穴場に暮らす共生微生物

中山 卓郎 助教

生命科学研究部門 分子進化分野

中山先生は、生命科学研究部門分子進化分野の研究者です。中山先生は、高校の生物の授業がきっかけで、“細胞内共生”に関心を持ちました。共生説によると、好気性細菌やシアノバクテリアが細胞内に取り込まれ、ミトコンドリアや葉緑体として細胞の一部になったとされています。ミトコンドリアや葉緑体の誕生は約20~10億年前の出来事ですが、同様の進化は現代の微生物にも起こり得るものです。この気づきから始まった中山先生の“共生微生物”に関する研究を、ダイジェストで紹介します。

(2024.11.26 公開)

拓かれた微生物研究への扉

私たちは、多くの動植物に囲まれて生活しています。身近な動植物といえば、ヒトや犬、鳥、虫、樹木、草花など、肉眼で見えるものを思い浮かべると思います。しかし、実際にはそれは生物のごく一部に過ぎず、肉眼では見ることのできない微生物が圧倒的に多く存在しています。その数はおよそ1028にも達し、宇宙の星の数(1023)よりも多いとされています。微生物は水中や土壌中、ヒトの腸内など、あらゆる環境に生息しています。こうした点からも、地球を代表する生物は微生物と言っても過言ではありません。微生物を理解することが、地球上の生命全体の解明に繋がるのです。

図1:身の回りの微生物。微生物はいたるところに、多量に存在している。

微生物については、まだ解明されていない部分が多くあります。大半の微生物は“培養”が難しいため、実験や解析を行うことも難しく、これまでの研究は限られていました。しかし、2000年代に次世代シーケンサーが登場し、状況は一変します。次世代シーケンサーはDNAの塩基配列を短時間で大量に解析する装置です。この装置の発展に伴って、少ないサンプルでも解析が可能となり、培養せずとも研究ができるようになりました。つまり、この装置で微生物のゲノムを解読することにより、生物学的な性質を推測できるようになったのです。次世代シーケンス解析では膨大なデータが得られ、その解析には高性能計算機が必要です。近年の高性能計算機の発展も、微生物研究に大きく貢献しています。

図2:生物学研究の流れ。従来は細胞の培養と実験により知見を得ていたが、近年は次世代シーケンスと大規模計算により知見が得られるようになった。

未確認微生物を探せ!

研究技術の進展により、微生物に関する知識は急速に拡充されています。しかし、その多くは単独で生活する微生物に関する知識です。実は、多くの微生物は他の生物と共生しているのですが、共生微生物については未解明な部分がたくさん残されています。特に、異なる系統の微生物間の共生関係は未開の分野であり、ほとんど研究されていません。

図3に、共生シアノバクテリアの一例を示します。このシアノバクテリアは渦鞭毛藻というまったく別の微生物の中にいます。しかし、ただ写真を見ただけでは、これが本当に共生関係なのか、偶然その時に渦鞭毛藻の中にいたのかは判断できません。では、これをどう区別すれば良いのでしょうか?

図3:海洋微生物の一種であるOrnithocercus magnificusから発見された新種の共生シアノバクテリア。Ornithocercus magnificusの鞭毛内に生息するシアノバクテリアは、最終的にOrnithocercus magnificusに食べられる運命にあると考えられている。

現在、次世代シーケンサーの普及により、膨大な環境DNA(特定の環境に生育する生物の配列をまとめて解析したデータ)が蓄積されつつあります。これには多様な生物学的情報が埋もれている可能性があり、未確認微生物を探すうえでは非常に有用です。中山先生は、この環境DNAの可能性に着目し、共生シアノバクテリアについて調べました。

解析の手順は次の通りです。まず、渦鞭毛藻の中で見つかったシアノバクテリアのゲノムを解読し、どのような配列が含まれているかを確認しました。次に、公共のデータベースに蓄積された環境DNAを利用しました。環境DNAには、同じ場所の海水に存在する微生物のDNAが細胞サイズごとにふるいにかけられ、それぞれのサイズに対応する生物のDNAが集められたデータがあります。このデータを用いて、解読したシアノバクテリアのゲノム配列が、どの細胞サイズ区分の環境DNAに多く含まれているかを調べました。

その結果を図4に示します。通常、ある生物のゲノムは、その生物の細胞サイズ区分から最も多く検出されます。例えば、単独で生活するシアノバクテリアのゲノムは、細胞サイズ0.8〜5 µmのサンプルで最も多く検出されています。一方で、中山先生が発見した共生シアノバクテリアのゲノムは、80%以上が細胞サイズ20〜180 µmのサンプルから検出されました。この細胞サイズ区分は、宿主である渦鞭毛藻と一致します。もし共生シアノバクテリアが常に渦鞭毛藻にくっついていなければ、このような結果にはならないはずです。したがって、中山先生が発見したシアノバクテリアは、渦鞭毛藻と共生していることが示されました。さらに解析を進めた結果、このシアノバクテリアは、世界中の海洋に広く分布しているにもかかわらず、これまで発見されていなかった新しい系統であることが明らかになりました。

図4:細胞サイズで区分したサンプルにおいて、ゲノムが検出された割合

中山先生の発見は、微生物学分野の常識を覆す革新的なものでした。ここで、中山先生のコメントを紹介します。

― この発見をきっかけに共生微生物が注目され、研究人口が増えると嬉しいですね。茨の道かもしれませんが、新種の微生物を発見する喜びを仲間と共有したいです。いつか地球上の微生物をすべて発見し、生物全体を見渡すことのできる日が来ることを願っています。

もし興味を持ったなら、中山先生と一緒に共生微生物の研究を始めてみませんか

(文・広報サポーター 松山理歩)

さらに詳しく知りたい人へ

最先端共同HPC基盤施設のスーパーコンピュータMiyabiがTOP500で国立大学最高性能に認定

1.発表者最先端共同HPC基盤施設
           (筑波大学計算科学研究センター東京大学情報基盤センター

2.発表のポイント:

  1. 超並列GPUクラスタ型計算機Miyabiが2024年11月のTOP500リストにおいて国立大学スーパーコンピュータとして最高性能システムにランク
  2. 学術目的スーパーコンピュータとして「富岳」に次ぐ国内第2位の高性能システムを実現
  3. 最先端のGPU・CPU両搭載モジュールを国内で初めて採用
  4. 筑波大学と東京大学の共同による調達、運用、富士通株式会社によるシステム構築

3.発表内容

筑波大学計算科学研究センターと東京大学情報基盤センターとが共同運営する、最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC:Joint Center for Advanced High Performance Computing、施設長:朴泰祐、http://jcahpc.jp)が運用し、富士通株式会社が構築した超並列GPUクラスタ型スーパーコンピュータMiyabiがLinpack性能46.8 PFLOPSを達成し、2024年11月のスーパーコンピュータ性能ランキングを示すTOP500リスト(http://www.top500.org)において、国立大学のスーパーコンピュータとして最高性能システムとして登録され、また国内における学術目的のスーパーコンピュータとして「富岳」に次ぐ第2位の性能を達成しました。

