【受賞】青木愼也客員教授、石井理修准教授、石山智明研究員が平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受けました

平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、筑波大学計算科学研究センターの青木愼也客員教授・石井理修准教授が科学技術賞研究部門を、石山智明研究員が若手科学者賞を受賞しました。授賞式は4月15日(火)、文部科学省3階講堂にて行われます。

科学技術賞研究部門
「量子色力学の第一原理計算に基づく核力の研究」
初田哲男・理化学研究所仁科加速器研究センター主任研究員
青木愼也・京都大学基礎物理学研究所教授/筑波大学数理物質系(計算科学研究センター)客員教授
石井理修・筑波大学数理物質系(計算科学研究センター)准教授

若手科学者賞
「高精度大規模計算によるダークマター微細構造の研究」
石山智明・筑波大学計算科学研究センター研究員

賞の詳細、受賞理由等については文部科学省ホームページ
報道発表「平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について」(平成26年4月7日)
をご覧ください。受賞者一覧は最下部にPDFにて掲載されています。

必須アミノ酸「トレオニン」生合成の最終過程が明らかに-スーパーコンピュータで網羅的に反応経路を探索

掲載情報:QLifePro医療ニュース(3/26)

プレスリリース

2014年3月14日

国立大学法人 筑波大学
学校法人 大阪医科大学

[印刷用PDF 277KB]

必須アミノ酸「トレオニン」生合成の最終過程が明らかに
-スーパーコンピュータで網羅的に反応経路を探索

概要

筑波大学数理物質系の庄司光男助教と大阪医科大学総合教育講座の林 秀行教授らによる研究グループ(以下筑波大グループ)は、筑波大学計算科学研究センターのスーパーコンピュータ「T2K-Tsukuba」など※1を用いて「トレオニン」生合成の最終過程の反応経路を初めて解き明かしました。

トレオニンはヒトの体内で作り出すことができない必須アミノ酸です。植物や大部分の微生物はトレオニンを多段階の複雑な反応経路で合成しており、その最終過程では、トレオニン合成酵素による酵素反応が行われています。この反応には“生成物支援触媒”という特徴があり、生成物の1つであるリン酸イオンがトレオニン生成反応を飛躍的に増大させています。この特徴は実験的には証明されているのですが、実際にどのような経路で反応しているのかがわかっていませんでした。

トレオニン合成酵素が関わる複雑な反応機構を探るためには、スーパーコンピュータを用いた高精度量子力学計算法※2が有効です。筑波大グループは、高並列計算によって網羅的に反応中間体と反応経路の探索を行い、生成物支援触媒の仕組みを初めて明らかにしました。この研究成果は、国際論文誌「Journal of the American Chemical Society」ウエブ版に3月13日(現地時刻。日本時刻14日)付けで掲載されました。

1.背景

酵素は、生体内において生命現象に不可欠な化学反応を支えており、効率的に物質変換とエネルギー変換を行っています。また、様々な調節機構により情報伝達や反応制御を行っており、極めて洗練されたシステムを構築しています。このような酵素の仕組みを解明することは、生物学や化学だけではなく、農学、医薬品開発など多くの分野への応用が期待できるため極めて重要です。

多くの酵素反応のうち、加水分解酵素など比較的簡単な反応については解析が進み、電子レベルでの反応機構が議論されるようになっています。しかし、より複雑な酵素反応においてはまだその水準に達していません。

トレオニン合成酵素(ThrS:threonine synthase)は、トレオニン生合成の最終過程である ホスホホモセリンからトレオニンを生成する段階を触媒しています。ThrSの反応は実験的解明が進んでおり、多段階の位置特異的かつ立体選択的反応過程が含まれ、さらに反応副成物のリン酸イオンがその後の反応制御に関わる“生成物支援触媒”機構をもつことが明らかにされています※3。しかし、ThrSの反応には他に「補欠分子族」と呼ばれる分子が関わるため反応中間体の特定は難しく、これまでThrSの反応機構、とくに反応制御の分子メカニズムは明らかになっていませんでした。

2.研究手法と結果

酵素における反応機構を明らかにするには高精度量子力学計算法のひとつであるQM/MM法が有効です。しかし、トレオニン合成酵素反応では多くの不確定要素、たとえば活性中心におけるプロトン化状態、水素結合ネットワーク、水の存在様式などがあるため、理論計算による検証には非常に多くの計算と、それを現実的な時間で可能にする計算の高速化が必要とされていました。

筑波大グループはスーパーコンピュータ「T2K-Tsukuba」を用いて並列計算(256~1024並列)の効率化に取り組んだ結果、高速計算が実行できるようになりました。それにより、ThrSにおける反応特性決定過程に重要な反応におけるすべての反応中間体と反応経路について理論検証を行うことができました。トレオニン生成経路のCβ水酸化反応、Cαプロトン付加反応、イミノ基転移反応を明らかにし、副反応を抑えてトレオニン生成が特異的に進行することを説明しました。

計算により得られた自由エネルギーやUVスペクトルといった化学的性質は実験結果と非常に良く一致し、計算の妥当性が確認できました。さらに選択的なトレオニン生成が、リン酸イオンと生成物の間に作られる特定の水素結合によりもたらされていることを解明しました。

トレオニン合成酵素の計算モデル全系 反応が行われる場所の拡大図

図 左はトレオニン合成酵素の計算モデル全系。溶媒水(薄い紫)の中にトレオニン合成酵素が浮かぶ。右は反応が行われる場所の拡大図。重要な部分だけ、正確だが計算量が大きい量子力学計算を行い、それ以外は、正確さは欠けるが計算量が小さい古典力学計算を行う(QM/MM法)。

3.今後の期待

トレオニン合成酵素における生成物支援触媒の仕組みが明らかになったことで、酵素反応の学術的理解が進むのみならず、酵素や精密有機合成における効率的反応進行や主反応・副反応の制御に応用していく上で極めて重要な示唆を与えることができたと考えています。それにより、新薬開発への発展も期待されます。

また、スーパーコンピュータを利用することでリアリステックな計算モデルを用いることができ、実験結果と多くの対応がつけられるようになった点も極めて先進的です。今後はより多くの実験結果と比較検討していくことで、理論計算の正確さと理論的アプローチの有用性の向上に取り組みます。

近年、計算機性能は目覚ましく向上しています。計算科学的アプローチは、今後、より短時間でより膨大な探索を行うことが可能になります。生命現象が分子レベルで詳しく解明されていくのみならず、化学、材料、医療分野での革新的進展に貢献できると期待されます。

用語解説

※1 スーパーコンピュータ
主にT2K-Tsukubaを利用。ほかに筑波大学計算科学研究センターのHA-PACS、東京大学物性研究所のスーパーコンピュータ、東京大学情報基盤センターFX10を利用した。

※2 高精度量子力学計算法
原子の世界を支配する法則である量子力学を用いた計算法。計算モデル全体に適用すると計算量が膨大になるため、重要な中心部だけ量子力学計算を行い、それ以外は古典力学を用いたQuantum mechanics/ Molecular Mechanics(QM/MM)法が開発された。QM/MM法は、2013年ノーベル化学賞の受賞対象となった計算手法である。

※3 T. Murakawa, et. al, J. Biol. Chem., 286, 2274 (2011)

掲載論文

タイトル:A QM/MM study of the L-threonine formation reaction of threonine synthase: Implications into the mechanism of the reaction specificity
(タイトル和訳: トレオニン合成酵素におけるL-トレオニン生成反応のQM/MM計算-反応特異性の仕組みについて)

著者:Shoji, M.; Hanaoka, K.; Ujiie, Y.; Tanaka, W.; Kondo, D.; Umeda, H.; Kamoshida, Y.; Kayanuma, M.; Kamiya, K.; Shiraishi, K.; Machida, Y.; Murakawa, T.; Hayashi, H.,

掲載誌: the Journal of the American Chemical Society.

