Photosynthetic Mechanism of Purple Sulfur Bacterium Adapted to Low-Calcium Environments

Feb 19, 2024

Purple sulfur bacteria (PSB) convert light energy into chemical energy through photosynthesis. Interestingly, certain species can photosynthesize even in environments with low-calcium levels. Using cryo-electron microscopy, researchers from University of Tsukuba unveiled the structure of light-harvesting complexes and elucidated the mechanism that facilitates photosynthesis under low-calcium conditions.

Tsukuba, Japan—Photosynthetic bacteria, unlike plants, do not generate oxygen as a photosynthetic byproduct because they use hydrogen sulfide instead of water to convert solar energy into chemical energy (electrons). This process is orchestrated by a protein complex, the light-harvesting 1-reaction center (LH1-RC). Numerous PSB thrive in calcium-rich environments, such as hot springs and seawater. In the three-dimensional LH1-RC structure, the LH1 antenna protein is typically associated with calcium. However, the photosynthetic mechanism remains elusive in Allochromatium vinosum, a model species of autotrophic bacteria capable of thriving in low-calcium or soft-water environments, as hypothetically, calcium is not involved in the photosynthetic process in this model.

 

Using cryo-electron microscopy, the researchers revealed the LH1-RC structures of this model species at a resolution that enabled individual amino acid visualization. These observations revealed calcium binding only at six specific sites in the LH1 subunit. In contrast, the closely related thermophilic bacterium Thermochromatium tepidum displayed calcium attachment across all 16 LH1 subunits, indicating a calcium binding dependence on the amino acid sequence pattern. These results imply an evolutionary adaptation in this species, enabling it to bind trace amounts of calcium in low-calcium environments, thereby improving its thermal stability for photosynthesis.

 

These findings would potentially advance the efficient use of solar energy, and contribute to environmental protection, and highlight the capability of certain species to conduct photosynthesis in freshwater while detoxifying hydrogen sulfide, which is toxic to numerous organisms, into sulfur.

 

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This research was partially supported by Platform Project for Supporting Drug Discovery and Life Science Research (Basis for Supporting Innovative Drug Discovery and Life Science Research (BINDS)) from AMED under Grant Numbers JP21am0101118 and JP21am0101116, and JP23ama121004

Original Paper

Title of original paper:
High-Resolution Structure and Biochemical Properties of the LH1-RC Photocomplex from the Model Purple Sulfur Bacterium, Allochromatium vinosum
 
Journal:
Communications Biology
 
DOI:
10.1038/s42003-024-05863-w

カルシウムが少ない環境に最適化した紅色硫黄細菌の光合成機構を解明

2024年2月19日
国立大学法人 筑波大学

紅色硫黄細菌が行う光合成では、光エネルギーを化学エネルギーに変換します。このとき、通常とは異なり、カルシウムが少ない環境でも光合成する種があります。クライオ電子顕微鏡により光を集めるタンパク質の構造を調べ、カルシウムが少なくても光合成ができるメカニズムを明らかにしました。

概要
光合成細菌が行う光合成は、酸素を発生せず、硫化水素を使って太陽光エネルギーを化学エネルギー(電子)に変換します。この役割は、タンパク質複合体であるコア光捕集反応中心複合体(LH1-RC)が担っています。中でも紅色硫黄細菌の多くは、温泉・海中といったカルシウムが豊富な環境に棲息しており、LH1-RCの立体構造では、光捕集に特化したアンテナタンパク質であるLH1にカルシウムが結合しています。しかし、カルシウム含量の少ない軟水や欠乏状態の水中でも増殖できる常温菌のモデル種アロクロマチウム・ビノサムについては、これまで、光合成にカルシウムは関与していないと考えられており、そのメカニズムは謎につつまれていました。
そこで、クライオ電子顕微鏡を用いて、本種由来のLH1-RCをアミノ酸が可視化できるレベルで観察したところ、LH1サブユニットのうち特定の6か所にのみ、カルシウムが結合していました。近縁種の好熱菌サーモクロマチウム・テピダムでは、全てのLH1サブユニット16か所にカルシウムが結合しており、アミノ酸配列のパターンに応じてカルシウムが結合できるかどうかが決まっていることが分かりました。このことから、本種は進化の過程で軟水中の微量カルシウムを結合して光合成を行うようなメカニズムを採用し、熱安定性を向上させていることが示唆されました。

本研究成果は、多くの生物にとって有毒な硫化水素を硫黄へ分解しつつ、淡水中でも光合成を行える種の、高効率な太陽光エネルギー利用への貢献や環境保全への活用が期待されます。

 

研究代表者 

筑波大学 計算科学研究センター
 谷 一寿 教授

研究の背景

光合成細菌は、植物やシアノバクテリアと異なり、光合成時に酸素を発生しないものの、非常に高い効率で太陽光エネルギーを化学エネルギー(電子)へ変換できるように進化してきました。どの光合成細菌も、植物で利用しない近赤外領域の太陽光を利用するという点では同じ特徴を持っていますが、菌の種類ごとに棲息環境が異なり、淡水から海水、温泉まで幅広く、それぞれの環境に最適な光捕集メカニズムを有しています。

酸素非発生型の光合成細菌の光合成は、進化的に古く、酸素発生型である植物の光合成に類似している部分もありますが、効率を重視した独自の進化過程を遂げたことが分かっています。特に硫化水素を使って光合成を行う紅色硫黄細菌注1)のほとんどは、熱安定性のために生育上カルシウムが必要で、温泉や海といったミネラル豊富な水中に棲息しますが、ごく一部の種ではカルシウム含量の少ない軟水にも棲息しています。このような種では、光を電子に変換するタンパク質複合体であるコア光捕集反応中心複合体(LH1-RC)注2)が、独特の進化をしていますが、その立体構造とカルシウムイオンの関係性は不明な部分が多く、カルシウムが要求されない生育環境で、高効率かつ安定的な光合成を行える仕組みは謎に包まれていました。

