・宇宙分野

佐藤三久

朴 泰祐

押山 淳

梅村 雅之

★ 開催趣旨

筑波大学計算科学研究センターでは、 平成17年度より運営費交付金特別教育研究経費による拠点形成事業「計算科学による新たな知の発見・統合・創出」(平成17年度~19年度)を推進しております。同事業による超並列クラスタ計算機PACS-CS、ならびに科研費特別推進研究「融合型並列計算機による宇宙第一世代天体の起源の解明」による融合型計算機FIRSTの開発も順調に進んでおり、これから、これらのシステムを利用し、素粒子・宇宙、物質・生命、地球・生物等の科学諸分野における計算科学研究の飛躍的推進が期待されています。

一方、来年度より次期フラグシップ・スーパーコンピュータを目指し、文部科学省による「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」、いわゆる京速コンピュータ・プロジェクトが開始されます。次世代のスーパーコンピュータは数十ペタフロップスにも達する計算性能が期待されており、科学技術上の明確なブレークスルーを達成するためには計算科学の各分野のアプリケーション・アルゴリズムおよび計算機システムの検討とそれをどのように実現するかについての「戦略」を考える必要があると考えます。様々な科学技術分野において最先端の研究と開発に不可欠な研究基盤であるスーパーコンピュータにより科学技術の将来を切り拓くべく,次世代の計算科学の戦略、方向について議論・提言を行うシンポジウムを行います。

★プログラム

名前をクリックすると講演の録画映像を見ることができます。
題目をクリックすると講演資料を見ることができます。
録画映像、講演資料は準備のできた分から順次掲載されてゆきます。
録画映像をご覧になるにはRealPlayer(Free)が必要です。

当日の記録写真 ]

4月4日(火曜日)

10:00 – 10:15 開会
 
宇川 彰 (筑波大学計算科学研究センター長)
岩崎 洋一 (筑波大学学長)
清水 潔 (文部科学省研究振興局長)
10:15 – 12:30 セッション1:地球環境/気象分野
 

オーガナイザ:木村 富士男(筑波大学)
講演者・パネリスト

 

(地球環境フロンティア研究センター)
  地球温暖化予測の戦略
室井 ちあし (気象庁気象研究所)
  防災のための気象予測シミュレーション
佐藤 正樹 (東京大学気候システム研究センター)
  全球雲解像モデルによる気候研究
鍵本 崇 (地球環境フロンティア研究センター)
  海洋大循環のシミュレーション研究 -過去・現在・そして未来-
11:35 -11:50 Break
田中 博 (筑波大学)
  気象学者からの提言
平木 敬 (東京大学)
  計算機研究者からの提言

12:10 -12:30 ディスカッション 地峡環境/気象分野における計算科学の戦略

12:30 – 14:00 Lunch
14:00 – 18:00 セッション2:ナノバイオ分野
 

オーガナイザ:押山 淳(筑波大学)
講演者・コメンテータ

 

赤井 久純 (大阪大学)
  次世代量子シミュレータ・量子デザイン
笠井 秀明 (大阪大学)
  マテリアルデザイン
広瀬 喜久治 (大阪大学)
  輸送シミュレーション
押山 淳 (筑波大学)
  大規模DFT計算:ベクトルとパラレル
朴 泰祐 (筑波大学)
  PACS-CS と次世代スーパーコンピュータ」
大野 隆央 (物質材料研究機構)
  戦略ソフト & オーダーN計算
斉藤 晋 (東京工業大学)
  炭素ナノ科学と大規模計算
川添 良幸 (東北大学)
  拡散量子モンテカルロ法によるフント則成立理由と分子の安定性の正しい評価
押山 淳 (筑波大学)
  コメント
15:45 – 16:00 Break
常行 真司 (東京大学)
  新計算手法と京速
今田 正俊 (東京大学)
  DFT-PIRG: モデルと物質と京速」
前園 涼 (物質材料研究機構)
  量子モンテカルロ法と次世代コンピュータ
高田 俊和 (NEC)
  QM/MM法によるバイオ計算と京速
櫻井 鉄也 (筑波大学)
  計算アルゴリズムと量子化学計算