問い合わせ先

庄司光男(しょうじ・みつお)
筑波大学 数理物質系/計算科学研究センター 助教
E-mail:mshoji [at] ccs.tsukuba.ac.jp

林 秀行(はやし・ひでゆき)
大阪医科大学 総合教育講座化学教室 教授
E-mail:hayashi [at] art.osaka-med.ac.jp

報道担当:
筑波大学計算科学研究センター広報室
TEL:029-853-6260 FAX:029-853-6260
E-mail:pr [at] ccs.tsukuba.ac.jp

スーパーコンピュータ T2K-Tsukuba 運用終了

T2K-Tsukuba

計算科学研究センターが平成20年6月より運用を続けてきましたスーパーコンピュータT2K-Tsukubaは、5年9ヶ月の計画運用期間を満了し、平成26年2月28日に運用を終了しました。同システムは本センターがCP-PACS構築以来続けてきた、超並列型スーパーコンピュータによる大規模先進的計算科学の推進研究を、コモディティ技術をもって実現するべく導入された超並列PCクラスタです。

同システムは、当時最先端のquad-core processor(1つのCPUチップ内に4つのCPU core を内蔵)であるAMD社OpteronシリーズのBarcelona世代CPUをノード当たり4つ搭載し、16 coreで共有メモリを構築可能な先進的大規模PCクラスタでした。また、並列通信性能を大幅に増強するため、InfiniBand DDRリンクを4つ搭載し、演算性能と通信性能のバランスの取れた、汎用高性能計算用システムとして構築されました。総ノード数648台、総CPU core数10368基、総理論ピーク性能95TFLOPSで、平成20年6月時点のTOP500リストで日本国内第2位、同世界20位にランクされました。

さらに、同システムは筑波大学・東京大学・京都大学の三者間で結ばれた T2K Open Superomputer Alliance の下で、基本システム・アーキテクチャを共通のものとし、各サイトで開発されたプログラムコードの性能可搬性の実現、専用回線を使ったグリッド接続実験、さらにこの連携に基づく様々な計算機科学共同研究等、幅広い展開につながるマシンでもありました。

同システムは計算科学研究センターが展開する様々なスーパーコンピュータ共同利用プログラムである、学際共同利用プログラム、大規模一般利用プログラム、そして平成24年後半からは文部科学省が進めるHPCI (High Performance Computing Infrastructure) プログラムにおける共有リソースの一つとして、全国の様々な計算科学・計算工学・計算機科学の研究者に利用され、常に高い利用率で運用を続けました。

同システムの運用終了に際し、長期間に渡り同システムをご愛用頂きましたことを改めて感謝致します。T2K-Tsukuba が少しでも皆様の研究に貢献できたのであれば、大変嬉しく思います。ありがとうございました。

計算機システム運用委員会委員長
朴 泰祐

高校生がスーパーコンピュータを使って5×5魔方陣の全解を求めることに成功

掲載情報:日刊スポーツ/共同(2/28)朝日新聞(3/1)、茨城新聞(3/1)、読売新聞(3/2)、日経新聞(3/2)、東京新聞(3/2)

プレスリリース

平成26年2月28日

国立大学法人筑波大学

[印刷用PDF 496KB]

概要

筑波大学計算科学研究センターは、全国共同利用施設として、一般公募による「学際共同利用プログラム」※1を実施しています。平成25年度に、茨城県立並木中等教育学校4年次(高校1年)の杉﨑行優(すぎざき・ゆきまさ)君の申請が採択されました。杉﨑君は筑波大学計算科学研究センターの朴泰祐教授と共同研究を進めた結果、スーパーコンピュータ「T2K-Tsukuba」※2を使った並列計算により、5×5の魔方陣の全ての解を求めることに成功しました。
魔方陣とは、正方形のマス目に、縦・横・斜めの合計が同じになるよう数字を置いたものです。5×5の魔方陣の全解は2億7530万5224通りあることがすでにわかっています。杉﨑君は「枝刈り法」を改良した求解アルゴリズムを考案し、スパコンに並列計算させるためのプログラムを開発しました。朴教授は、並列データの収集や並列化に関する詳細なアドバイスを行いました。並列計算はT2K-Tsukubaの全648ノードのうち32ノードを使って行われ、最速で約2時間36分で全解を求めることができました。

1.魔方陣

魔方陣は、正方形の方陣(マス目)に、縦・横・斜めの和が同じになるよう数字を置いたものです。とくに、1からマス目の総数までの数字すべてを使ったものを指します。

魔方陣1 魔方陣2 魔方陣3
図1 魔方陣の例
マス目の数が3×3のとき、縦・横・斜めの和はすべて15になっており、解は対称のものを除くと1通りだけである。4×4では和は34で解は880通り、5×5では和は65で解は2億7530万5224通り(1970年代に発見)。6×6の解の総数はわかっていない。

2.スーパーコンピュータによる並列計算

(1) アルゴリズムの考案

魔方陣の求解は、すべての数字を「総当たり」で入れて正解かどうかを確かめていくのが基本です。しかし、たとえば5×5の場合、1列の和が65とわかっているため、1列の4マスまで埋まると残り1マスは自動的に求められ、これを総当たりから除くことができます。この考え方を「枝刈り法」といいます。
杉﨑君はこの枝刈り法をもとに、総当たりのマス目の数を25から14まで減らせることに気づきました(図2)。これは非常に重要で、総当たり数が14から15へたった1増えただけでも計算時間は数十倍になると見積もられています。今回は総当たりを14で行いましたが、これが最も少ないかどうかはわかりません。さらに減らせる可能性もあります。

image4
図2 枝刈り法をもとにした求解アルゴリズム
丸数字は総当たりで数字を入れる順番(1から25の数字そのものではない)、✓は自動的に求められるマスを表す。斜めのマスを優先的に埋めることで、自動的に求められるマスの個数をさらに増やすことができた。

(2) 並列プログラムの開発

並列型スーパーコンピュータのプログラミングでは、計算をいかに均等に各コアに振り分けるかが重要です。今回、5×5魔方陣の解を求めるにあたって、T2K-Tsukubaの512CPUコア(32ノード)を用いました。これは4.7TFLOPS(1秒間に4.7兆回の計算性能)に相当します。
魔方陣の解を求めるのに必要な計算を512コアに振り分けるために、マスタ・ワーカー方式を用いました。1コアをマスタに指定して全体の司令塔の役目を担わせます。それ以外の511コアはワーカーとしてマスタの指示に従って計算を行います。このとき、仕事の振り分け方が均等でないと、計算を早く終えてさぼっているコアが出てきてしまい、全体の計算時間が増えてしまいます。
実際の計算では、マスタがN番目(Nは0から14のいずれか)のマスまで総当たりをして、その後をワーカーに振り分け、各ワーカーはN+1番目のマスから総当たりを行います。このとき、Nの値が小さいとワーカーの「粒度」(仕事のバラつき)が大きくなってワーカーの計算時間にバラつきがでます(全体の計算時間は増える)。一方、Nの値が大きいと、粒度は小さくなってワーカーの計算時間が均等になっていきますが、マスタとワーカーの通信時間が増大するために、全体の計算時間はやはり増えてしまいます。以上のことから、Nには計算時間が最小になる最適な値が存在することになります。

3.結果

スーパーコンピュータT2K-Tsukubaを用いて並列計算を行い、5×5の魔方陣の全ての解2億7530万5224通りを求めることに成功しました。出力結果は約25GBになりました。
Nの値が3から8について計算を実行し、N=6のときに計算時間が最も短くなることがわかりました。5×5の魔方陣の全解を求めるのにかかった時間は約2時間36分でした(図3)。

図3
図3 N=3~8における実行時間
N=4~7の実行時間はわずかな差だが、N=6のときが最も短い。

また、N=3、6、8のときの各ワーカーの主要処理実行時間を調べたところ、N=3ではバラつきが大きく、N=6、8ではバラつきがほとんどないことがわかりました。また、同じくN=3、6、8のときの各ワーカーの総通信時間を調べ、N=3、6ではほぼ0時間、N=8では1時間以上かかったことが判明しました(図4)。

図4左 図4右
図4 各ワーカーの主要処理実行時間(左)と総通信時間(右)
主要処理実行時間は、N=3のときおよそ0時間から12時間とバラつきが大きかった。

4.今後の展望

筑波大学計算科学研究センターのスーパーコンピュータ「T2K-Tsukuba」は、2014年2月末で運用を終了します。2014年度からは、新たなスーパーコンピュータ「COMA」※3(こま)を導入し、「HA-PACS/TCA」との2台体制で、今後も学際共同利用プログラムを積極的に展開していきます。
杉﨑君と朴教授は引き続き、5×5魔方陣における並列計算の高速化を進めていきます。COMAの学際共同利用プログラム利用を目指して、アルゴリズムやプログラムの改良を行います。6×6魔方陣へのチャレンジは、現時点では不可能と判断しています。総当たり数を36から23まで減らすことができていますが、現在のプログラムでは150兆年かかると見積もられています。これはエクサスケールのスパコンでも54万年以上かかる計算で、事実上不可能です。