今後の展開

本研究で行った、常温菌である紅色硫黄細菌と好熱菌のLH1-RCの比較結果から、紅色硫黄細菌の高温耐性へ向けた遺伝子改変・導入を行うことで、その生物工学的な利用における効率・安定性が向上すると考えられます。また、硫化水素を含む排水処理といった環境保全にまで広く活用できると期待されます。

参考図

図1 クライオ電子顕微鏡により可視化されたアロクロマチウム・ビノサム(A. vinosum)のコア光捕集反応中心複合体(LH1-RC)の立体構造。
図2 LH1α鎖、β鎖のアイソフォーム注5)配置とカルシウム結合位置 常温菌のアロクロマチウム・ビノサム(A. vinosum)と、近縁種である好熱菌のサーモクロマチウム・テピダム(T. tepidum)由来のLH1サブユニット(α:緑、橙、マゼンタ、β:青、黒)の比較。
図3 LH1α鎖のカルボキシル末端側構造 カルシウムイオン(黄球)が結合したLH1α鎖(緑)。熱安定性が低いものほどカルボキシル末端側が熱揺らぎのため可視化できない。

用語解説

注1)紅色硫黄細菌
光合成細菌の仲間で、含まれるカロテノイドの種類により赤、褐色などに見える。ほとんどが嫌気性で硫黄泉、湖などの硫化水素が溜まった酸素のない環境を好んで棲息している。植物などとは異なり、光合成時には水ではなく硫化水素を使うため、酸素を発生しない。カルシウムイオンは、熱安定性に関連しているものの、硫黄代謝に直接の関連性はないため、長らく常温菌のA. vinosumは光合成にカルシウムイオンが不要だと考えられてきた。

注2)コア光捕集反応中心複合体(LH1-RC)
光エネルギーをアンテナタンパク質(LH1)で効率的に捕集し、反応中心(RC)へ伝え、光から電子への変換を行い、キノン分子により電子を伝達するタンパク質複合体。

注3)クライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)
生体の高分子構造を立体的に解析できる手法の一種。本研究では、筑波大学生存ダイナミクスセンターのCRYO-ARM300IIと、沖縄科学技術大学院大学のTitan Krios G1を使用した。

注4)LH1サブユニット
光を集めるためのアンテナタンパク質LH1は、通常、α鎖とβ鎖と呼ばれる2種類の膜タンパク質から構成される。これらは、14~17ペアで、隙間なくリング状に並ぶことが多い。このリング状構造では、内側にα鎖が、外側にβ鎖が配列される。

注5)アイソフォーム
単一の遺伝子あるいは遺伝子ファミリーに由来している類似のタンパク質。互いに同じ機能である場合もあるが、全く異なることもある。LH1サブニットでは、α鎖とβ鎖のそれぞれが複数のアイソフォームで構成されることがある。T.tepidumは、α鎖とβ鎖ともに1種類ずつで、アイソフォームはないが、A. vinosumは、α鎖3種類とβ鎖2種類のアイソフォームが存在する。

研究資金

本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(BINDS)JP21am0101118、 JP21am0101116、JP22am121004、科研費(JP20H05086, and JP20H02856)等の助成を受けて実施されました。

 

【題 名】 High-Resolution Structure and Biochemical Properties of the LH1–RC Photocomplex from the Model Purple Sulfur Bacterium, Allochromatium vinosum.
(紅色硫黄細菌のモデル種アロクロマチウム・ビノサム由来光捕集反応中心複合体の高分解能構造と生化学的特性)
【著者名】 Kazutoshi Tani, Ryo Kanno, Ayaka Harada, Yuki Kobayashi, Akane Minamino, Shinji Takenaka, Natsuki Nakamura, Xuan-Cheng Ji, Endang R. Purba, Malgorzata Hall, Long-Jiang Yu, Michael T. Madigan, Akira Mizoguchi, Kenji Iwasaki, Bruno M. Humbel, Yukihiro Kimura & Zheng-Yu Wang-Otomo
【掲載誌】 Communications Biology
【掲載日】 2024年2月12日
【DOI】     10.1038/s42003-024-05863-w

 

プレスリリース全文はこちら

研究トピック「『City-LES』の高速化をめぐるストーリー」を公開

計算科学研究センター(CCS)に所属する教員・研究員の研究をわかりやすく紹介する「研究者に聞くー研究トピックス」に「vol.17『City-LES』の高速化をめぐるストーリー」を公開しました。

「研究者に聞くー研究トピックス」

高性能計算システム研究部門の多田野助教の研究を紹介しています。

『City-LES』の高速化をめぐるストーリー

『City-LES』の高速化をめぐるストーリー

多田野 寛人 助教

高性能計算システム研究部門

多田野先生は、高性能計算システム研究部門の研究者です。方程式をコンピュータで速く解くための方法を研究することで、様々なモデルの計算時間短縮に貢献しています。今回は、多田野先生が都市街区気象モデル『City-LES』の高速化に携わったときの話を紹介します。

(2024.2.14 公開)

City-LESの抱える課題

City-LESは、計算科学研究センター日下研究室で開発された、都市気象に特化したモデルです。現実の都市と同じように建物や街路樹をひとつひとつ考慮しているため、モデル内の熱放射環境は非常に複雑になっています。しかし、ラジオシティ法1)を用いれば、このような複雑な放射計算でも高精度に行うことができます。求めた放射量から地表面の温度などを算出し、LES2モデルと結合することで、都市街区内の詳細な熱環境を再現しています。