最先端共同HPC基盤施設は、筑波大学及び東京大学により共同運営されると共に、2大学が共同してスーパーコンピュータの調達・運用を行う、国内唯一の試みです。同システムは東京大学柏キャンパス内の情報基盤センターに設置されますが、システムの調達・導入・運用及び主な利用プログラム運用等の全てを2大学が共同で実施します。同システムは米エヌビディア社の最新技術であるGPUとCPUを単一モジュールにパッケージしたGH200 Grace-Hopper Superchipを1,120台搭載したMiyabi-G(倍精度ピーク演算性能78.8 PFLOPS)と、米インテル社のHBM搭載高性能プロセッサIntel Xeon CPU Max 9480を380台搭載したMiyabi-C(倍精度ピーク演算性能1.3 PFLOPS)という2つのシステムからなります。今回、TOP500において国内第2位の性能となったのは、これらのうちMiyabi-Gを用いて計測された結果です。

Miyabi-Gに用いられているGrace-Hopper Superchipは、単一のモジュールにGrace CPUとH100 GPUの両方を搭載し、これらの間をNVIDIA NVLink-C2Cと呼ばれる超高速ネットワークで結合したもので、従来のGPU搭載計算ノードに比べ遥かに高速なGPU-CPU間通信を実現しただけでなく、両者の間でメモリ参照を自由に行う共有アドレス空間の利用をハードウェアで実現しました。Miyabi-GはこのGrace-Hopper Superchipをスーパーコンピュータに利用した国内初のシステムとなりました。

同システムは、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)及び両大学が個別に実施する各種利用プログラムの下、国内最高性能のGPU搭載スーパーコンピュータ資源として共同利用に供され、次世代の様々な科学技術分野の研究開発を飛躍的に推進します。また、最先端計算科学の研究だけでなく、計算科学及びHPC分野の人材育成にも利用され、各分野の今後の発展に貢献します。本システムの導入及び運用により、筑波大学計算科学研究センター及び東京大学情報基盤センターは、なお一層の社会貢献に寄与していきます。

JCAHPCの初代システムであるOakforest-PACS(OFP,2016 – 2022年)は、主として計算科学シミュレーションに使われておりました。今後はそれに加え、2015年以降東京大学が推進してきた「計算・データ・学習」融合における成果と知見、及び筑波大学が進めるAIの支援による計算科学の推進といったコンセプトをMiyabiの上で展開していき、生成AI等による科学技術の更なる革新である「AI for Science」の実現を目指します。また、経済産業省・新エネルギー・産業技術総合開発機構事業の一環として実施されている「計算可能領域の開拓のための量子・スパコン連携プラットフォームの研究開発(JHPC-Quantum,理化学研究所・ソフトバンク(http://jhpc-quantum.org/))」の一環として利用され、世界に先駆けて量子・スパコンハイブリッド連携による新しい科学の開拓に向けて、ソフトウェア開発、計算資源提供の両面から貢献します。

4.問い合わせ先
筑波大学計算科学研究センター 広報・戦略室
E-mail: pr [at] ccs.tsukuba.ac.jp

東京大学情報基盤センター 広報担当
E-mail: itc-press [at] itc.u-tokyo.ac.jp

5.リリース用画像資料

>> 全文PDFはこちら

SC24 にてブース出展を行います

11月17日から22日にかけて米国アトランタで開催される SC24 (The International Conference for High Performance Computing, Networking, Storage, and Analysis; ハイパフォーマンスコンピューティング、ネットワーク、ストレージおよび解析についての国際会議)において、ブース出展(#4421)を行います。
18日のGala Openingでは、東京大学情報基盤センター(ITC)と合同でブーストークも行います。筑波大学と東京大学が共同で設置運営する最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)に、新たに導入するスーパーコンピュータについての講演を行います。両センターのブースへぜひお越しください。

Booth Talk Schedule
@Booth #4421
Nov. 18 (Mon)

19:10- Taisuke Boku (U. Tsukuba/JCAHPC)
19:25- Jack Wells (NVIDIA)
19:40- Kengo Nakajima (U. Tokyo/JCAHPC)

Booth Talk Schedule
@Booth #4323
Nov.18(Mon)

20:00- Jim Lujan (LANL)
20:15- Toshihiro Hanawa (U. Tokyo/JCAHPC)
20:30- Robert Triendl (DDN)

SC24 Exhibition Booth#4421

SC24 Exhibition will be held on November 18-22.
#4421 CCS/JCAHPC, The University of Tsukuba
#4323 ITC/JCAHPC, The University of Tokyo

◆We will have several booth talk sessions in each University’s booth at SC24!

Booth Talk Schedule
@Booth #4421
Nov. 18 (Mon)

19:10- Taisuke Boku (U. Tsukuba/JCAHPC)
19:25- Jack Wells (NVIDIA)
19:40- Kengo Nakajima (U. Tokyo/JCAHPC)

Booth Talk Schedule
@Booth #4323
Nov.18(Mon)

20:00- Jim Lujan (LANL)
20:15- Toshihiro Hanawa (U. Tokyo/JCAHPC)
20:30- Robert Triendl (DDN)

 

 

Postdoctoral researcher (Division of Particle Physics)

Affiliation:

Center for Computational Sciences, University of Tsukuba (Division of Particle Physics)

 

Research field, Content of work:

Computational particle physics. In collaboration with Profs. Yoshinobu Kuramashi and Shinichiro Akiyama, the successful candidate will conduct research on lattice field theories using the tensor network approach related to the research project “New development of computational particle physics with tensor network approach” supported by Grant-in-Aid for Scientific Research (A) (Principal Investigator: Yoshinobu Kuramashi, Co-Investigator: Shinichiro Akiyama). The applicant will be expected to have expertise, skills, and experience on the lattice field theory and related numerical computations.

 

Starting date:

As soon as possible after a hiring decision is made (negotiable).

             

Terms of employment:

Full-time position with possibility of renewal annually, up until March 31, 2028, upon evaluation of the progress. The annual salary will be determined based on the regulations of the University, taking account of the career of the employee.

 

Qualifications:

An applicant needs to have a Doctoral Degree or Ph.D at the start of employment.

 

Application materials:

  1. Curriculum Vitae (with photograph)
  2. List of research activities (Separate refereed and non-refereed papers in the list)
  3. Reprints of major papers (no more than 3, photocopies acceptable, 1 copy each)
  4. Summary of research activities (up to about 1000 words)
  5. Research plan after the appointment (up to about 1000 words)
  6. Two Reference letters or contact information of the two letter writers
  7. Self-Declaration on Specific Categories (the prescribed form can be downloaded from https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/reqdocuments/)
  8. Consent for the handling and extraterritorial transfer of personal data in accordance with the EU-General Data Protection Regulation (GDPR) (*Submit this form only if you are a resident of member countries of the European Economic Area or the United Kingdom, the prescribed form can be downloaded from https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/reqdocuments/)

 

Selection process:

After screening the application documents, qualified applicants will be invited to have an online interview in Japanese or English.

 

Selection period:

Until the position is filled

 

Where to submit:

Please write “Application for A Postdoctoral Position in Particle Physics” on the subject and send a zip file with a password for the documents 1.-8. in the pdf format via e-mail to application-pp[at]ccs.tsukuba.ac.jp ([at] should be replaced by @). The password is separately sent to kuramasi[at]het.ph.tsukuba.ac.jp ([at] should be replaced by @ as well).