用語解説

※1 学際共同利用プログラム(平成26年度)
公募について(締切済) http://www.ccs.tsukuba.ac.jp/kyodoriyou/gakusai/koubo/

※2 スーパーコンピュータ「T2K-Tsukba」
2008年に稼働開始した648ノード、総演算性能95.4TFLOPS(1秒間に95.4兆回)の並列スーパーコンピュータシステム。筑波大、東大、京大の3機関で共通の仕様を用いているため「T2K」の名がついた。T2K-Tsukba は2014年2月末に運用を終了する。

※3 スーパーコンピュータ「COMA」
2014年度から導入されるメニーコア・スーパーコンピュータシステム。計算科学研究センターが開発してきたPACSシリーズの9代目(PACS-Ⅸ)。377ノードで総演算性能は960TFLOPS。そのうちCPU部分が151TFLOPS、61コアのメニーコアプロセッサ部分が809TFLOPS。

<問い合わせ先>
国立大学法人筑波大学 計算科学研究センター 広報室
TEL:029-853-6260 FAX:029-853-6260
E-mail:pr[at]ccs.tsukuba.ac.jp
※並木中等教育学校への直接の取材依頼はご遠慮ください。筑波大学計算科学研究センター広報室が窓口として対応いたします。

 

JAPAN-KOREA HPC WINTER SCHOOL

Date:
February 24th (Mon) – 27th (Thu), 2014

Venue:
International Workshop Room, Center for Computational Sciences, University of Tsukuba
1-1-1 Tennodai, Tsukubashi, Ibaraki 305-8577 Japan
http://www.ccs.tsukuba.ac.jp

Sponsored by:
Center for Computational Sciences, University of Tsukuba, Japan
National Institute of Supercomputing and Networking, Korea
IMG_1134


Agenda:

24th Feb.: SCHOOL DAY-1

09:00 – 10:30 Fundamentals on HPC and Parallel Processing
( Taisuke Boku, CCS )
10:45 – 12:15 Parallel Programming 1: OpenMP
( Mitsuhisa Sato, CCS )
14:15 – 15:45 Parallel Numerical Algorithm
( Hiroto Tadano, CCS )
16:00 – 17:30 Optimization 1: Computation Optimization
( Daisuke Takahashi, CCS )

25th Feb.: SCHOOL DAY-2

09:00 – 10:30 Parallel Programming 2: MPI
( Osamu Tatebe, CCS )
10:45 – 12:15 Parallel Processing Systems
( Yuetsu Kodama, CCS )
12:15 – 12:45 Site visit of HA-PACS
13:45 – 15:15 Optimization 2: Communication Optimization
( Osamu Tatebe, CCS )

26th Feb.: SCHOOL DAY-3 / MINI-WORKSHOP Part1

MINI-WORKSHOP Part1

09:00 – 10:30 Accelerated Computing 1: GPGPU Programming and Computing
( Hyungon Ryu, nVIDIA Korea )
10:45 – 12:15 Accelerated Computing 2: Many-core Processor Programming and Computing
( Hongsuk Yi, KISTI )
14:00 – 14:30 Phantom-GRAPE : high performance software library to accelerate N-body calculation with SIMD instruction set
( Kohji Yoshikawa, CCS )
14:30 – 15:30 Global Optimization by Conformational Space Annealing and its Applications to Biological Systems
(Jooyoung Lee, KIAS)
15:30 – 16:00 Understanding and control of quantum dynamics by pulsed lasers in an ultra-short time scale
( Tong Xiao-Min, CCS )
16:00 – 17:00 Developing a highly scalable molecular dynamics simulation program
( KwangJin Oh, KISTI )
17:00 – 17:30 Fock matrix preparation with GPGPU for fragment molecular orbital calculation
( Hiroaki Umeda, CCS )

27th Feb.: MINI-WORKSHOP Part2

09:00 – 09:30 Development of Block Krylov subspace methods for computing high accuracy solutions and their applications
( Hiroto Tadano, CCS )
09:30 – 10:30 EDISON: A Platform for Simulation based Learning of Computational Science and Engineering
( Ruth Lee, KISTI )
10:30 – 11:00 HA-PACS/TCA: Tightly Coupled Accelerators for Low-Latency Communication between GPUs
( Yuetsu Kodama, CCS )
11:00 – 11:30 KISTI application experiences with Intel Xeon Phi Coprocessor
( Hongsuk Yi, KISTI )

 

JAPAN-KOREA HPC WINTER SCHOOL(2014年2月24日-27日)

Date:
February 24th (Mon) – 27th (Thu), 2014

Venue:
International Workshop Room, Center for Computational Sciences, University of Tsukuba
1-1-1 Tennodai, Tsukubashi, Ibaraki 305-8577 Japan
http://www.ccs.tsukuba.ac.jp

Sponsored by:
Center for Computational Sciences, University of Tsukuba, Japan
National Institute of Supercomputing and Networking, Korea
IMG_1134


Agenda:

24th Feb.: SCHOOL DAY-1

09:00 – 10:30 Fundamentals on HPC and Parallel Processing
( Taisuke Boku, CCS )
10:45 – 12:15 Parallel Programming 1: OpenMP
( Mitsuhisa Sato, CCS )
14:15 – 15:45 Parallel Numerical Algorithm
( Hiroto Tadano, CCS )
16:00 – 17:30 Optimization 1: Computation Optimization
( Daisuke Takahashi, CCS )

25th Feb.: SCHOOL DAY-2

09:00 – 10:30 Parallel Programming 2: MPI
( Osamu Tatebe, CCS )
10:45 – 12:15 Parallel Processing Systems
( Yuetsu Kodama, CCS )
12:15 – 12:45 Site visit of HA-PACS
13:45 – 15:15 Optimization 2: Communication Optimization
( Osamu Tatebe, CCS )

26th Feb.: SCHOOL DAY-3 / MINI-WORKSHOP Part1

MINI-WORKSHOP Part1

09:00 – 10:30 Accelerated Computing 1: GPGPU Programming and Computing
( Hyungon Ryu, nVIDIA Korea )
10:45 – 12:15 Accelerated Computing 2: Many-core Processor Programming and Computing
( Hongsuk Yi, KISTI )
14:00 – 14:30 Phantom-GRAPE : high performance software library to accelerate N-body calculation with SIMD instruction set
( Kohji Yoshikawa, CCS )
14:30 – 15:30 Global Optimization by Conformational Space Annealing and its Applications to Biological Systems
(Jooyoung Lee, KIAS)
15:30 – 16:00 Understanding and control of quantum dynamics by pulsed lasers in an ultra-short time scale
( Tong Xiao-Min, CCS )
16:00 – 17:00 Developing a highly scalable molecular dynamics simulation program
( KwangJin Oh, KISTI )
17:00 – 17:30 Fock matrix preparation with GPGPU for fragment molecular orbital calculation
( Hiroaki Umeda, CCS )

27th Feb.: MINI-WORKSHOP Part2

09:00 – 09:30 Development of Block Krylov subspace methods for computing high accuracy solutions and their applications
( Hiroto Tadano, CCS )
09:30 – 10:30 EDISON: A Platform for Simulation based Learning of Computational Science and Engineering
( Ruth Lee, KISTI )
10:30 – 11:00 HA-PACS/TCA: Tightly Coupled Accelerators for Low-Latency Communication between GPUs
( Yuetsu Kodama, CCS )
11:00 – 11:30 KISTI application experiences with Intel Xeon Phi Coprocessor
( Hongsuk Yi, KISTI )

第97回計算科学コロキウムを2月24日(月)13:30より行います。

第97回計算科学コロキウムを、2月24日(月)に開催します。
多数のご来聴をお願い致します。

日時:2014年2月24日(月)13:30-15:00
場所:CCS 会議室A
Title: The Quest for Solving QCD: Simulating fundamental particle interactions on supercomputers
講師:Dr. Karl Jansen(NIC, DESY, Zeuthen)

abstract:
The strong interactions of elementary particles are described theoretically in the framework of Quantum Chromodynamics (QCD). The most promising way to solve QCD is given by numerical simulations using Monte Carlo Methods, in which the space-time continuum is replaced by a lattice. We shall demonstrate that since the invention of this approach by K. Wilson the conceptual, algorithmic and supercomputer developments have progressed so much that today realistic simulations of lattice-QCD become possible, bringing us close to a, at least, numerical solution of QCD. As one example, we will show results for the hadron spectrum. In addition, we will address the anomalous magnetic moment of the muon as a prime candidate for finding physics beyond the standard model.