私たちの身の回りで起こる物理現象は、偏微分方程式で記述されます。熱環境をモデルで再現するということは、偏微分方程式を差分の形で表し、連立一次方程式に書き換えて数値解を求めるということです。City-LESは解くべき方程式の数が非常に多いため、計算に長い時間がかかり、この部分が高速化のボトルネックになっていました。開発者の日下先生からこのことを相談された多田野先生は、面白そうだとCity-LES開発に協力することを決めました。

図1:City-LESによってシミュレートされた東京駅周辺の地上気温分布(出典:筑波大学日下研究室)

連立一次方程式を速く解くためには・・・

いきなりですが、頭の体操です。

を解いてみましょう。解けましたか?

このように、変数を1つずつ消去して、解を求める方法を「直接解法」と呼びます。この問題は変数がxyの2つだったので、操作は2回で済みました。では、変数が数千個、数万個ならどうしますか? 数千回、数万回と操作を繰り返すのは大変です。こうした場合は、連立一次方程式を行列の形に表して解くことを考えます。具体的には、連立一次方程式を次のように変形します。

ここで、Aは係数行列、xは未知ベクトル、bは既知ベクトルです。つまり、連立一次方程式を解くということは、xを解として求めることにほかなりません。直接解法で解くのは大変なので、こういう場合は「反復解法」を使います。反復解法とは、はじめにxの解を仮定して、その値を更新していくことにより、真の解に近づけていく方法です。反復解法は1回当たりの演算量が少ないため、反復回数が少ない場合には直接解法よりも計算時間が短くなります。つまり、計算時間短縮の可能性を秘めているのは、反復解法ということになります。

多田野先生は、反復解法のひとつである「クリロフ部分空間反復法」を採用し、計算時間短縮に挑むことにしました。クリロフ部分空間反復法の概念図を図2に示します。最初に仮定する解がx0で、x0, x1, …, xkと解が更新されるにつれて、真の解xに近づいていることが分かります。解の更新の仕方にはいくつもの種類があり、今回はそのうち3つの方法(CG法、CR法、Orthomin法)で計算速度を比較することにしました。

 

図2:クリロフ部分空間反復法の概念図。行列 と非ゼロベクトル から生成されるベクトル列で張られる部分空間:Kk(A, v)=span(v, Av, …, Ak-1v)をクリロフ部分空間という。クリロフ部分空間を用いて連立一次方程式Ax=bの近似解を生成する方法をクリロフ部分空間反復法という。

反復解法では、反復回数を減らすために「前処理」を行うことがよくあります。前処理の方法には色々ありますが、多田野先生が目をつけたのは「マルチグリッド法」です。マルチグリッド法では、グリッドサイズを一気に大きくして大雑把な解を求めた後、徐々にグリッドサイズをもとに戻していき、詳細な解を求めていきます(図3)。解に見当をつけながら解くことになるので、効率的な解法だと言われています。

図3:マルチグリッド法の概念図

そこで、CG法、CR法、Orthomin法という3つの反復解法について、マルチグリッド前処理により計算時間や反復回数がどう変わるかを調べました。その結果を図4に示します。まず、前処理を行った場合(青色、緑色)と前処理を行わなかった場合(赤色)で比較すると、3つの反復解法すべてで前処理を行った方が計算時間がかなり短くなっています(図4a)。また、前処理を倍精度3)で行った場合(青色)と単精度3)で行った場合(緑色)を比較すると、単精度で行った場合の方が計算時間が短くなっています(図4a)。倍精度の方が精度は高くなりますが、今回の前処理の計算では“計算が高速化できる”というメリットの方が大きいため、計算時間が最も短かった「単精度マルチグリッド前処理付きOrthomin法(黄色枠)」が最適な手法と言えそうです。図4bによると、このときの平均反復回数は1.03回となっています。これは、ほとんど1回の更新だけで真の解が求められた、つまり、アルゴリズム的には計算速度が最大に達したことを意味します。

図4:CG法、CR法、Orthomin法に対するマルチグリッド前処理の効果。101本の線形方程式を解いたときの (a) 総計算時間、及び、(b) 平均反復回数。赤色:前処理なし、青色:倍精度でのマルチグリッド前処理あり、緑色:単精度でのマルチグリッド前処理あり。

多田野先生がCity-LESの高速化で大成功を収めることができたのは、“先入観にとらわれず、まずは試しにやってみる”というポリシーで研究されていたためです。― やはり、自分の編み出した計算を速くするテクニックが、実際のアプリケーションに役立てられると嬉しい。今後は素粒子物理学や量子力学など、様々な分野のアプリケーション開発にも積極的に携わりたい ― 多田野先生の技術を欲している研究者は、ほかにもいるはずです。「多田野先生のおかげでアプリケーションが高速化した」というニュースが、また飛び込んでくることを期待しています。

(文・広報サポーター 松山理歩)

用語

  1. ラジオシティ法:光のエネルギー輸送をシミュレートするために使用される計算手法の一種。
  2. LES(Large-Eddy Simulation):乱流計算を行う手法のひとつ。グリッドサイズより大きい渦は直接計算し、グリッドサイズよりも小さい渦はモデル化して計算する。
  3. 倍精度/単精度:プログラミング言語で用いられる数値データ型の一つで、一つの数値をそれぞれ64ビット/32ビットの長さのデータとして表す。

さらに詳しく知りたい人へ

 