Reference letters should be sent in pdf format via e-mail to application-pp[at]ccs.tsukuba.ac.jp ([at] should be replaced by @). Please write “Letter-XXX” (XXX is the applicant’s name) on the subject.

 

Who to make contact:

Prof. Yoshinobu Kuramashi
Chief, Division of Particle Physics
Center for Computational Sciences
University of Tsukuba
Tel: +81-29-853-4469
Email: kuramasi[at]het.ph.tsukuba.ac.jp ([at] should be replaced by @)

 

Miscellaneous:

  • The personal information in the application documents will be used solely for the purpose of selection. After the selection all the personal information will be properly deleted.
  • The Center for Computational Sciences has been approved as a Joint Collaborative Research Center by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology. We promote interdisciplinary computational sciences, including joint use of our supercomputer systems. The University of Tsukuba conducts its personnel selection process in compliance with the Equal Employment Opportunity Act.
  • The University of Tsukuba has established “University of Tsukuba Security Export Control Regulations” based on “Foreign Exchange and Foreign Trade Act”, and conduct strict examination when employing foreign nationals, persons from foreign universities, companies, government agencies, etc., or persons who fall under a specific category.

素粒子物理研究部門 研究員 (締切 適任者が決まるまで)

公募人員: 研究員 1名

所属組織:計算科学研究センター(素粒子物理研究部門)

専門分野:科学研究費補助金・基盤研究 (A)「テンソルネットワーク法が拓く計算素粒子物理学の新たな展開」(代表:藏増嘉伸,研究分担者:秋山進一郎)に関する理論研究に従事する。代表および研究分担者との連携のもと,テンソルネットワーク法を用いた格子上の場の理論の数値的研究を推進する。格子上の場の理論の専門的知見を有し,関連する数値計算の経験があることが望ましい。

着任時期:決定後できるだけ早い時期(応相談)

任期:年度更新、最長2028年3月31日まで

給与: 年俸制(給与等雇用条件は本学の規定による)。候補者の職務経験等を加味し、本学規程に基づいて号俸を決定。

応募資格: 博士の学位を有する方もしくは着任時期までに取得見込の方

提出書類

1)履歴書(写真貼付)

2)全業績リスト(査読論文とその他を区別すること)

3)主な論文別刷(3編以内、コピー可、各1部)

4)これまでの研究の概要(最大2000字程度)

5)着任後の研究に関する抱負(最大2000字程度)

6)本人についての意見を求め得る方2名の氏名及び連絡先、もしくは推薦書2通

7)特定類型自己申告書(本学所定様式https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/reqdocuments/)

8)EU―般データ保護規則(GDPR)に基づく個人データの取扱い及び域外移転に関する同意書(※欧州経済領域の構成国及び英国在住者のみ必ず提出、本学所定様式https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/reqdocuments/

 

選考方法: 提出書類に基づいた書面選考を実施し、通過者は日本語または英語でオンライン面接を行います。

応募期間:適任者の採用が決まるまで

応募方法: 提出書類1)−8)のPDFファイルをzipファイルにまとめてパスワードをかけ、電子メールの添付ファイルとして、下記のアドレス
   application-pp[at]ccs.tsukuba.ac.jp([at]を@に置き換える)
にお送りください。zipファイルのパスワードは、別途下記のアドレス
   kuramashi[at]het.ph.tsukuba.ac.jp([at]を@に置き換える)
にお送りください。ファイルサイズの合計が10MBを超える場合は、問い合わせ先に連絡してください。メールの件名は、「素粒子物理研究員応募書類」としてください。メール送信後,2日以内に受領確認のメールが届かない場合は、問い合わせ先に連絡してください。

推薦書は、作成者が下記のアドレス
   application-pp[at]ccs.tsukuba.ac.jp([at]を@に置き換える)
に直接電子メールの添付ファイルとして送付してください。メールの件名は、「〇〇氏推薦書」または「Letter-〇〇」(〇〇は応募者の氏名)としてください。

問合せ先:筑波大学計算科学研究センター素粒子物理研究部門主任 藏増嘉伸 
Tel: 029-853-4469
Email: kuramasi[at]het.ph.tsukuba.ac.jp([at]を@に置き換える)

その他: 

  1. 応募書類に含まれる個人情報は、本人事選考のみに使用し、他の目的には一切使用しません。選考終了後はすべての個人情報を適切に破棄します。
  2. 計算科学研究センターは、文部科学省共同利用・共同研究拠点に認定されており、計算機共同利用を含む学際計算科学を推進しています。筑波大学では男女雇用機会均等法を遵守した人事選考を行っています。
  3. 本学では、「外国為替及び外国貿易法」に基づき、「国立大学法人筑波大学安全保障輸出管理規則」を定め、外国人、外国の大学・企業・政府機関等出身者又は特定類型該当者の雇用に際し厳格な審査を実施しています。

[ウェブリリース]なぜ同じ酵素が2つあるのに1つしか機能しないのか?-構造の柔らかさがもたらす新たなメカニズムを提案-

2024年10月24日
筑波大学計算科学研究センター

概要

生体内における化学反応は、「酵素」と呼ばれるタンパク質が担っています。また、薬剤の多くは酵素を対象にして作られています。そのため、酵素がはたらくメカニズムは活発に研究されてきました。その中で、同じ種類の酵素が2つ結合しているにも関わらず、片側のみしか機能をもたない「ハーフサイト活性」と呼ばれる活性が存在し、それが機能的に重要であることが明らかになりました。しかし、どのようなメカニズムで片側の酵素のみが機能するかは十分に解明されていませんでした。そこで本研究は、ハーフサイト活性を示す酵素と示さない酵素の構造を、計算機シミュレーションで調査し、比較しました。その結果、構造の柔らかさが確率的に非対称な構造を生じさせ、それがハーフサイト活性につながることを明らかにしました。今後、構造の柔らかさに着目した新たな薬剤の開発など、創薬研究への展開が期待されます。

研究内容と成果

細胞が機能を維持するには、生化学反応が適切に行われる必要があります。そのため、生化学反応を担う酵素活性は様々な方法で制御されています。その一つとして、ホモ二量体酵素注1)で見られる「ハーフサイト活性」があります。これは、同じ種類の酵素(サブユニット)が2つあるにも関わらず、片方のサブユニットでしか反応が進まないという特殊な活性です。一見してハーフサイト活性は、両サブユニットが同時に反応できる「オールサイト活性」に比べ、非効率的に思えます。しかし近年、生成物の解離における有利性など、生物学的意義が明らかになりつつあり、ハーフサイト活性が生じるメカニズムも調べられるようになりました。これらの先行研究から現在では、サブユニット間の協調運動によって非対称構造が生じ、それがハーフサイト活性につながるという考えが通説となっています(参考図:左)。一方で、協調運動が無くても、サブユニット固有の性質によって非対称構造が生じる可能性も指摘されており、ハーフサイト活性をもたらす根本的なメカニズムはまだ十分に解明されていませんでした。また、先行研究の多くはハーフサイト活性を示す酵素のみに着目しており、オールサイト活性を示す酵素との定量的な比較がなされていないという課題もありました。