世話人:金谷和至
素粒子理論研究室セミナーとの共同開催です。

筑波大学2013 BEST FACULTY MEMBER表彰式(2/12)

計算科学研究センター 素粒子物理学研究部門の石井理修准教授と、計算情報学研究部門データ基盤分野の北川博之教授が、筑波大学2013 BEST FACULTY MEMBERに選ばれました。

日 時:2月12日(火)15:00~17:00
場 所:筑波大学 大学会館ホール
式次第:15:00~15:30 表彰式
    15:30~17:00 表彰教員による講演

詳しくは大学ホームページをご覧ください。

教育部門で表彰を受ける北川博之教授
教育部門で表彰を受ける北川博之教授
講演を行う石井理修准教授
講演を行う石井理修准教授

宇川彰先生 筑波大学退職記念講演会とパーティーのご案内

拝啓

 永年にわたり筑波大学で素粒子物理学と計算科学を牽引し、大学運営と計算科学コミュニティー育成に多大な貢献をしてこられた宇川彰先生が、来る2014年3月末日をもって筑波大学を退職され、理化学研究所計算科学研究機構・副機構長に御栄転されることとなりました。そこで、退職記念講演会とパーティーを企画いたしましたので、ご案内申し上げます。
posterUkawa

記念講演会
 日時:2014年3月18日(火)14:00 開場、14:40~17:10
 場所:筑波大学会館ホール
    茨城県つくば市天王台 筑波大学 南地区 大学会館本館
    http://www.tsukuba.ac.jp/access/map_south.html

パーティー
 日時:2014年3月18日(火)18:00~21:00
 場所:オークラ フロンティア ホテル つくば アネックス1F
    昴・東の間
    茨城県つくば市吾妻1丁目1364-1  TEL.029-852-1112
    http://www.okura-tsukuba.co.jp
 会費:1万円(記念品代を含む)  当日会場にて

なお、準備の都合上、できるだけ3月10日(月)までに、ご出欠を電子メール等にて下記までお知らせいただきたいと存じます。

連絡先:〒305-8571 茨城県つくば市天王台1-1-1
筑波大学 数理物質系 物理学域 金谷和至
email: kanaya[at]ccs.tsukuba.ac.jp
fax: 029-853-4492

 宇川彰先生は、1977年に東京大学で博士号を取得され、コーネル大学原子核研究所、CERN、プリンストン大学物理学科のポスドク研究員、東京大学原子核研究所助教授を経て、1984年に筑波大学物理学系助教授に着任されました。1990年には教授に昇任され、1998年計算物理学研究センター長、2004年計算科学研究センター長を歴任されました。1994年には、「格子量子力学の大規模シミュレーションによる研究」により、仁科記念賞を、岩崎洋一先生、大川正典先生、福来正孝先生と共同受賞されました。その後、2007年からの学長特別補佐を経て、2009年4月に筑波大学副学長に就任され、2013年3月まで大学の運営に活躍されました。学外でも、スーパーコンピュータ「京」の開発と利活用をはじめとする計算科学全般の推進に向けて、文部科学省の多くの委員会委員や一般社団法人HPCIコンソーシアムの理事長を務められるなど、わが国における理学と計算科学の発展に尽力されました。

 記念講演会とパーティーは、先生の御退職にあたって、その御功績を称え、今後の一層の御活躍を願って、筑波大学の有志で企画いたしました。形式にはこだわらず、ご参加の皆さんに大いにご歓談いただく場にしたいと考えております。ぜひご参加いただき、私達と一緒に楽しんで下さいますよう、お願い申し上げます。

敬具

2014年2月
世話人一同  三明康郎、大田友一、梅村雅之、佐藤三久、朴泰祐、和田耕一、藏増嘉伸、石橋延幸、金信弘、金谷和至

計算科学研究センター 計算機システムT2K-Tsukubaログインサーバへの不正アクセスについて

計算科学研究センター 計算機システムT2K-Tsukubaログインサーバにおいて、外部から不正アクセスがあったことが、平成26年1月27日(月)に判明しました。

1月24日(金)、ログインサーバに一般ユーザアカウントを使って侵入が行われましたが、個人情報の流出など、他機関に波及するような被害が無いことは確認できています。また、T2K-Tsukubaスーパーコンピュータ本体への侵入もありません。判明後、ログインサーバ及びスパコン本体を停止し、原因を究明しています。

センターにおいては昨年11月より、T2K-Tsukubaログインノードから外部向けのsshアクセスポートを閉鎖しており、当ログインノードを踏み台とした被害拡大はありません。今回の事案につきましては、徹底的な原因究明の上、対策を講じていきます。

計算機ユーザならびに関係機関の皆様には、ご迷惑をお掛けしますことをおわび申し上げるとともに、問題解決に向け、ご協力をお願い申し上げる次第です。

平成26年2月7日

筑波大学 計算科学研究センター
センター長 梅村 雅之


システム・ログインサーバ及びスパコン本体を停止後、本インシデントの原因を究明の上、新たなセキュリティ強化の対策を講じて安全性を確認したのち、ユーザファイルの保全等のため、2月17日(月)14:30より運用を再開しましたが、予定していた運用期限を迎えましたので、2月28日17:00に本システムの運用を終了しました。

これまでの5年9ヶ月の長期に渡りT2K-Tsukubaを利用して頂きました多数の皆様に心よりお礼申し上げます。

平成26年3月4日

筑波大学 計算科学研究センター
センター長 梅村 雅之

問い合わせ先:
筑波大学計算科学研究センター広報室
TEL:029-853-6260(直通)、029-853-6487(センター事務)
Email:pr [at] ccs.tsukuba.ac.jp

エクサスケール時代の高性能計算システム

筑波大学計算科学研究センター ワークショップ
「エクサスケール時代の高性能計算システム」

 来年度より文部科学省による次世代スーパーコンピュータの開発計画が始まることになり、欧米でも次世代の計算システムとして Exascale Computing System の研究開発が始まろうとしています。Exascale Computing では、これまでの Petascale Computing に比べ、より一層のハードウェア/ソフトウェア/アプリケーションにおけるチャレンジが待っており、あらゆる面での Co-Design が求められます。このための様々な試みや共同研究が始まっており、今後5年程度を目処にシステムの実現を目指す研究が活性化されるものと期待されます。
 このような背景の下、筑波大学計算科学研究センターでは米国 Oak Ridge National Laboratory の Dr. Jeffrey Allen Nichols をお招きし、Exascale Computing に関する講演をして頂くことになりました。併せて、米国クレイ社による次世代超並列システムのための相互結合網技術に関する講演、また本年4月より本センターで稼働開始予定の次期スーパーコンピュータ COMA:PACS-IX (Cluster of Many-core Architecture Processors) の概要に関する紹介を行います。
 本ワークショップはどなたでも無料で参加頂けます(事前参加登録をお願いします)。次世代計算システム技術の最新動向とコモディティ技術ベースによる最先端計算システムに関する情報及び意見交換の場として、多数の皆様のご参加をお待ちしております。

日時:
平成26年1月30日(木)10:30~12:30

場所:
筑波大学 計算科学研究センター 国際ワークショップ室

参加登録:
参加登録は終了しました。

プログラム:

(1) 10:30~11:30 “Toward EXA Flops Era”
Jeffrey Allen Nichols
(Associate Laboratory Director, Computing and Computational Sciences,
Oak Ridge National Lavatory)
(2) 11:30~12:00 “Next generation HPC technology, the cost and scalability of interconnects”
Steve Lyness
VP Solution Engineering, Cray Cluster System division.
Cray Inc.
(3) 12:00~12:30 “計算科学研究センター次期スーパーコンピュータ COMA:PACS-IX”
朴 泰祐
筑波大学計算科学研究センター 副センター長

データセンター向けSSD への適用を目指した相変化デバイスの低消費電力動作に成功-“溶融しない”相変化で高速・低電力・1億回書き換え動作を実証

掲載情報:日経BP(12/10)、日刊工業新聞(12/11)

プレスリリース

データセンター向けSSD への適用を目指した相変化デバイスの低消費電力動作に成功-“溶融しない”相変化で高速・低電力・1億回書き換え動作を実証
 

2013年12月9日
超低電力デバイス技術研究組合
Low-power Electronics Association & Project (LEAP)