第138回計算科学コロキウムを、2月22日(木)13:00より開催します

第138回計算科学コロキウムを開催いたします。多数のご来聴をお待ちしております。

講演タイトル: 太陽系外惑星における光合成シグナルの観測可能性について 
       ―惑星の輻射環境と光合成色素の光物性―
講演者:小松 勇 博士(自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター・国立天文台)
日時: 2024年2月22日(木) 13:00-14:00
場所: 計算科学研究センター 会議室C
言語: Japanese

要旨:
将来の太陽系外惑星観測において光合成由来のシグナルを検出する可能性を探るために天文学・地球科学・化学・生物学などの複数分野に跨った議論が要求されており、計算科学による貢献が期待される。本発表では惑星における放射伝達を考慮したモデル計算によって、光合成由来の蛍光が将来どのように観測され得るかについて調べた研究について紹介する。また、量子化学計算を用いた惑星で実現可能な色素探索の研究も発表する。

Keywords:アストロバイオロジー、光合成、太陽系外惑星、放射伝達、量子化学計算

世話人: 庄司光男

AI 時代における計算科学の社会実装を実現する学際ハブ拠点 キックオフシンポジウム

筑波大学計算科学研究センターは、文部科学省の令和5年度 共同利用・共同研究システム形成事業「学際領域展開ハブ形成プログラム」において「AI 時代における計算科学の社会実装を実現する学際ハブ拠点」として採択されました。本事業では、スーパーコンピュータと計算科学手法を用いた問題解決において、産官学の連携による新たな需要の開拓と、企業における計算科学手法の導入の裾野を広げることを大きな目的としています。拠点としての活動の活性化と分野を跨いだ知の共有を目的として、キックオフシンポジウムを以下の通り開催致します。
皆様奮ってご参加ください。

学際ハブ拠点キックオフシンポジウム

日時: 2024年3月13日(水)13:00-17:30
場所: 筑波大学 計算科学研究センター ワークショップ室 / オンライン(Zoom)
参加登録: 参加登録は締切ました
* 参加登録をされた方にZoom URL等の情報をお送りしました。メールが届いていない方は、下記お問い合わせ先までご連絡ください。
参加費: 無料(ただし懇親会参加の場合は3,000円)

  タイトル 講演者
13:00 – 13:15 開会のあいさつ 朴 泰祐
(筑波大学計算科学研究センター
センター長)
13:15 – 13:45 都市街区気象モデル City-LESの概要と暑さ指数分布の再現精度 日下 博幸
(筑波大学計算科学研究センター)

13:45 – 14:15

City-LESによる都市気象予測の実利用への取り組み 池田 亮作・坂本 晃平
(株式会社ウェザーニューズ)
14:15 – 14:50 計算科学による表面・界面の化学反応・デバイス動作過程の微視的理解と制御 大谷 実
(筑波大学計算科学研究センター)
14:50 – 15:15 材料データベースの統計解析による新奇触媒材料創生の取り組み 井部 将也 
(トヨタ自動車先端材料技術部)
15:15 – 15:30  休憩(15分)  
15:30 – 16:00 計算メディカルサイエンス生体分子医科学分野:医薬分野との共同 重田 育照
(筑波大学計算科学研究センター)
16:00 – 16:30 学際研究で実現する高精度な環状ペプチド分子シミュレーション 秋山 泰
(アヘッド・バイオコンピューティング株式会社 取締役CTO)
16:30 – 17:25 パネルディスカッション 朴 泰祐
日下 博幸
大谷 実
重田 育照
坂本 晃平
井部 将也 
秋山 泰
17:25 – 17:30 閉会のあいさつ 重田 育照
(筑波大学計算科学研究センター・筑波大学 研究担当副学長)

 

問い合わせ:pr[at]ccs.tsukuba.ac.jp ([at]→@に変換ください)

研究トピック「素粒子理論にテンソルネットワークで挑む」を公開

計算科学研究センター(CCS)に所属する教員・研究員の研究をわかりやすく紹介する「研究者に聞くー研究トピックス」に「vol.16 素粒子理論にテンソルネットワークで挑む」を公開しました。

「研究者に聞くー研究トピックス」

素粒子物理研究部門の秋山助教の研究を紹介しています。

素粒子理論にテンソルネットワークで挑む

素粒子理論にテンソルネットワークで挑む

秋山進一郎 助教

秋山先生は素粒子の振る舞いを記述する枠組みの一つである格子上の場の理論の研究をされている先生です。

膨大な計算コストがかかる素粒子理論の計算に、テンソルネットワークという新しい手法を使って挑戦しようとしています。

(2024.1.25 公開)

立ちはだかる「符号問題」

この世界の最小構成単位だと考えられている素粒子は「素粒子標準模型」という理論によって素粒子同士の間でどのような力が働くか記述されています。この素粒子標準模型を用いればこの世界にある原子や分子の構造や、宇宙の成り立ちなどが理解できることになります。

素粒子標準模型は量子色力学(QCD)という理論を含んでいます。QCDはクォークとグルーオンと呼ばれる素粒子を記述する理論で、クォーク間で働く力はクォーク間の距離が長くなるほど強くなるという性質があります(高校で習う電磁気学では、電子間で働く力は電子間の距離が長くなるほど弱くなります)。このような性質がある理論は中々手で解くことができません。そこで、QCDによって記述される物理現象を調べるには、スーパーコンピュータを使った数値シミュレーションが非常に重要になってきます。特に、「格子QCD」と呼ばれる分野では、私たちの住む世界を一旦メッシュ状(格子)に区切って、その上でQCDに基づく計算を色々と行います(格子QCDだと摂動計算(注1)という近似をしなくて済むという利点があります)。