総括寺倉 清之(北海道大学) 「ナノバイオ分野における計算科学の戦略

18:15 – 20:15 懇親会

4月5日(水曜日)

9:30 – 12:30 セッション3:基礎科学(素粒子,宇宙) 分野
 

オーガナイザ:梅村 雅之(筑波大学)
講演者・パネリスト:

 

11:40 – 12:30 ディスカッション 「基礎科学分野における計算科学の戦略

12:30 – 14:00 Lunch
14:00 – 16:50 セッション4:バイオ/ゲノム/ライフサイエンス分野
 

オーガナイザ:舘野 賢(筑波大学)
講演者・パネリスト:

 

泰地 真弘人 (理化学研究所)
  分子動力学専用計算機MD-GRAPE 3の開発と生命科学・工学への応用
岡本 祐幸 (名古屋大学)
  超高速計算機によるタンパク質の立体構造予測
林 重彦 (京都大学)
  QM/MMハイブリッド分子動力学シミュレーションによるタンパク質機能の解析
舘野 賢 (筑波大学)
  メタ・ダイナミクス法による反応経路サンプリングとCar-Parrinello分子動力学シュレーション
白石 賢二 (筑波大学)
  第一原理計算による膜タンパク質の「量子構造生物学」と超高速大規模計算
神谷 克政 (筑波大学)
  生命科学におけるターゲット:シトクローム酸化酵素
15:20 – 15:30 Break
五條掘 孝 (遺伝研・産総研)
  ゲノム研究における超高速計算システムの活用
稲垣 祐司 (筑波大学)
  Tracing back our origin:大規模遺伝子データ解析による真核生物分子系統
松岡 聡 (東京工業大学)
  計算機研究者からの提言
深海 薫 (理化学研究所)
  バイオデジタルコンテンツ整備における京速計算機の役割

16:30 – 16:50 パネルディスカッションおよび総合討論 「バイオ/ゲノム/ライフサイエンス分野における計算科学の戦略

16:50 – 17:00 閉会

★ 懇親会について

日時 : 4月 4日(火曜日) 18:15 – 20:15
場所 : レストラン『エスポワール』(エポカルつくば1階)
会費 : 3,000 円
申し込み締切 : 3月24日(金)

参加申し込みは締め切りました。

★ 宿泊旅費・滞在費補助

旅費の申請は締め切りました。

申請締切: 3月24日(金)

★ シンポジウム参加・懇親会参加・旅費等補助の申し込み

シンポジウムの参加は無料ですが、懇親会は上記会費が必要です。
参加申し込みは締め切りました。

申し込み締切: 3月24日(金)

★ アクセス・宿泊情報 

<エポカルつくばへのアクセス> エポカルつくばへのアクセスはこちらをご覧ください。 
<センターへのアクセス> 筑波大学 計算科学研究センターへのアクセスはこちらをご覧ください。
<宿泊情報> 宿泊施設のご予約は、お手数ですが参加者各人でお願い致します。 

★ 問い合わせ先 

〒305-8577

つくば市天王台1-1-1
国立大学法人筑波大学 計算科学研究センター
事務 折井 尚幸

Tel: 029-853-6486 , Fax: 029-853-6406

第一回「計算科学による新たな知の発見・統合・創出」シンポジウム -PACS-CS プロジェクトと FIRST プロジェクト-

詳細はこちらをご覧下さい。

主催 筑波大学 計算科学研究センター
場所 筑波大学大学会館国際会議室
日時 2005年2月16日(水)13:30-18:00
2月17日(木)10:00-18:00
《プログラム》
世話人

素粒子宇宙分野

物質生命分野

地球生物環境分野

超高速計算分野

計算情報分野

宇川彰・梅村雅之

押山淳・矢花一浩

田中 博・橋本 哲男

佐藤三久

北川博之・大田友一