そこで本研究では、ハーフサイト活性を示すチロシルtRNA合成酵素 (TyrRS)注2と、オールサイト活性を示し、かつ、TyrRSと同様の基質・反応プロセスを示すリシルtRNA合成酵素 (LysU)注3の2つの酵素に着目しました。そして、これらの構造を分子動力学シミュレーション注4で比較することで、ハーフサイト活性が生じるメカニズムのさらなる解明を試みました。計算結果を解析したところ、TyrRS二量体は非対称構造を、LysU二量体は対称構造をとることが確認できました。さらに、TyrRSのサブユニットはLysUのサブユニットに比べて構造が柔らかく、様々な状態が確率的に生じることが明らかになりました。同時に、TyrRS二量体における各サブユニットの動きは、相手のサブユニットの動きにほとんど影響を受けないことがわかりました。つまり、TyrRS二量体の非対称構造は協調運動によって積極的にもたらされるのではなく、によって生じる多様な構造が結合することによってもたらされると考えられます(参考図:右)。この結果は、ハーフサイト活性が生じる原因として、従来から知られていた協調運動に加え、構造の柔らかさに起因する非協調運動も重要であることを示しています。

今後の展開

構造の柔らかさは特定の酵素だけでみられるものではなく、どの酵素でもみられる普遍的な性質です。そのため、本研究で提案するメカニズムは、他の酵素にも当てはまる可能性があります。今後、構造の柔らかさに着目することで、ハーフサイト活性の普遍的な生物学的意義や適応プロセスの解明が期待されます。さらに、構造の柔らかさを調節して酵素活性を人為的に制御することで、新たな薬剤の開発への展開も考えられます。

用語解説

注1)ホモ二量体酵素:同じ種類の酵素(サブユニット)が2つ結合している構造。

注2)チロシルtRNA合成酵素(TyrRS):アミノ酸のチロシンを適切なtRNAに結合させる酵素。

注3)リシルtRNA合成酵素(LysU):アミノ酸のリシンを適切なtRNAに結合させる酵素。

注4)分子動力学シミュレーション:コンピューター上でタンパク質のうごきをシミュレーションする計算手法。生体分子を構成する原子にはたらく相互作用をもとに運動方程式を数値的に解くことで、生体分子が示すダイナミクスを高い時空間分解能で調べることができる。

研究資金

本研究は、科研費による研究プロジェクト(JP22J0421、JP23K16989)の一環として実施されました。

論文情報

【題 名】 Structural Fluctuation in Homodimeric Aminoacyl-tRNA Synthetases Induces Half- of-the-sites Activity
【著者名】 Okamoto. Y1., Yasuda. T2,3., Morita. R4., Shigeta. Y4., Harada. R4,5.

  1. 理工情報生命学術院 生命地球科学研究群 生物学学位プログラム 博士前期課程
  2. 理工情報生命学術院 生命地球科学研究群 生物学学位プログラム 博士後期課程
  3. 日本学術振興会特別研究員
  4. 計算科学研究センター
  5. 生命環境系

【掲載誌】 The Journal of Physical Chemistry B
【掲載日】 2024年10月23日
【DOI】      DOI: 10.1021/acs.jpcb.4c05191 (2024)

研究代表者

生命科学研究部門
原田 隆平 准教授

 

Elucidating the Complex Structure of the Blood Vessel Contraction Factor Endothelin, Its Receptor Protein, and G protein

Endothelin is a peptide hormone known for its vasoconstrictive effects. Researchers at University of Tsukuba used cryo-electron microscopy to examine the complex structure of the endothelin receptor and G protein, which are crucial for signal transduction at the cell membrane. This study has clarified the mechanism of signal transduction between cells.


Tsukuba, Japan—The human body is composed of approximately 60 trillion cells, which rely on the coordinated exchange of information to maintain normal biological functions. Each cell is surrounded by a membrane that facilitates the transmission of external signals into the cell through receptor proteins. Despite the clear elucidation of the binding structure of endothelin (ET), a vasoconstrictive peptide hormone, to the endothelin B-type receptor (ETBR) on the plasma membrane, the detailed structure of the ETBR-G protein complex—essential for signal transmission on the membrane—remains unclear. Additionally, the precise mechanism of signal transduction is not yet fully understood.

 

In this study, researchers utilized cryo-electron microscopy to observe the complex structure of ET, ETBR, and G protein. A strong binding interaction was revealed between the G protein and ETBR. The study also offered valuable insights into the mechanisms that distinguish types of G proteins and the factors that activate the receptor.

 

These findings may deepen our understanding of endothelin signaling mechanisms and have practical implications for the development of new drugs based on these structural properties.

 

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This research was partially supported by the Platform Project for Supporting Drug Discovery and Life Science Research (Basis for Supporting Innovative Drug Discovery and Life Science Research) from AMED under Grant Numbers JP21am0101118, JP21am0101116, JP22ama121006, JP23ama121004, and JP23ama121027, JST-Mirai Program Grant Number JPMJMI23G2. This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number 20H03210, ISHIZUE 2019 from the Kyoto University Research Development Program, and Center for Quantum and Information Life Sciences, University of Tsukuba.



Original Paper

Title of original paper: 
Structure of endothelin ETB receptor-Gi complex in a conformation stabilized by unique NPxxL motif
 
Journal: 
Communications Biology
 
DOI:
10.1038/s42003-024-06905-z

 

Correspondence

Professor TANI Kazutoshi
Center for Computational Sciences, University of Tsukuba

Dr. Bruno M. Humbel
Provost Office, Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University (OIST)

Professor TERADA Tohru
Department of Biotechnology, Graduate School of Agricultural and Life Sciences, University of Tokyo

Group Director / Professor YONEKURA Koji
RIKEN SPring-8 Center / Institute of Multidisciplinary Research for Advanced Materials, Tohoku University

Dr. DOI Tomoko
Graduate School of Science, Kyoto University

一般利用(Miyabi)の募集

筑波大学計算科学研究センターでは、東京大学情報基盤センターが運用する高性能メニーコアクラスタ Wisteria-O(7,680ノード、A64FX、25.9 PFLOPS)及び筑波大学計算科学研究センターが運用するビッグメモリスーパコンピュータPegasus (120ノード、 SPR、 H100、不揮発性メモリ、 6.5 PFLOPS)とGPU, FPGA 混載型クラスタCygnus (78ノード、 V100、 FPGA、2.3 PFLOPS)の3台のスーパコンピュータについて、各システムの20%(Wisteria-Oについては筑波大割当分の20%)を目安とした計算機資源を、全国共同利用機関として有償の一般利用に供することとしています。

この度、両センターが共同で設置・運営している最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)が運用するスーパーコンピュータシステムMiyabi(Miyabi-G: 1,120 ノード, GH200, 78.8 PFLOPS, Miyabi-C: 190 ノード, Xeon Max 9480, 1.29 PFlops)について、7%を目安とした計算機資源を全国共同利用機関として有償の一般利用に供することとしました。