この格子QCDで従来使われてきた方法が「モンテカルロ法」です。モンテカルロ法は乱数を使った数値計算手法の総称であり、積分を数値的に計算する上で重宝される手法の一つです。格子QCDではクォークやそれらの間で働く力を伝えるグルーオンについての膨大な積分を解かないといけません。こうした積分をコンピュータで計算する場合、高校数学で習う区分求積法のような考え方を使ってしまうと、計算量が大きすぎてスーパーコンピュータをもってしても太刀打ちできません。一方、モンテカルロ法を使うと「積分結果への寄与が大きな積分領域になるべく注目する」ことで計算量を大幅に減らすことができます。具体的には、被積分関数を確率とみなし、その確率が高い点を重点的にサンプルすることで計算量を抑えます。

ところが、モンテカルロ法はいつでも使えるわけではありません。例えば、被積分関数が複素数になってしまう積分は扱えません。なぜなら、複素数の値は確率と見なすことができないからです。この問題はモンテカルロ法の「符号問題」と呼ばれ、素粒子理論の研究だけでなく、物理学の様々な分野でよく現れる問題です。どんなに興味深い物理現象があっても、符号問題が生じてしまうと、その現象を基礎理論の立場から解明することが極めて困難になってしまいます。素粒子の分野では、例えば中性子星(注2)の中の状態などを調べるために必要なQCDの計算でこの符号問題が現れます。そのため、QCDの立場から中性子星の内部状態を理解することは未だにできていません。

そこで、秋山先生が注目したのが「テンソルネットワーク法」です。

 

テンソルネットワーク法で4次元時空上での計算に初挑戦

テンソルネットワーク法では、計算したい対象を「テンソル」と呼ばれる行列を一般化したものを使って表現しなおします。例えば、先ほどの積分の場合だと、解きたい積分を多数のテンソルが組み合わさったもの(ネットワーク)に書き換えます。このように問題を書き換えることで、これまでの方法(例えばモンテカルロ法)とは全く違う切り口から問題にアプローチすることができるのです。

しかし、単に問題を書き換えただけでは元々の問題が持っていた難しさを必ずしも解決できるとは限りません。実際、テンソルネットワーク法は時空間次元が1次元や2次元の問題では広く使われていましたが、高次元への応用例は少なく、特に4次元(私たちの住む世界は時間1次元、空間3次元の4次元世界です)の問題への応用は前例がありませんでした。

そこで、秋山先生はスーパーコンピュータの利用を前提として4次元系向けのテンソルネットワーク法の数値計算コードを設計・実装し、世界で初めて4次元時空上の理論をテンソルネットワーク法で計算することに成功しました。また、秋山先生は一度テンソルネットワークで書き換えられた問題をさらに別のテンソルネットワークで表現することで、計算量をさらに抑える手法を開発しました(関連論文はこちら)。さらに、4次元系に対するテンソルネットワーク法のテクニックを応用して、QCDにも応用可能な新しいテンソルネットワーク手法の研究を進めています(図)。今後はGPU(注3)を用いたり、機械学習の手法も組み込んだりすることで、より計算の効率化を図り、素粒子物理学における様々な問題をテンソルネットワーク法で精密に計算できるようにしたいと考えています。

 

 

(文・広報サポーター 類家千怜)

用語

1)摂動計算:解きたい問題を、すでに解の存在する部分と残りの部分に分けて、残りの部分の影響が小さいと近似して問題を解くテクニックのこと。

2)中性子星:質量の大きな恒星の最終形態であり、密度は太陽の1014倍以上の天体。中性子が主な構成要素になっている。

3)GPU:Graphics Processing Unitの略。本来PCサーバにおけるグラフィックス処理を目的として作られた専用プロセッサだが、近年はその高い演算性能で高性能計算へ転用されている。

 

さらに詳しく知りたい人へ

テンソルネットワーク入門 

究極の物質状態クォークグルーオンプラズマに迫る

 

Korea-Japan HPC Winter School 2023

Course Overview

High performance computing is the basic technology needed to support today’s large scale scientific simulations. It covers a wide variety of issues on hardware and software for high-end computing such as high speed computation, high speed networking, large scale memory and disk storage, high speed numerical algorithms, programming schemes and the system softwares to support them. Current advanced supercomputer systems are based on large scale parallel processing systems. Nowadays, even application users are required to understand these technologies to a certain level for their effective utilization. In this class, we focus on the basic technology of high-end computing systems, programming, algorithm and performance tuning for application users who aim to use these systems for their practical simulation and computing.

 

Lecture Day and Location

Lecture Day: February 21 (Wed), 22 (Thu), 2024
Location: Online (Zoom link will be sent by email.)
Notice: This intensive course will also be held as Korea-Japan HPC Winter School 2023.

 

Schedule

  Feb. 21 (Wed) Feb. 22 (Thu)
09:00 – 10:30 Fundamentals of HPC and Parallel Processing Parallel Numerical Algorithm 1
10:45 – 12:15 Parallel Processing Systems Parallel Numerical Algorithm 2
13:30 – 15:00 Parallel Programming 1: OpenMP Computation Optimization
15:15 – 16:45 Parallel Programming 2: MPI GPU Computing