詳細PDF (701KB)

概要

超低電力デバイス技術研究組合(理事長:豊木則行、以下LEAPと略記)は国立大学法人筑波大学との共同研究により、データセンター向け固体ストレージSSD(Solid State Drive)への適用を目指した、相変化デバイスの高速・低電力・1億回動作に成功しました。
SSDの不揮発メモリには、現在、フラッシュメモリが用いられています。フラッシュメモリは多値記憶により大容量化を達成していますが、高い内部電圧が必要なことと低いデータ転送速度を補うために消費電力が増大する等の課題があります。今後、データセンターに用いられるSSDにはこれまでにない高速処理能力が求められます。特に、アクセスが集中するストレージ階層に相変化デバイスを使用し、これまでにない高速、低電力、高信頼などの特性を新たにSSDに付加することが重要です。
先のリリース(VLSI Tech.2013)では、抵抗変化でデータを保持する相変化デバイスにおいて、GeTe/Sb2Te3超格子膜の電荷注入による動作の機構を見出しました。今回は、書換動作後にGeTe/Sb2Te3超格子構造が保持されることを観測して、“溶融を伴わない”抵抗変化現象を実証しました。さらに、GeTe/Sb2Te3超格子結晶膜を高品質化することで、従来の相変化デバイスと比較して1/10以下の書き込み時間と書き込み電力、及び1億回以上の書換動作が可能となりました。開発した相変化デバイスを適用することで、これまでにない高速、低電力、高信頼などの特性をSSDに付加できます。さらに高性能化に伴ってチップ個数の削減による低コスト化などのシステムメリットをもたらすと同時に、データセンターの低電力化に貢献することが期待されます。今後、実用化を目指した集積化実証の研究開発を進めていきます。
本研究は、平成22 年度経済産業省産業技術研究開発委託費「低炭素社会を実現する超低電圧デバイスプロジェクト」に関する委託研究として実施ました。平成23 年度からは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「低炭素社会を実現する超低電圧デバイスプロジェクト」に係る委託業務として実施しています。デバイス試作に関しては、独立行政法人産業技術総合研究所スーパークリーンルーム(SCR)を使用し、SCR運営室にご協力頂きました。

T2K-Tsukubaログインサーバへの不正アクセスについて:続報

筑波大学計算科学研究センター
平成25年11月29日

 T2K-Tsukubaログインサーバへの不正アクセスにより、全ユーザの暗号化されたssh公開鍵認証情報が取得された可能性があった件で、セキュリティ対策を完了しましたので、停止中のシステムを11/26に再稼働しました。再稼働後、しばらく状況を見守っておりましたが、現在のところ問題は発生しておりません。

 対策としては、公開鍵を全て更新し、ユーザに対してセキュリティレベル向上について具体的な指導を行いました。また、ログインサーバのOSを最新のLinuxに変更し、セキュリティ監視に関して万全の措置を施しました。

 スーパーコンピュータの運転が11/3から停止し、共同利用研究者の方々と関係機関の皆様にご迷惑をおかけしましたことを重ねてお詫びします。

問い合わせ先:
筑波大学計算科学研究センター広報室
TEL:029-853-6260(直通)、029-853-6487(代表)
Email:pr [at] ccs.tsukuba.ac.jp

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T2K-Tsukubaログインサーバへの不正アクセスについて

K computer Recognized in Class 1 and 2 of the HPC Challenge Awards

November 22, 2013

RIKEN
University of Tsukuba
Fujitsu Limited

[PDF 141KB]

Top honors awarded for productivity in a high-performance supercomputer parallel programming language implementation (a first for Japan) and overall performance

RIKEN, the University of Tsukuba and Fujitsu today announced that they were recognized in the 2013 HPC Challenge Awards. RIKEN and the University of Tsukuba received the prize in the HPC Challenge Class 2 Awards, which recognize the overall performance of a programming language. This recognition is based on performance results measured using the K computer for implementations of the high-performance supercomputer parallel programming language XcalableMP, which was jointly developed by RIKEN and the University of Tsukuba. This is the first time a Japanese organization has received the award.

Furthermore, RIKEN, the University of Tsukuba, and Fujitsu received top ranks in three of the four benchmarks at the 2013 HPC Challenge Class 1 Awards for the performance of the K computer. The first-place rankings were received in the following three benchmarks used for evaluating the all-around performance of a supercomputer: (1) Global HPL, which measures the floating point rate of execution for solving a linear system of equations; (2) EP STREAM (Triad) per system, which measures sustainable memory bandwidth and the corresponding computation rate for simple vector kernels; and (3) Global FFT, which measures the floating point rate of execution of double precision complex one-dimensional Discrete Fourier Transform.

With this, the K computer ranked first, for the third consecutive year from 2011 to 2013, in the HPC Challenge Class 1 Awards. The awards were announced on November 21, 2013 in Denver, Colorado at SC13, the International Conference for High Performance Computing, Networking, Storage and Analysis.

The HPC Challenge benchmarks are benchmark programs designed to evaluate the overall performance of supercomputers in terms of processing performance in 28 tests derived from frequently used computational patterns in the field of scientific computation. There are two classes of awards: Class 1, which measures benchmark performance values, and Class 2, which measures the productivity of programming language implementations.

The HPC Challenge Class 2 Award, the first to be received by a Japanese organization, is a contest for programming languages used in developing HPC applications. Among the 28 tests mentioned above, the award is designed to evaluate both programming language productivity and performance for four HPC Challenge benchmarks: Global HPL, which measures the floating point rate of execution for solving a linear system of equations; Global RandomAccess, which measures random memory access performance in parallel processing; EP STREAM (Triad) per system, which measures memory access speed under multiple loads; and Global FFT, which measures total performance of Fast Fourier Transform. Participants can also choose to include up to two additional benchmarks besides the HPC Challenge benchmarks for consideration, and the award is determined based on the total score for the implementations including the additional benchmarks.

The award-winning XcalableMP is a programming language that was jointly developed by the RIKEN Advanced Institute for Computational Science and the University of Tsukuba’s Center for Computational Sciences. The HPC Challenge benchmarks and the Himeno benchmark (a benchmark program to evaluate the performance of incompressible fluid analysis code) are the benchmarks that were implemented. The performance results of each of these benchmarks on K computer demonstrated that implementations using XcalableMP exhibit extremely high performance.

Programming languages that can be used to develop highly productive, high-speed applications that run on large-scale computation environments – such as K computer – make it possible to accelerate the pace of research. As a result, they are highly desirable by researchers both inside and outside Japan. The awards reveal both the high productivity and high performance of XcalableMP, in addition to demonstrating the substantial effectiveness of XcalableMP for developing HPC applications.

The K computer, which was developed jointly by RIKEN and Fujitsu as a part of the High-Performance Computing Infrastructure (HPCI) initiative led by Japan’s Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT), was opened to shared use in September 2012. The University of Tsukuba contributed extensively to increasing the computational speed for the Global FFT benchmark.

Additional Information

Press Contacts
RIKEN Advanced Institute for Computational Science
Office for Research Communications
Tel: +81-78-940-5623, 5624

University of Tsukuba
Public Relations Office, Center for Computational Sciences
pr [at] ccs.tsukuba.ac.jp

Fujitsu Limited
Public and Investor Relations Division
Inquiries: https://www-s.fujitsu.com/global/news/contacts/inquiries/index.html


About RIKEN
RIKEN is Japan’s flagship research institute devoted to basic and applied research. Over 2500 papers by RIKEN researchers are published every year in reputable scientific and technical journals, covering topics ranging across a broad spectrum of disciplines including physics, chemistry, biology, medical science and engineering. RIKEN’s advanced research environment and strong emphasis on interdisciplinary collaboration has earned itself an unparalleled reputation for scientific excellence in Japan and around the world. For more information, please see: http://www.riken.jp/

About University of Tsukuba
The University of Tsukuba aims to establish free exchange and close relationship in both basic and applied sciences with educational and research organizations and academic communities in Japan and overseas. The university makes a contribution to the world through its educational system that seeks to make the most of students’ creativity and individuality http://www.tsukuba.ac.jp/english/ https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/eng/

About Fujitsu
Fujitsu is the leading Japanese information and communication technology (ICT) company offering a full range of technology products, solutions and services. Approximately 170,000 Fujitsu people support customers in more than 100 countries. We use our experience and the power of ICT to shape the future of society with our customers. Fujitsu Limited (TSE: 6702) reported consolidated revenues of 4.4 trillion yen (US$47 billion) for the fiscal year ended March 31, 2013. For more information, please see http://www.fujitsu.com.