一般利用のページより詳細をご確認の上ご応募ください。

なお、申請は10月16日より受け付けますが、利用は2025年1月14日からとなります。 

https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/kyodoriyou/ippan/

血管収縮因子エンドセリンと受容体タンパク質が形成する複合体構造を解明

2024年10月16日
国立大学法人筑波大学
学校法人沖縄科学技術大学院大学学園
国立大学法人東京大学
国立研究開発法人理化学研究所
国立大学法人東北大学
国立大学法人京都大学

クライオ電子顕微鏡を用いて、血管収縮作用を持つペプチドホルモンであるエンドセリンについて、その受容体およびGタンパク質(細胞膜上で情報伝達を担うタンパク質)との複合体構造を調べ、細胞間での情報伝達メカニズムを明らかにしました。


 ヒトは約60兆個の細胞で構成されており、細胞間での情報交換が協調的に行われることで、正常な生命活動を維持しています。各細胞は細胞膜に包まれ、細胞外からのさまざまなシグナルは、細胞膜の受容体タンパク質によって細胞内に伝えられます。血管収縮作用を持つペプチドホルモンであるエンドセリン(ET)については、細胞膜に存在するエンドセリンB型受容体(ETBR)との結合構造が解明されていますが、ETBRとGタンパク質(細胞膜上で情報伝達を担うタンパク質)の天然結合状態の複合体構造は未解明であり、情報伝達メカニズムも十分に理解されていません。

 本研究では、クライオ電子顕微鏡を用いて、ET、ETBR、Gタンパク質の複合体構造を観察しました。その結果、Gタンパク質とETBRが強く結合する構造が明らかになりました。また、Gタンパク質の種類を識別するメカニズムや、受容体の活性化に関わる要因を解明しました。

 本研究成果は、ETによる細胞情報伝達メカニズムの理解を深めるだけでなく、立体構造に基づいた新しい薬剤設計に役立つと期待されます。

プレスリリース全文はこちら

 

掲載論文

【題名】
Structure of endothelin ETB receptor-Gi complex in a conformation stabilized by unique NPxxL motif.
(エンドセリンB型受容体とヘテロ三量体Gタンパク質の複合体構造と生化学的特性)
 
【掲載誌】
 Communications Biology
 
【DOI】
10.1038/s42003-024-06905-z

[ウェブリリース]生体内の特殊な環境を計算科学的に再現するプログラムを開発

2024年10月4日
筑波大学 計算科学研究センター

概要

タンパク質の試験管内と細胞内における構造の違いは、その働きや薬の効果に影響を与えることが知られています。このため、細胞内の環境がタンパク質の構造に与える影響を調べることが重要です。しかし、細胞内の複雑な環境を実験的に再現することは難しく、計算科学的なアプローチに期待が高まっています。そこで、本研究では細胞内部、とくに生体分子内部の環境を再現した構造モデルを生成するプログラム:BEMM-GEN (Biomolecular Environment Mimicking Model GENerator) を開発・公開しました(https://github.com/y4suda/BEMM-GEN)。BEMM-GENは、ユーザーが指定した任意の化学的組成を持つ筒状または球状の構造モデルを生成します。本プログラムにより、細胞内の環境におけるタンパク質の立体構造を解明する研究が加速することが期待されます。

研究内容と成果

近年の研究から、タンパク質の構造や機能が試験管内と実際の細胞内で異なることが明らかになってきました。とくに、細胞内に存在する「シャペロン」というタンパク質の折り畳みを補助する生体分子や、「リボソーム」と呼ばれるタンパク質を合成する生体分子の内で、タンパク質は特異的な構造を示し、それが機能に大きな影響を与えることがわかっています。そのため、それぞれの分子内部の環境がタンパク質の構造に与える影響を調べることが重要となります。しかし、複雑な生体分子内の環境を再現したり、その内部におけるタンパク質の構造を実験的に観測したりすることは依然として困難であるため、計算科学的手法が注目されています。このような背景を受けて、本研究では生体分子内部の環境を再現した構造モデルを自動的に生成するプログラムである:BEMM-GEN(Biomolecular Environment Mimicking Model GENerator)を開発しました。BEMM-GENは、ユーザーが指定した化学的な組成をもつ筒状または球状の構造モデルを生成でき、その内部に任意のタンパク質を配置することができます。そのため、BEMM-GENにより生成した構造を利用して分子動力学計算注1)を実行することで、注目したい生体分子内の環境がタンパク質の構造に与える影響を定量的に評価することが可能になります。

今後の展開

BEMM-GENの適用により、細胞内におけるタンパク質の立体構造を計算科学的に調査する研究が加速すると期待されます。本プログラムは、生体内分子の形状や組成を指定することで汎用的に特殊環境を容易にモデル化することが可能です。実際、私達の研究グループではプログラムにより作成したモデルを用いて、リボソーム内の環境がタンパク質の構造に与える影響を明らかにしています注2)。また、本プログラムはインターネット上に公開されており、誰でも簡単に利用することができます。そのため、本プログラムで生成したモデルを用いて、様々な生体分子中におけるタンパク質の立体構造を調査し、実際の細胞内におけるタンパク質の構造理解が深まると期待されます。

図1:本研究で開発したプログラム:BEMM-GENの概略図。 ユーザーが指定した化学的組成をもつ筒状/球状の構造モデルを生成できる。

 

注1)分子動力学計算:
コンピューター上でタンパク質のうごきをシミュレーションする手法。生体分子を構成する原子に作用する相互作用をもとに運動方程式を数値的に解くことで、そのうごきを高い時空間分解能で調べることが可能。

注2)筑波大学プレリリース (2024年8月20日):
リボソーム内の化学的性質が翻訳中のタンパク質の立体構造に影響する(https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20240820143000.html)

研究資金

本研究は、科研費による研究プロジェクト(JP22J0421、JP23K16989、23H04879、23H02427、JP21K06094)の一環として実施されました。

論文情報

【題 名】 BEMM-GEN: A Toolkit for Generating a Biomolecular Environment-Mimicking Model for Molecular Dynamics Simulation.
【著者名】 Yasuda. T1,2., Morita .R3., Shigeta. Y3., Harada. R3,4.

  1. 理工情報生命学術院 生命地球科学研究群 生物学学位プログラム 博士後期課程
  2. 日本学術振興会特別研究員
  3. 計算科学研究センター
  4. 生命環境系

【掲載誌】 Journal of Chemical Information and Modeling
【掲載日】 2024年10月4日
【DOI】      10.1021/acs.jcim.4c01467

研究代表者

生命科学研究部門
原田 隆平 准教授

日本学術振興会特別研究員・生物学学位プログラム 博士後期課程3年
保田 拓範

 

 

【CCSで学ぶ】静居 竜大さん

静居 竜大(Ryuta SHIZUI)さん

 

 筑波大学 理工情報生命学術院

生命地球科学研究群 地球科学学位プログラム

都市・山岳気象学研究室 博士後期課程3年

(2024.10.3 公開 *内容は、2024年6月取材当時のものです。)

 


静居さんは、博士前期課程で都市・山岳気象学研究室に入りました。修了後は就職し、研究室を去ったものの、静居さんの研究に対する情熱は薄れることはありませんでした。社会人6年目で再び博士後期課程の学生として研究室に戻ってきた静居さんは、働きながら研究を続けています。

 

どのような企業にお勤めですか?