Contents

  Lecture name Contents Instructor
1 Fundamentals of HPC and Parallel Processing Amdahl’s law, Parallelization methods (EP, Data parallelism, Pipeline parallelism), Communication, Synchronization, Parallelization efficiency, Load balance. Taisuke Boku
2 Parallel Processing Systems Parallel processing systems (SMP, NUMA, Cluster, Grid, etc.), Memory hierarchy, Memory bandwidth, Network, Communication bandwidth, Delay. Ryohei Kobayashi
3 Parallel Programming 1: OpenMP Parallel programming model, parallel programming language OpenMP. Akira Nukada
4 Parallel Programming 2: MPI Parallel programming language MPI. Norihisa Fujita
5 Parallel Numerical Algorithm 1 Krylov subspace iterative methods and their parallelization methods. Hiroto Tadano
6 Parallel Numerical Algorithm 2 Fast Fourier Transformation (FFT) and its parallelization methods. Daisuke Takahashi
7 Computation Optimization Program optimization techniques (Register blocking, Cache blocking, Memory allocation, etc.) and performance evaluation on a compute node of parallel processing systems. Daisuke Takahashi
8 GPU Computing Introduction of GPU architecture and GPU programming. Akira Nukada

*本セミナーは,令和5年度 筑波大学理工情報生命学術院共通専門基盤科目「High Performance Parallel Computing Technology for Computational Sciences」(0AH0209)と共通です. 本セミナーを授業として受講する方は,TWINS で履修登録して下さい.また、授業としての履修ではなく参加を希望する場合は、hpc-seminar[at]ccs.tsukuba.ac.jp までご連絡ください([at]を@へ置き換えること)。

計算科学研究センターでどんな研究ができる? 工学システム学類編

計算科学研究センター(CCS)は、物理学類、生物学類、地球学類、情報科学類、工学システム学類の5つの学類と関連しています。今回は、工学システム学類と関連する先生の研究をピックアップしてご紹介します。
(2024.1.16公開 2025.1.22更新)


工学システム学類で教えている先生が所属しているのは、計算情報学研究部門 計算メディア分野です。自由視点映像、複合現実型情報提示、シースルービジョンなど、次世代の映像メディア技術、視覚増強技術の実現を目指して研究を行っています。

人を支える映像メディア技術

・教員インタビュー 「現実世界の課題をコンピュータビジョンで解決!

・学生(大学院生)インタビュー 「CCSで学ぶ vol.8

・動画 「3D Surgical Vision

・動画「スポーツ計算科学

 

計算科学研究センターでどんな研究ができる? 地球学類編

計算科学研究センター(CCS)は、物理学類、生物学類、地球学類、情報科学類、工学システム学類の5つの学類と関連しています。今回は、地球学類と関連する先生の研究をピックアップしてご紹介します。
(2024.1.16公開)


地球学類で教えている先生が所属しているのは、地球環境研究部門です。局地的な都市気象、風や雲といった山岳気象、熱波・寒波・台風など広い範囲に影響する天候の予測など、さまざまな研究を行っています。

観測も、シミュレーションも

・CCS Reports! 「筑波山で100年続く気象観測と計算科学

・教員インタビュー 「新しい気象学の手法を模索する自己組織化マップ

・教員インタビュー 「より確からしい天気予報を目指して

・学生(大学院生)インタビュー 「CCSで学ぶ vol.7

・動画 「都市気象シミュレーションモデル City-LES(日本語字幕版)」

筑波山プロジェクト

 

計算科学研究センターでどんな研究ができる? 生物学類編

計算科学研究センター(CCS)は、物理学類、生物学類、地球学類、情報科学類、工学システム学類の5つの学類と関連しています。今回は、生物学類と関連する先生の研究をピックアップしてご紹介します。
(2024.1.16公開)


生物学類で教えている先生が所属しているのは、生命科学研究部門 生命機能情報分野分子進化分野の二つです。
生命機能情報分野は、「タンパク質」「DNA」「RNA」などを対象に、コンピュータシミュレーション技術や理論解析法を開発し適用することによって、生命科学の理論研究を進めています。物理学類と生物学類からこのグループの研究室に進むことができます。
分子進化分野は、真核生物の系統関係や進化の過程を研究しています。

それぞれに関連する研究紹介記事や動画は、以下をご覧ください。

タンパク質の構造解析から、創薬研究へ

・教員インタビュー 「計算機の顕微鏡で生体分子の「形」と「動き」を解き明かす

・動画 「計算生体分子医科学

真核生物の進化の道筋を探る

・学生(大学院生)インタビュー 「CCSで学ぶ vol.3

・学生(大学院生)インタビュー 「2つの学位を取得する デュアル・ディグリープログラム

計算科学研究センターでどんな研究ができる? 物理学類編

計算科学研究センター(CCS)は、物理学類、生物学類、地球学類、情報科学類、工学システム学類の5つの学類と関連しています。今回は、物理学類と関連する先生の研究をピックアップしてご紹介します。
(2024.1.16公開)


物理学類で教えている先生が所属しているのは、素粒子物理研究部門宇宙物理研究部門原子核物理研究部門量子物性研究部門、そして生命科学研究部門 生命機能情報分野です。

素粒子物理研究部門は、すべての物質の最小の構成要素である素粒子(クォーク)に働く「強い力」を計算で解明する研究を行っています。
宇宙物理研究部門は、星や銀河の誕生、宇宙大規模構造の形成進化、ブラックホールの形成進化などを、コンピュータシミュレーションを用いて研究しています。
原子核物理研究部門は、原子核の構造や反応の謎を数値計算を用いて解明し、また中性子星(パルサー)の構造・現象を量子力学から理解するための研究を進めています。
量子物性研究部門は、超電導体、絶縁体、金属など多くの異なる性質を有する物質の性質を解明し、新しい材料の開発などを目指して研究を行っています。
生命科学研究部門 生命機能情報分野は、「タンパク質」「DNA」「RNA」などを対象に、コンピュータシミュレーション技術や理論解析法を開発し、生命科学の理論研究を進めています。物理学類と生物学類からこのグループの研究室に進むことができます。

それぞれに関連する研究紹介記事や動画は、以下をご覧ください。

素粒子(クォーク)の謎に迫る格子QCDシミュレーション

・教員インタビュー 「究極の物質状態クォーク・グルーオンプラズマに迫る

・教員インタビュー 「素粒子理論にテンソルネットワークで挑む

・学生(大学院生インタビュー) 「CCSで学ぶ vol.2

初期宇宙、超巨大ブラックホール……観測と支え合うシミュレーション研究

・教員インタビュー 「世界初の6次元シミュレーションを解く!