All company or product names mentioned herein are trademarks or registered trademarks of their respective owners. Information provided in this press release is accurate at time of publication and is subject to change without advance notice.

 

スーパーコンピュータ「京」でHPCチャレンジ賞クラス1、2(初)を受賞 -スパコンの高性能並列言語の実装における生産性(日本初受賞)と総合的な性能が高い評価-

掲載情報:スポーツ報知(11/22)、日本経済新聞(11/22)、HPCwireJAPAN(11/26)マイナビニュース(2014/1/9)

プレスリリース

平成25年11月22日

独立行政法人理化学研究所
国立大学法人筑波大学
富士通株式会社

[印刷用PDF 394KB]

 理化学研究所(理研、野依良治理事長)と筑波大学(永田恭介学長)が共同開発したスーパーコンピュータ用並列言語「XcalableMP(エクスケーラブル・エム・ピー)※1 」による実装が、スーパーコンピュータ「京(けい)」※2で測定した結果により、プログラミング言語の総合的な性能を評価する「HPCチャレンジ賞※3クラス2」を日本で初めて受賞しました。

 また、理研、筑波大学および富士通(山本正已代表取締役社長)は、「京」で測定した、スパコンの総合的な性能を評価するHPCチャレンジベンチマーク※4の実測結果により、2013年「HPCチャレンジ賞クラス1」の4部門中3部門で第1位を獲得しました。第1位を獲得したのは、①Global HPL(大規模な連立1次方程式を解く演算速度)②EP STREAM(Triad) per system(多重負荷時のメモリアクセス速度)③Global FFT(高速フーリエ変換の総合性能)の3部門です。「京」は「HPCチャレンジ賞クラス1」を2011年より今年2013年まで3年連続第1位を獲得しています。米国デンバーで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「SC13」で21日(日本時間22日)に発表されました。

 HPCチャレンジベンチマークは、科学技術計算で多用される計算パターンから抽出した28項目の処理性能によって、スパコンの総合的な性能を多角的に評価するベンチマークプログラムです。ベンチマーク性能値を競うクラス1とプログラミング言語の実装における生産性の高さを競うクラス2があります。

 今回、日本で初めて受賞した「HPCチャレンジ賞クラス2」は、HPCアプリケーションを作成するプログラミング言語を対象としたコンテストです。本賞では、上記28項目のうち、Global HPL(大規模な連立1次方程式を解く演算速度)、Global RandomAccess(並列プロセス間でのランダムメモリアクセス性能)、EP STREAM(Triad) per system(多重負荷時のメモリアクセス速度)、Global FFT(高速フーリエ変換の総合性能)の 4つのHPCチャレンジベンチマークの実装に対して、プログラミング言語の生産性と性能の両方を評価するものです。また、HPCチャレンジベンチマーク以外にベンチマークを最大2つまで任意に追加可能であり、追加したベンチマークを含めた実装に対する総合評価によって受賞が決定されます。

今回受賞した並列言語XcalableMPは、理研計算科学研究機構と筑波大学計算科学研究センターが共同で開発を行っているプログラミング言語です。実装を行ったベンチマークは、HPCチャレンジベンチマークと姫野ベンチマーク※5です。これら全てのベンチマークについて「京」を用いて性能評価を行った結果、XcalableMPによる実装が非常に高い性能を発揮することを示しました。

 「京」のように大規模な計算環境で動作するアプリケーションを、高生産かつ高い性能で開発できるプログラミング言語は、研究のスピードを速めることができるため、国内外の多くの研究者から待ち望まれています。本受賞はXcalableMPの持つ高生産性と高性能性の両方を実証するものであり、HPCアプリケーションの開発に対してXcalableMPが極めて有効であることを示すものです。

 HPCチャレンジベンチマークの中で特に重要な①Global HPL②Global RandomAccess③EP STREAM(Triad) per system④Global FFTの4つについては、「HPCチャレンジ賞クラス1」として各部門の第1位が表彰されます。
筑波大学は、4つのベンチマークプログラムのうちGlobal FFTの高速化に大きく貢献し、その上で、理研、筑波大学、富士通は、これら4つのベンチマークプログラムの性能を「HPCチャレンジ賞クラス1」に登録しました。
2013年「HPCチャレンジ賞クラス1」4部門の上位3位は以下の通りです。

Global HPL 性能値(TFLOP/s) システム名 設置機関
1位 9,796 理研 計算科学研究機構
2位 1,534 Cray XT5 オークリッジ研
3位 1,344 Power 775 IBM
Global RandomAccess 性能値(GUPS) システム名 設置機関
1位 2,021 Power 775 IBM
2位 472 理研 計算科学研究機構
3位 117 IBM BG/P ローレンスリバモア研
EP STREAM(Triad) per system 性能値(TB/s) システム名 設置機関
1位 3,857 理研 計算科学研究機構
2位 525 Power 775 IBM
3位 398 Cray XT5 オークリッジ研
Global FFT 性能値(TFLOP/s) システム名 設置機関
1位 206 理研 計算科学研究機構
2位 133 Power 775 IBM
3位 12 NEC SX-9 海洋研究開発機構

関連リンク

・HPCチャレンジについて http://icl.cs.utk.edu/hpcc/index.html
・理研計算科学研究機構 http://www.aics.riken.jp/index.html
・筑波大学計算科学研究センター https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/
・富士通「次世代スーパーコンピュータ」紹介サイト http://jp.fujitsu.com/about/tech/k/

補足説明

※1 XcalableMP(エクスケーラブル・エム・ピー)
スパコン等の大規模計算環境で動作する並列アプリケーションを簡易に開発できるプログラミング言語。XcalableMPを用いることにより、従来の方法と比較して、計算速度を保ったまま簡潔な記法で並列アプリケーションの開発が可能になる。
http://www.xcalablemp.org/index-jp.html

※2 スーパーコンピュータ「京(けい)」
文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年9月に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。「京(けい)」は理研の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。

※3 HPCチャレンジ賞
HPCチャレンジベンチマークとは、科学技術計算で多用される計算パターンから抽出した28項目の処理性能によって、スパコンの総合的な性能を多角的に評価するベンチマークプログラム。そのHPCチャレンジベンチマークを基に評価するのがHPCチャレンジ賞である。HPCチャレンジ賞にはベンチマークの性能値を競うクラス1と、プログラミング言語の実装における生産性の高さを競うクラス2がある。クラス1は以下の4つの部門で構成され、それぞれシステムを構成する主要な要素(CPUの演算性能、メモリへのアクセス性能、ネットワークの通信性能)の性能が評価される。
・Global HPL:大規模な連立1次方程式を解く演算速度
・Global RandomAccess:並列プロセス間でのランダムメモリアクセス性能
・EP STREAM(Triad) per system:多重負荷時のメモリアクセス速度
・Global FFT:高速フーリエ変換(FFT)の総合性能
クラス2は、HPCアプリケーションを作成するプログラミング言語に対して与えられる。クラス1で用いられる4つのベンチマークから3つ以上を選択し、それらの実装に対するプログラミング言語の生産性とベンチマーク性能の両方を評価する。また、クラス1以外のベンチマークも最大2つまで任意に選択可能であり、全てのベンチマークの実装に対する総合評価によって決定される。

※4 ベンチマーク
コンピュータのハードウエア・ソフトウエアの動作速度を評価する基準。

※5 姫野ベンチマーク
非圧縮流体解析コードの性能評価を行うベンチマークプログラム。理化学研究所情報基盤センター長の姫野龍太郎博士が開発。
http://accc.riken.jp/2145.htm

報道担当・問い合わせ先

(問い合わせ先)
独立行政法人理化学研究所
計算科学研究機構 広報国際室
担当 岡田 昭彦
TEL:078-940-5625 FAX:078-304-4964
E-mail:aics-koho [at] riken.jp

(報道担当)
独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
TEL:048-467-9272 FAX:048-462-4715

国立大学法人筑波大学 計算科学研究センター 広報室
TEL:029-853-6260 FAX:029-853-6260
E-mail:pr [at] ccs.tsukuba.ac.jp