私は、風力発電の事業者に勤めています。主な業務内容は、風力発電所の建設です。風力発電所を建設する前には、チェックすべき項目がいくつもあります。特に重要な項目は、「どのくらいの発電量が見込まれるか」「台風や暴風にも耐えられる風車構造になっているか」です。これらを評価することが、私たち技術者の仕事です。

 

学生時代はどのように過ごしていましたか?

学部時代は、東京理科大学で気象学の基礎となる物理学を専攻していました。卒業研究では富士山のエアロゾル観測を行いました。卒業後は筑波大学に進学し、本格的に気象学を専攻することになりました。修士研究では、ヒートアイランド循環とそれを構成する局所的な上昇気流(サーマル)のシミュレーションを行いました。現在は、風力発電に関わる風を専門としていますが、学生時代の研究が活きています。

図1:富士山のエアロゾル観測の様子。係留気球(赤い風船)に計測器(黄色丸)をつけて飛ばし、大気中のエアロゾル濃度を測定した。

 

博士課程の研究について、もう少し詳しく教えてください。

いま、風力発電業界では、風力発電機の大型化が進んでいます。大型風車での発電量評価をする場合、これまでよりも正確に風の予測をする必要が出てきます。これまで風力業界ではべき乗則1)を用いて風の予測をするのが一般的でした。しかし、実際には、Low Level Jet2など、べき乗則に従わない風も存在します。べき乗則に従わない風は、ちょうど大型風車の羽の高さ付近で風速が最大となることもあるので、大きな影響を与えると考えられます。また、最近の研究ではウェイク3)の回復にも寄与すると言われています。このような風を正確に予測することは、大型風車の発電量予測にとって非常に重要です。では、どうすれば正確に予測できるのか? その方法を生み出すために、日々奮闘しています。私の研究が将来的により精緻な発電量評価、ひいては業界全体の役に立つことを期待しています。

1)風速のべき乗則:一般に風は上空ほど強くなる。風速をx、高さをyとすると、風速と高さの関係は、べき乗則:y=kx^nkは定数、nは指数)の形で表される。
2)Low Level Jet:地面から数百メートルの高さで発生する、比較的狭い範囲に強い風が吹く現象。特に風が強く吹いている部分を指すことが多い。
3)ウェイク:風車が風を受けて回転すると、その背後で風速が低下したり、流れが乱れたりする。この風の流れが変わる部分を「ウェイク」と呼ぶ。

図2:風速の鉛直プロファイル。通常のプロファイル(灰色線)はべき乗則に従うが、Low Level Jetのプロファイル(黒線)はべき乗則に従わない。Low Level Jetのプロファイルでは、大型風車の羽の高さ付近で風速が最大となっている。

 

勤務と研究の時間配分、一日の一般的なスケジュールを教えてください。

自分が社会人博士になる前は、土日のプライベートを全て犠牲にして研究することになるだろうと予想していました。しかし、実際はそんなことはなく、会社の制度をうまく活用したり、時間を調整したりすれば、プライベートの時間も確保できています。例えば、現在勤務している会社では、業務に直結する内容の共同研究に関しては、勤務時間中に行うことができます(ただし、実務が優先です)。また、私の妻は画家なのですが、夕食後は各々が研究したり絵を描いたりするための時間を設けています。この時間は互いに干渉することなく、自分のやるべきことに没頭しています。休日は、一日中研究に明け暮れることもありますが、少なくとも土日どちらかは、妻と出かけてリフレッシュしています。

図3:平均的な一日のスケジュール

 

仕事や研究、その両立で、大変なこと・やりがいを教えてください。

勤務中に研究を行うことができるとはいえ、やはり実務優先なので、仕事が忙しい時期は思ったように研究が進まず苦労しています。それでも、企業で風力業界の先端に触れつつ、自身の研究分野でも最先端を目指せることは、社会人博士の醍醐味だと思います。また、研究が仕事に活きていると実感できることも、研究と仕事の両方のモチベーションになっています。

 

社会人博士を目指す人に向けて、メッセージをお願いします。

私は元々研究が好きだったので、博士前期課程修了後はそのまま博士後期課程へ進学することも考えました。しかし、当時は学振4)に応募できるだけの研究力がなく、奨学金を多く借りていたという経緯もあり、修了後は就職することに決めました。ただ、博士号取得を完全に諦めたわけではなく、社会人博士を見据えて就職活動を行っていました。結果的に、“社会人”という経験が自分らしい研究の着想に繋がったので、良い選択ができたと思っています。もちろん大変な面もありますが、専門性をさらに磨くには社会人博士が一つの道だと思うので、興味があれば検討してみてはいかがでしょうか。

4)学振:日本学術振興会特別研究員制度。日本の優れた若手研究者・博士課程学生を支援し、主体的な研究に専念する機会を与える制度。

 

(文・広報サポーター 松山理歩)

 

LBNL-CCS Workshop 2024

Date: November 6th (Wed) – 7th (Thu), 2024
Venue: Lawrence Berkeley National Laboratory

Presentation:
Taisuke Boku: Research Activity Update of CCS: 12+20 Years and Beyond

Hidenoby Yajima: Radiative Transfer Simulations: Applications to Cosmic Reionization, Astrobiology, and Medical Science

Hiroshi Ohno: Machine learning applications to Lattice QCD
 
Bou Savong: Real-time processing and analytic of out-of-order and incomplete data streams
 
Kohji Yoshikawa: SIMD acceleration of particle-based hydrodynamic simulation
 
*No fee is required to participate.
 — More information will be added. 

Influence of a Black Hole’s Spin: First Evidence of Precession in Ultraluminous Accretion Disks

Tsukuba, Japan—Gas swirls around a black hole (BH) owing to the intense gravity of the BH, forming an accretion disk. These accretion disks, being among the most efficient energy conversion mechanisms in the universe, emit light and plasma jets. When a BH spins on its axis, the accretion disk wobbles like a spinning top. This precessional motion has been studied in less luminous accretion disks, but it is unclear if the same phenomenon occurs in ultraluminous accretion disks that emit strong radiation.

 

Researchers at University of Tsukuba conducted a large-scale radiation electromagnetic hydrodynamics simulation based on general relativity and demonstrated for the first time that the precessional motion of a tilted ultraluminous accretion disk is caused by the spin of the BH. Furthermore, this precessional motion periodically changes the direction of the jets and radiation emitted from the BH, which indicates that the periodic fluctuations in luminosity of ultraluminous accretion disks may be caused by the spin of the BH. The cause of such periodic fluctuations has previously been unknown.

 

In the future, the researchers intend to validate whether BHs are spinning by comparative analyses between extended-term simulations and observational data. This pioneering achievement is poised to deepen our understanding of how the spin of a BH influences cosmic phenomena, and make a substantial contribution to the authentication of the spacetime framework of BHs and general relativity.