・教員インタビュー 「球状星団誕生の謎を解き明かす

・学生(大学院生)インタビュー 「CCSで学ぶ vol.1

・学生(大学院生)インタビュー 「CCSで学ぶ vol.6

・動画 「ブラックホール どこまでわかったのか? なにがわかっていないのか?

医療と宇宙の学際連携

・動画 「計算光バイオイメージング

原子核の形? 分裂・融合・エネルギー

・教員インタビュー 「謎の粒子ニュートリノの質量解明に迫る2重ベータ崩壊

・教員インタビュー「仮想粒子を用いて原子核の実態に迫る!

・動画 「原子核の形はどのように決まるのか?

・Webサイト「さわれる核図表

光と物質の相互作用 、燃料電池、そして量子コンピュータ

・教員インタビュー 「光と電子の相互作用で導くアト秒科学!

・教員インタビュー 「超伝導の新しい理論の提案 そして量子コンピュータへ

生命の起源から創薬研究へ

・教員インタビュー 「生命の起源を宇宙に探る

・学生(大学院生)インタビュー 「CCSで学ぶ vol.5

・動画 「COVID-19関連タンパクに対する統合的インシリコリポジショニング (日本語字幕版)

 

 

計算科学研究センターでどんな研究ができる? 情報科学類編

計算科学研究センター(CCS)は、物理学類、生物学類、地球学類、情報科学類、工学システム学類の5つの学類と関連しています。今回は、情報科学類と関連する先生の研究をピックアップしてご紹介します。
(2024.1.16公開)


情報科学類で教えている先生が所属しているのは、高性能計算システム研究部門計算情報学研究部門 データ基盤分野の二つです。
高性能計算システム研究部門は、スーパーコンピュータの性能アップを目指すべく、メモリ、ネットワーク、プログラミング言語、計算アルゴリズムなどコンピュータに関わるあらゆる分野の研究を行っています。
計算情報学研究部門 データ基盤分野は、大量のデータを高速に処理する技術や、ビッグデータの中から有用な情報を見つけ出す技術の研究を行っています。

それぞれに関連する研究紹介記事や動画は、以下をご覧ください。

スーパーコンピュータの開発

・教員インタビュー記事 「高性能計算科学の未来を切り開く新たな扉:FPGA技術

・教員インタビュー記事 「GPUlコンピューティングことはじめ

・教員インタビュー記事 「『City-LES』の高速化をめぐるストーリー

・学生インタビュー 「CCSで学ぶ vol.4

・動画 Cygnus紹介 「Cygnus(日本語字幕)

・動画 オンライン一般公開「スーパーコンピュータと計算科学

・動画 オンライン一般公開「計算機室に潜入!

・動画 「歴代スーパーコンピュータ

ビッグデータ利活用

・教員インタビュー記事 「ビッグデータを一瞬で解析する! 賢い計算アルゴリズムの開発

・教員インタビュー記事 「機械学習で日本の医療現場を救いたい

・動画 「睡眠ビッグデータ解析・自動診断

 

 

2023 KISTI-CCS Workshop

Date: Feb. 20th (Tue), 2024
Venue: Hall B247, B1, Yonsei University Baekyang-Nuri (The Commons), Korea

Schedule: 

Time

Title

Speaker

affiliation

13:00 – 13:20

Registration

   

13:20 – 13:40

Welcome Ceremony

Minjoong Jeong

Taisuke Boku

 

13:40 – 14:00

Research Activity Update of CCS, University of Tsukuba

Taisuke Boku

CCS, University of Tsukuba

14:00 – 14:20

PaScaL_TDMA 2.0: A Parallel and Scalable Tri-Diagonal Matrix Algorithm on Multi-GPU Architectures

Jihoon Kang

KISTI

14:20 – 14:40

Tensor network approach for lattice field theories in particle physics

Shinichiro Akiyama

CCS, University of Tsukuba

14:40 – 15:00

high-performance computer based anslysis in biomedical research

Hyojung Paik,

KISTI

15:00 – 15:20

Coffee Break

   

15:20 – 15:40

First-principles electron dynamics simulation for attosecond physics

Shunsuke Sato

CCS, University of Tsukuba

15:40 – 16:00

Massively scalable quantum circuit simulations with high performance computing

Hoon Ryu

KISTI

16:00 – 16:20

Tacking PDE problems with variational quantum algorithms

Minjin Choi

KISTI

16:20 – 16:40

Long Road to OFP-II, New Supercomputer on JCAHPC introducing GH200

Toshihiro Hanawa

University of Tokyo

16:40 – 17:00

Coffee Break

   

17:00 – 17:20

Multi-GPU-Based Real-Time Large-Eddy Simulations for Urban Microclimate

Mingyu Yang

Yonsei University

17:20 – 17:40

Accelerating HPC Applications with GPUs and FPGAs

Ryohei Kobayashi

CCS, University of Tsukuba

17:40 – 18:00

Next Generation of a Parallel Optimized Cosmological Model – DARWIN Project

Yonghwi Kim

KISTI

2023 KISTI-CCS ワークショップ

韓国科学技術情報研究院(KISTI)と研究交流会を開催します。本年は韓国での開催となります。
同時開催となるHPCウィンタースクールについては別途掲載しています。