富士通株式会社 広報IR室
TEL:03-6252-2174

スーパーコンピュータ「HA-PACS/TCA」がGreen500の第3位を獲得

筑波大学計算科学研究センターのスーパーコンピュータ「HA-PACS/TCA」が、世界で最もエネルギー消費効率の良いスーパーコンピュータをランキングする「Green500」最新版で第3位を獲得しました。米国デンバーで開催中のハイパフォーマンス・コンピューティングに関する国際会議「SC13」(米国デンバー)において、11月19日(日本時間20日)に発表されました。

HA-PACS/TCAは、2012年2月に稼働開始したHA-PACSの拡張部で、2013年10月に導入されました。各計算ノードは、NVIDIA社の高性能GPUであるK20Xをノード当たり4台搭載しており、同システムはこれを64台結合した超高性能GPUクラスタです。
Green500は消費電力当たりのLINPACK測定性能「HPLベンチマーク(MFLOPS/W)」で評価され、HA-PACS/TCAは3518 MFLOPS/Wでした。HPL効率は76%と、GPUクラスタとしては極めて高い効率を達成しました。
なお、1位は東京工業大学のTSUBAME-KFC(4503MF/W)、2位はケンブリッジ大学のWilkes(3631MF/W)でした。

HA-PACSプロジェクトについてはこちらをご覧ください。

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Green500表彰式が11月20日(日本時間21日)に行われました。

関連リンク
The Green500 List – November 2013
HA-PACSプロジェクト

T2K-Tsukubaログインサーバへの不正アクセスについて

筑波大学計算科学研究センター
平成25年11月14日

 T2K-Tsukubaログインサーバへの不正アクセスにより、全ユーザの暗号化されたssh公開鍵認証情報が取得された可能性があることがわかりました。

 センターでは、システムの運用を停止し、これまでの全ユーザの認証情報を削除しました。現在、各ユーザに対して、追跡調査を徹底し、新しい認証情報の登録を求めています。これらと並行して、システムのセキュリティを万全に確保した上でシステム再稼働を行う予定です。

 スーパーコンピュータの運転が停止し、共同利用研究者の方々と関係機関の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫びします。

問い合わせ先:
筑波大学計算科学研究センター広報室
TEL:029-853-6260(直通)、029-853-6487(代表)
Email:pr [at] ccs.tsukuba.ac.jp

第5回「学際計算科学による新たな知の発見・統合・創出」シンポジウム -T2K-Tsukuba、HA-PACSによる計算科学の発展と、次世代コンピューティングの展望-

開催案内

主催 筑波大学 計算科学研究センター
日時 平成25年11月5日(火) 13:00~18:00
11月6日(水)9:30~16:30
会場 筑波大学大学会館 国際会議室
懇親会 11月5日(火)18:30~20:30 大学会館プラザ
参加費 シンポジウム参加無料、懇親会4000円
参加登録 登録は終了しました。

開催趣旨

 筑波大学計算科学研究センターは、1992年に設立された計算物理学研究センターを前身として、物理学・生命科学・地球科学などの科学の諸分野の研究者と計算機科学の研究者の協働により、最先端の大規模計算科学を推進してきました。また、全国的な計算科学の発展に寄与するべく、平成22年には文部科学省共同利用・共同研究拠点「先端学際計算科学共同研究拠点」の認定を受け、センターが運用する計算機システムT2K-Tsukuba、HA-PACSを利用する学際共同利用プログラムを推進しています。
 平成20年に運用を開始したT2K-Tsukubaは、これまで学際共同利用プログラムの中心となる計算機システムでしたが、平成26年2月末を持って5年間余の運用を終える予定です。そこで本シンポジウムでは、T2K-Tsukubaの果たした役割とその成果を取り上げます。また、文部科学省特別経費国際的に卓越した教育研究拠点機能の充実「エクサスケール計算技術開拓による先端学際計算科学教育研究拠点の充実」(平成23~25年度)により、密結合並列演算加速機構実証システム「HA-PACS」(Highly Accelerated Parallel Advanced system for Computational Sciences)が開発され、本年度より学際共同利用に供されています。さらに、本年3月には東京大学情報基盤センターと共同で、最先端共同HPC基盤施設を設置し、平成27年度には新たなスーパーコンピューターの運用を開始する予定です。本シンポジウムでは、これらの新たなプロジェクトの進捗と今後の展望について報告します。
 2日目は、平成24年度に行われた学際共同利用プログラムの成果発表、及び平成25年度に進行している課題の中間発表を行います。

プログラム

11月5日(火)

13:00~13:30 開会挨拶
三明康郎 筑波大学副学長
木村直樹 文部科学省研究振興局学術機関課長
梅村雅之 筑波大学計算科学研究センター長
[T2K-Tsukubaの成果]
13:30~13:50 「T2Kプロジェクトとシステムの紹介」
高橋大介(筑波大学計算科学研究センター)
13:50~14:20 「物理的クォーク質量における2+1/1+1+1フレーバー格子QCD」
蔵増嘉伸(筑波大学計算科学研究センター)
14:20~14:50 「銀河の衝突とその進化」
森正夫(筑波大学計算科学研究センター)
14:50~15:20 「RSDFTと大規模第一原理電子状態計算」
岩田潤一(東京大学大学院工学研究科)
休憩(15:20~15:50)
[HA-PACSプロジェクト]
15:50~16:30 「HA-PACSプロジェクトとベースクラスタ」
朴泰祐(筑波大学計算科学研究センター)
16:30~17:00 「HA-PACS/TCA:密結合演算加速機構について」
塙敏博(筑波大学計算科学研究センター)
[最先端共同HPC基盤施設]
17:00~17:30 「最先端共同HPC共用基盤施設の目的・概要」
佐藤三久(筑波大学計算科学研究センター)
17:30~18:00 「Post-T2K構想」
石川裕(東京大学情報基盤センター)
懇親会(18:30-20:30)

11月6日(水)

平成24年度成果報告/平成25年度中間報告
学際共同利用口頭発表1(25分×3件)[座長:小泉裕康(筑波大学)]
9:30~9:55 「QCDによるバリオン間相互作用」
根村英克(筑波大学計算科学研究センター)
9:55~10:20 「Formation and evolution of very high-z objects」
清水一紘(東京大学)
10:20~10:45 「中赤外線における原子電離過程の解明」
仝暁民(筑波大学計算科学研究センター)
ポスターのショートトーク(各2分、30件)(11:20~12:20)
学際共同利用ポスター発表(13:20~14:30)
学際共同利用口頭発表2(25分×4件)[座長:石塚成人(筑波大学)]
14:30~14:55 「GPU-TreeコードBonsaiを用いた銀河円盤のN体シミュレーション」
藤井通子(国立天文台)
14:55~15:20 「格子シミュレーションによる多フレーバゲージ理論の研究」
岩崎洋一(高エネルギー加速器研究機構)
15:20~15:45 「格子QCDを用いた軽い原子核の研究」
山崎 剛(名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構)
15:45~16:10 「宇宙流体シミュレーションによる天体形成の研究」
梅村雅之(筑波大学計算科学研究センター)

計算科学研究センター 一般公開を行いました。(11/3)

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筑波大学学園祭(雙峰祭)期間中の11月3日(日)、一般公開(スーパーコンピュータ見学ツアー)を行いました。
133名の参加があり、幅広い年代の方にご来場いただきました。他県からお越しいただいた方も少なくなかったようでした。

40分間のツアーでは、計算科学とスーパーコンピュータについての簡単な説明の後、中尾昌広研究員の解説を聞きながら先日拡張されたばかりの「HA-PACS」を見学していただきました。スパコンの計算能力や、通信のしくみについてなどの質問がありました。

ツアー後半では、HA-PACSを使って素粒子物理学の研究を行っている滑川裕介研究員による、最先端の研究紹介を行いました。目では見えない素粒子の世界の研究をスパコンを使ってどのように行っているのか、伝わったでしょうか。

スーパーコンピュータ「HA-PACS」を拡張-1ペタフロップスを超える性能に

掲載情報:マイナビニュース(11/1)HPCwire Japan(11/2)、日経産業新聞(11/5)、インターネットコム(11/5)

プレスリリース

平成25年11月1日

国立大学法人筑波大学
クレイ・ジャパン・インク
エヌビディア ジャパン

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スーパーコンピュータ「HA-PACS」を拡張-1ペタフロップスを超える性能に