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This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Numbers 23K03445(Y.A.), 21H01132(R.T.), 21H04488, 18K03710(K.O.). This work was also supported by MEXT as “Program for Promoting Researches on the Supercomputer Fugaku” (Structure and Evolution of the Universe Unraveled by Fusion of Simulation and AI; Grant Number JPMXP1020230406) and used computational resources of supercomputer Fugaku (RIKEN Center for Computational Science, Project ID: hp230204, hp230116), ATERUI II (National Astronomical Observatory of Japan), Oakforest-PACS (the University of Tokyo, University of Tsukuba), and Wisteria/BDEC-01 Odyssey (the University of Tokyo).


Original Paper

Title of original paper:
General relativistic radiation-MHD simulations of Precessing Tilted Super-Eddington Disks
 
Journal:
The Astrophysical Journal
 
DOI: 
10.3847/1538-4357/ad6cd9

 

Correspondence

Assistant Professor ASAHINA Yuta
Center for Computational Sciences, University of Tsukuba

第145回計算科学コロキウムを、10月23日(水)16:00より開催します

第145回計算科学コロキウムを開催いたします。多数のご来聴をお待ちしております。なお、第145回は大気科学特別セミナーと共催となります。

講演タイトル: 日本気象学会賞・受賞記念講演 〜都市気象・気候と局地気象に関する現象メカニズムの解明と数値モデルの高度化〜
講演者: 日下博幸(筑波大学計算科学研究センター 教授)
日時: 2024年10月23日(水) 16:00-17:25
場所: 計算科学研究センター 国際ワークショップ室
言語: Japanese
共催: 大気科学特別セミナー

要旨:

日下博幸教授(筑波大学計算科学研究センター)は、都市気象学・気候学および局地気象学の分野で顕著な研究成果を挙げ、都市環境が気象や気候に与える影響の解明と、それに基づく数値モデルの高度化に貢献したことが認められ、2024年度日本気象学会賞を受賞されました。

日下教授の研究は、都市の長期的な気温変動に関する数値実験から始まり、ヒートアイランドが海風の内陸侵入を遅らせ、内陸の高温を強化するという相互作用を明らかにしました。その後、世界に先駆けて都市キャノピーモデル(UCM)を開発し、このモデルは世界最大のユーザ数を誇る気象モデルWRFに公式に搭載され、現在、世界中で広く利用されています。

また、日下教授は、WRF/UCMを用いた数多くの実験により、都市化が夏季の降水増加をもたらすメカニズムを解明し、都市気候学の著名な教科書でも大きく紹介されました。さらに、将来の温暖化の影響を予測する力学的ダウンスケーリングの研究も進め、都市シナリオや排出シナリオによる都市気候変化の定量化を行いました。

日下教授は都市気象に加え、局地気象にも取り組み、富山の「神通おろし」などの研究を通じて、多くの重要な成果をあげています。これらの研究は行政にも還元され、自治体の暑熱対策に貢献しています。このように都市気象学・気候学の分野で卓越した業績をあげたことから、2024年度日本気象学会賞が贈呈されました。

ブラックホールの自転による超高光度円盤の歳差運動を世界で初めて実証

2024年9月20日
国立大学法人 筑波大学

ブラックホール周囲のガスの渦巻きである超高光度降着円盤が、ブラックホールの自転によって歳差運動することを、一般相対性理論に基づく大規模数値シミュレーションで実証しました。この結果、超高光度降着円盤の周期的な光度変動が、ブラックホールの自転に起因している可能性が示されました。


 ブラックホールの周囲には、強大な重力によってガスが渦を巻いて形成される「降着円盤」が存在します。この降着円盤は、宇宙で最も効率的なエネルギー変換機構の一つであり、ブラックホール周辺で起こる光の放射やジェット(プラズマの噴出)と考えられています。ここで、ブラックホールが自転していると仮定すると、降着円盤が、回転するコマの軸がぐらつくような歳差運動を起こす可能性があり、これまで光度の低い円盤について調査・実証が進められてきました。しかし、強力な放射を生み出す超高光度降着円盤でも同じ現象が起こるかどうかは、まだ解明されていませんでした。

 本研究では、一般相対性理論に基づく大規模な放射電磁流体力学シミュレーションを実施し、超高光度降着円盤がブラックホールの自転によって歳差運動することを世界で初めて実証しました。また、この歳差運動が、ブラックホールから噴出するジェットや放射の方向を周期的に変動させることが明らかになり、これまで原因が不明だった超高光度降着円盤の周期的な光度変動が、ブラックホールの自転に起因している可能性が示されました。

 今後、さらに長期間のシミュレーションと観測データの比較によりブラックホールの自転の有無を検証することで、これが宇宙現象に与える影響が解明されると期待され、ブラックホールの時空構造や一般相対性理論のさらなる理解にも貢献すると考えられます。

 

プレスリリース全文はこちら

 

【題名】General relativistic radiation-MHD simulations of Precessing Tilted Super-Eddington Disks
(歳差運動をする傾いた超エディントン円盤の一般相対論的放射電磁流体力学シミュレーション)
 
【掲載誌】The Astrophysical Journal
 
【DOI】10.3847/1538-4357/ad6cd9

CCS HPCサマーセミナー2024

開催主旨

計算科学を支える大規模シミュレーション,超高速数値処理のためのスーパーコンピュータの主力プラットフォームはクラスタ型の並列計算機となってきました.ところが,大規模なクラスタ型並列計算機は,高い理論ピーク性能を示す一方で,実際のアプリケーションを高速に実行することは容易なことではありません.

本セミナーはそのようなクラスタ型並列計算機の高い性能を十二分に活用するために必要な知識,プログラミングを学ぶことを目的としています.超高速数値処理を必要とする大学院生が主な対象ですが,興味をお持ちの方はどなたでもご参加下さい.

開催日時・会場

日程: 2024年9月9日 (月) – 9月10日 (火)
会場: 筑波大学計算科学研究センター 1階 ワークショップ室(アクセス

参加申し込み

参加申込: こちら からご登録をお願い致します.
締め切り: 2024年9月5日 (木)
定員: 40名程度
参加費: 無料
問い合わせ先: hpc-seminar [at] ccs.tsukuba.ac.jp

会場の都合により,参加定員を超えた場合,参加申込を早期に締め切らせて頂く場合があります.

プログラム

  9月9日(月) 9月10日 (火)
09:00 – 10:30 並列処理の基礎 並列数値アルゴリズムI
10:45 – 12:15 並列システム 最適化I
13:30 – 15:00 OpenMP 最適化II
15:15 – 16:45 MPI 並列数値アルゴリズムII

セミナー内容

  セミナー名 セミナー内容 講師
1 並列処理の基礎 アムダールの法則,並列化手法(EP,データ並列,パイプライン並列),通信,同期,並列化効率,負荷バランスなど並列処理に関する基礎事項を学ぶ. 朴 泰祐
2 並列システム SMP,NUMA,クラスタ,グリッドなどの並列計算機システムと,並列計算機システムの性能に大きく関わる事項(メモリ階層,メモリバンド幅,ネットワーク,通信バンド幅,遅延など)を学ぶ. 小林 諒平
3 OpenMP 並列プログラミングモデル,並列プログラミング言語OpenMPを学ぶ. 額田 彰
4 MPI 標準メッセージパッシングインターフェースMPIによる並列プログラミングを学ぶ. 藤田 典久
5 並列数値アルゴリズムI 代表的な並列数値アルゴリズムである高速フーリエ変換(FFT)を学ぶ. 高橋 大介
6 最適化I 並列計算機システムの計算ノード単体におけるプログラムの最適化手法(レジスタブロック,キャッシュブロック,メモリ割当など)と性能評価に関して学ぶ. 高橋 大介
7 最適化II 並列計算機システム全体における並列プログラムの最適化手法と性能評価に関して学ぶ. 建部 修見
8 並列数値アルゴリズムII 代表的な並列数値アルゴリズムである連立一次方程式の解法を学ぶ. 多田野 寛人

本セミナーを授業として受講する方へ(筑波大生向け)

本セミナーは,筑波大学理工情報生命学術院共通専門基盤科目「計算科学のための高性能並列計算技術」と共通です. 本セミナーを授業として受講する方は,TWINS で履修登録して下さい.このページからの参加申し込みは不要です.