Date: Feb. 20th (Tue), 2024
Venue: Hall B247, B1, Yonsei University Baekyang-Nuri (The Commons), Korea

プログラム

Time

Title

Speaker

affiliation

13:00 – 13:20

Registration

   

13:20 – 13:40

Welcome Ceremony

Minjoong Jeong

Taisuke Boku

 

13:40 – 14:00

Research Activity Update of CCS, University of Tsukuba

Taisuke Boku

CCS, University of Tsukuba

14:00 – 14:20

PaScaL_TDMA 2.0: A Parallel and Scalable Tri-Diagonal Matrix Algorithm on Multi-GPU Architectures

Jihoon Kang

KISTI

14:20 – 14:40

Tensor network approach for lattice field theories in particle physics

Shinichiro Akiyama

CCS, University of Tsukuba

14:40 – 15:00

high-performance computer based anslysis in biomedical research

Hyojung Paik,

KISTI

15:00 – 15:20

Coffee Break

   

15:20 – 15:40

First-principles electron dynamics simulation for attosecond physics

Shunsuke Sato

CCS, University of Tsukuba

15:40 – 16:00

Massively scalable quantum circuit simulations with high performance computing

Hoon Ryu

KISTI

16:00 – 16:20

Tacking PDE problems with variational quantum algorithms

Minjin Choi

KISTI

16:20 – 16:40

Long Road to OFP-II, New Supercomputer on JCAHPC introducing GH200

Toshihiro Hanawa

University of Tokyo

16:40 – 17:00

Coffee Break

   

17:00 – 17:20

Multi-GPU-Based Real-Time Large-Eddy Simulations for Urban Microclimate

Mingyu Yang

Yonsei University

17:20 – 17:40

Accelerating HPC Applications with GPUs and FPGAs

Ryohei Kobayashi

CCS, University of Tsukuba

17:40 – 18:00

Next Generation of a Parallel Optimized Cosmological Model – DARWIN Project

Yonghwi Kim

KISTI

 

 

金夜サイエンスカフェ 1月26日の回を開催します

つくばサイエンスツアーオフィスが主催する『金夜サイエンスカフェ』、1月26日(金)の回を計算科学研究センターが担当します。このサイエンスカフェは、つくば市内に数ある研究教育機関がコラボして開催するサイエンスカフェとなっております。
参加費無料、予約不要です。皆様振るってご参加ください。

場所:co-en(つくば市吾妻1-10-1 つくばセンタービル1F)
日時:2024年1月26日(金)19:00-20:00
タイトル: スーパーコンピュータで挑む ~素粒子の世界と気象のお話~
登壇者: CCS 素粒子物理研究部門 助教 大野 浩史 氏
        地球環境研究部門 助教 ドアン グアン ヴァン 氏
ファシリテーター:CCS サイエンスコミュニケーター 関谷 薫  氏

3月8日まで毎週金曜開催です(休催日あり)。
詳しくはつくばサイエンスツアーオフィスのHPをご覧ください。

可逆性小児急性肝不全の発症機序の解明-治療薬開発に向けた道筋-

2023年12月27日

国立大学法人東北大学
国立大学法人熊本大学
国立大学法人筑波大学

【発表のポイント】

  • 可逆性小児急性肝不全の原因の一つはミトコンドリア酵素のMTU1遺伝子の変異ですが、疾患発症の仕組みは不明でした。
  • MTU1遺伝子の疾患関連変異の作用を検討し、変異がミトコンドリアtRNA硫黄修飾(注1)の低下を引き起こすことで発症に寄与することを明らかにしました。また、MTU1変異の種類によって硫黄修飾障害率が異なり、病態の重篤度に大きく影響することが分かりました。
  • MTU1タンパク質を分解してしまうCLPP(注2)遺伝子の発現を抑制することで、に成功しました。


【概要】

  可逆性小児急性肝不全は、重度の肝機能低下を主症状とする希少小児疾患であり、出生後まもなく発症し死に至るケースも報告されています。可逆性小児肝不全の原因としてMTU1遺伝子の変異が知られています。一方、患者で報告されているMTU1遺伝子の変異は非常に多様であり、それぞれの変異が疾患の発症に与える影響は不明でした。

東北大学加齢医学研究所の魏范研教授、Raja Norazireen Raja Ahmad研究員らは、熊本大学大学院生命科学研究部富澤一仁教授、筑波大学計算科学研究センター重田育照教授らとの共同研究により、可逆性小児肝不全患者で報告されている17種類のMTU1遺伝子変異の作用を明らかにしました。これらの変異はMTU1の酵素活性とタンパク量の低下を引き起こすことで、MTU1によるミトコンドリアtRNA硫黄修飾を大きく障害し、ミトコンドリアでのタンパク質翻訳とエネルギー代謝の低下原因となることがわかりました。

また、MTU1タンパク量低下の原因は、CLPPによる分解であることを突き止めました。さらに、CLPPの機能抑制がMTU1タンパク量の増加を介して、ミトコンドリアtRNA硫黄修飾の回復に成功し、MTU1の分解抑制が可逆性小児肝不全の治療につながる可能性が示されました。

本研究結果は2023年12月19日付の欧科学誌Nucleic Acids Researchに掲載されました。

 

プレスリリース全文はこちら

 

掲載論文

【題名】
Pathological mutations promote proteolysis of mitochondrial tRNA-specific 2-thiouridylase 1 (MTU1) via mitochondrial caseinolytic peptidase (CLPP)
 
【掲載誌】
Nucleic Acids Research
 
【DOI】
10.1093/nar/gkad1197