AI 時代における計算科学の社会実装を実現する学際ハブ拠点 第2回シンポジウム

筑波大学計算科学研究センターは、文部科学省の令和5年度 共同利用・共同研究システム形成事業「学際領域展開ハブ形成プログラム」において「AI 時代における計算科学の社会実装を実現する学際ハブ拠点」として採択されました。本事業では、スーパーコンピュータと計算科学手法を用いた問題解決において、産官学の連携による新たな需要の開拓と、企業における計算科学手法の導入の裾野を広げることを大きな目的としています。拠点としての活動の活性化と分野を跨いだ知の共有を目的として、シンポジウムを以下の通り開催致します。
皆様奮ってご参加ください。
*参加申込された方にZoom情報をお送りしました。不達などトラブルがございましたら本ページ下部の問い合わせ先よりお問い合わせください。(24.10.4 10:30追記)

学際ハブ拠点シンポジウム

日時: 2024年10月7日(月)9:30-12:10
場所: つくば国際会議場 中会議室201 / オンライン(Zoom)
参加登録: 参加登録フォーム  参加登録締切10月3日
* 参加登録をされた方にZoom URL等の情報をお送りします。
参加費: 無料
* 同日・同所にて計算科学研究センターの主催する国際シンポジウム CCS Symposium 2024 を開催いたします。こちらは懇親会もございますので、ぜひご参加ご検討ください。
(懇親会申し込みはこちらから → CCS Symposium 2024 ウェブページ

  タイトル 講演者
 9:30 – 9:40 開会のあいさつ 重田 育照
(筑波大学計算科学研究センター・筑波大学 研究担当副学長)
 9:40 – 9:50 プロジェクト紹介 朴 泰祐
(筑波大学計算科学研究センター センター長)

 9:50 – 10:00

スパコンお試し利用の紹介 額田 彰
(筑波大学計算科学研究センター)
10:00 – 10:40 大規模シミュレーションとAIで拓くペプチド創薬への道 秋山 泰
(アヘッド・バイオコンピューティング株式会社 取締役CTO)
10:40 – 11:20 計算材料科学に基づくマテリアルデザイン 横山 智康(パナソニック ホールディングス株式会社)
11:20 – 12:00 まちづくり分野における大規模数値シミュレーション 畔上 泰彦(竹中工務店)
12:00 – 12:10 閉会のあいさつ 大谷 実
(筑波大学計算科学研究センター・計算科学社会実装推進室長)

 

問い合わせ:pr[at]ccs.tsukuba.ac.jp ([at]→@に変換ください)

リボソーム内の化学的性質が翻訳中のタンパク質の立体構造に影響する

2024年8月20日
国立大学法人 筑波大学

細胞内でタンパク質合成を行うリボソーム内部の環境を模倣する構造モデルを作成し、計算機シミュレーションにより、リボソームで合成されたタンパク質が通過するトンネル内の多様な化学的性質が、翻訳中のタンパク質における立体構造形成に影響を及ぼすことを明らかにしました。


細胞内でタンパク質合成を行うリボソームにおいて、合成されたタンパク質は、リボソームトンネルと呼ばれる筒状の空間を通って放出されます。近年、一部のタンパク質はリボソームトンネル内で立体構造を形成し、その構造が機能的な意義を持つことが報告されてきました。しかし、その構造形成メカニズムは、よく分かっていませんでした。

 本研究では、これまで報告されたリボソームトンネルの立体構造を網羅的に解析し、その重要な特徴であるトンネルの内径と化学的性質を反映したRibosome Environment Mimicking Model(REMM、リボソーム環境模倣モデル)と呼ばれる筒状のモデルを作成しました。また、化学的性質は反映せず内径のみを再現した従来型のモデルとして、炭素原子のみからなる筒状の分子であるCarbon Nanotube(CNT)を比較用モデルとして用意しました。次に、これら2つのモデル内部における、さまざまなタンパク質の構造を分子動力学シミュレーションにより解析しました。その結果、本研究で考案されたREMMの方が、実験的にリボソームトンネル内で観測されていたタンパク質の構造をよく再現していました。さらに、REMMが反映する化学的性質がCNTと比べて多様であることが、実験構造をよく再現できた要因であることが分かりました。すなわち、リボソーム内の多様な化学的性質が、翻訳中のタンパク質における立体構造形成に重要だということができます。REMMを発展させることで、実際の細胞内におけるタンパク質の立体構造に対する理解が深まると期待されます。

 

プレスリリース全文はこちら

掲載論文

【題名】Ribosome Tunnel Environment Drives the Formation of α-helix During Co-Translational Folding
(リボソームトンネル環境は翻訳共同的な Folding おける α-helix 形成の駆動力である)
 
【掲載誌】Journal of Chemical Information and Modeling
 
【DOI】10.1021/acs.jcim.4c00901

 

【受賞】日下教授は日本気象学会賞、ドアン准教授が正野賞を受賞

地球環境研究部門の日下博幸教授とドアン・グアン・ヴァン准教授が、それぞれ日本気象学会から賞を授与されました。
 
日下博幸教授は日本気象学会賞を受賞しました。本賞は、日本気象学会の数ある賞の中でも最も歴史のある大きな賞で、筑波大学出身者としては初めての受賞、本学教員としては安成哲三名誉教授に続き二人目の受賞となります。
受賞選定理由は、『都市気象・気候と局地気象に関する現象メカニズムの解明と数値モデルの高度化』で、都市気象学分野で初の受賞者となりました。
 
受賞選定理由の全文は、日本気象学会のホームページでご覧いただけます。
 
 
ドアン・グアン・ヴァン准教授は、日本気象学会から正野賞を受賞しました。
同賞は40歳以下の研究者に贈られる賞で、受賞選定理由は『都市が熱帯地域の局地気候に与える影響及び都市気候変動に関する研究』です。
こちらも都市気象学分野で初の受賞者となりました。
 
受賞選定理由の全文は、日本気象学会のホームページでご覧いただけます。
 
(写真は2024年5月に開催された日本気象学会春季大会中の授賞式の様子。右端は佐藤薫理事長、左端は佐藤正樹大会委員長。右から2番目が日下教授、左から2番目がドアン准教授)
 
同じタイミングでの師弟ダブル受賞となりました。