HA-PACS_TCA_480

概要

 筑波大学計算科学研究センターは、スーパーコンピュータ「HA-PACS」に新規開発した「TCA機構」搭載部を拡張し、これまでの総ピーク演算性能802テラフロップス(毎秒802兆回)から1.166ペタフロップス(毎秒1166兆回)に増強させたスーパーコンピュータの運用を開始しました。

 「HA-PACS」は平成24年2月1日に運用を始めた、宇宙・素粒子・生命などの研究をけん引する最先端の超並列演算加速器クラスタ型スーパーコンピュータです。268台の計算ノードからなるベースクラスタシステムに、この度、同センターで開発した密結合並列演算加速機構(TCA機構)を装備した64台の計算ノードを追加しました。その結果、364テラフロップスの演算性能が増強され、システムの総ピーク演算性能は1.166ペタフロップス(毎秒1166兆回)となりました。筑波大学として初めて1ペタフロップスを超えるシステムです。

 TCA機構は、GPU*1を搭載したPCクラスタシステムの大きな問題であった、遠隔GPU間の通信性能の低さを改善する画期的な機構です。独自開発の通信用チップにより、これまでできなかった異なるノード上のGPU間の直接通信を実現。通信時間を大幅に短縮させて、GPUクラスタにおける演算性能を大きく改善させることが可能となりました。これにより、計算科学研究センターでは、並列GPU計算アプリケーション開発を加速させ、先進的計算科学研究を推進していきます。なお、HA-PACS/TCA部の構築は、システム実装及びTCA機構のGPU向け開発に際し、米エヌビディア社および米クレイ社の技術協力を得て進められました。

1. 背景

 10ペタフロップス級の性能がスーパーコンピュータ「京」によって実現された現在、演算性能をエクサ*2フロップス級(エクサはペタの1000倍)まで高めるための研究がすでに始まっています。しかし、1台の計算機で使用可能な電力や設置面積の制限から、このような超高性能を実現することはますます難しくなっており、何らかの演算加速装置*3を持つシステムが不可欠です。これらのシステムには、演算加速装置とCPUの間の通信や、並列演算加速装置間の通信における様々なボトルネックが存在します。加えて、超並列規模の演算加速装置を用いた大規模プログラムの開発には、アルゴリズムレベルからの改良など大きな人的コストと時間がかかります。

 筑波大学計算科学研究センターでは、高密度超並列GPUクラスタを最先端標準製品技術とわれわれ独自の技術の組み合わせにより実現し、これらの問題に挑戦します。このための研究基盤が「HA-PACS」です。最先端CPUとGPUの組み合わせによる超並列GPUクラスタを従来にない規模で定常的に並列利用することにより、エクサスケール時代につながる演算加速型アプリケーションの開発と、われわれが提唱する密結合並列演算加速機構アーキテクチャに基づく次世代GPUクラスタを実現します。ここで培われたハードウエア及びソフトウエアのシステム開発技術を、エクサスケールシステム実現への基盤技術として熟成させていきます。

2. 詳細

 筑波大学計算科学研究センターは、宇宙・素粒子・生命などの研究をけん引する最先端の超並列演算加速器クラスタ型スーパーコンピュータ、密結合並列演算加速機構実証システム「HA-PACS」(Highly Accelerated Parallel Advanced system for Computational Sciences)の導入を平成23年度から進め、平成24年2月1日にその基礎となるベースクラスタシステムの稼働を開始。さらに平成25年11月1より、独自開発による密結合演算加速機構TCA(Tightly Coupled Accelerators)を備えたHA-PACS/TCAシステムを追加した拡張システムを稼働しました。追加されたHA-PACS/TCAシステムの基本部分は米クレイ社により提供され、これに計算科学研究センターで開発されたTCA通信機構を搭載した通信ボードを装着することで、従来のシステムを大幅に上回るGPU間通信性能を持つシステムが実現されています。

 HA-PACS/TCAシステムは、米インテル社製の最新CPUであるE5-2680 v2を2基と米エヌビディア社製の最高性能GPUであるTesla K20Xを4基搭載した、コンパクトで先進的な計算ノードを64台結合した並列システムです。ノード単体のピーク演算性能は5.688テラフロップス(毎秒5兆6800億演算)に達し、これはGPUを搭載した標準的な2 CPUソケットタイプのサーバを利用したこの規模の超並列クラスタ型スーパーコンピュータとして世界最高クラスの性能となります。ベースクラスタシステムと一体となった並列処理が可能で、システム全体としての総ピーク演算性能は1.166ペタフロップス(毎秒1166兆回)となります。

 TCA機構は計算科学研究センターが提唱する「密結合並列演算加速」という概念を実現する新しい技術です。将来のエクサスケール計算システムにおいて、システムの省電力化は最重要課題の一つであり、限られた電力で特定の演算を超高速に実行可能な演算加速装置の重要性が注目されています。しかし、一般的に演算加速装置はその演算性能の高さに比べ、外部とのデータのやり取りを行う入出力部の性能が弱く、特に大規模並列処理に用いた場合、その潜在的性能が著しく制限されてしまう可能性があります。TCA機構はこの問題に対し、ハードウエアとソフトウエアの技術により、一つの答えを提供します。

 GPUを始めとする演算加速装置は、基本的にPCI Expressと呼ばれる標準バス(データ伝送路)によってCPUと結合され、計算の実行や並列処理におけるノード間通信などはCPUのメモリや結合網を用いて行われます。従来のPCI Expressバスは、CPUからの制御によってあらゆる通信が実行されていました。TCA機構は、このPCI Expressバスを計算ノード間通信に拡張し、ノードを超えた演算加速装置間の直接通信を実現することにより、演算加速装置が本来持つ性能を最大限に活かした新しい並列処理を実現する技術です。

 TCA機構をGPUに適用するため、われわれはPEACH2(PCI Express Adaptive Communication Hub ver.2)と呼ばれる通信チップを集積回路FPGAにより新規開発。このチップを搭載した通信ボードをHA-PACS/TCAの計算ノードに装着することにより、多数のGPU間の通信時間を数分の一程にする大幅な短縮を実現しました。

 また、TCA機構が対象とする演算加速装置としては、GPUだけでなくメニーコアプロセッサなどを利用することも可能で、われわれは将来的にいろいろな演算加速装置に適用した実験も視野に入れています。これらの実証実験で培われる新しい形の並列処理や、開発されるアルゴリズム及びアプリケーションは、次世代の超並列演算加速機構の開発につながるものと期待されます。

3.開発経緯とシステムの特徴

 計算科学研究センターは、平成23年度から文部科学省から国立大学法人運営費交付金特別経費を受け、3カ年計画で「エクサスケール計算技術開拓による先端学際計算科学教育研究拠点の充実」事業(責任者 佐藤三久教授)を推進しています。

 この事業は、超並列演算加速型クラスタ計算機の「HA-PACS」を開発・製作し、これを用いて宇宙・素粒子・生命の先端的な研究を推進し、さらに次世代の演算加速型並列システムの要素技術となる密結合並列演算加速機構の技術開発を行うものです。HA-PACSの基本部分となる超並列GPUクラスタは最先端コモディティ技術に基づくCPUとGPUを搭載したシステムとして調達します。密結合並列演算加速機構については、計算科学研究センターにおいてハードウエアからアプリケーションまでの開発を行い、HA-PACSの拡張部分として実装していきます。

システムの特徴

 HA-PACS/TCAは64台の計算ノードを持ち、クラスタグループと呼ばれる複数の計算ノード上のGPU間をTCAネットワークで結合し、さらに全計算ノード間を2本の並列QDR InfiniBandネットワーク*4でFat Tree結合した並列型のGPUクラスタ計算機です。全体で364テラフロップス(毎秒364兆回)のピーク計算性能、8テラバイトのメモリを持っています。既に稼働しているベースクラスタシステムと合わせ、総演算ピーク性能1.166ペタフロップスが実現されます。計算科学の大規模計算を実現可能とする特徴は次のとおりです。

  1. 独自開発のPEACH2チップ及びこれを搭載した通信ボードを64台の全ての計算ノードに装着することにより、併設するInfiniBandネットワークよりもはるかに短い時間での高速通信を実現します。また、単に通信が速いだけでなく、計算ノード上のGPUと他のノードのGPU間の直接通信が可能となり、これに基づく新たなGPUアプリケーションやアルゴリズムの開発を通じて、大幅な計算性能の向上が見込まれます。
  2. 豊富なPCI Expressチャネル数を持つ米インテル社の最新CPUであるE5 v2(IvyBridge-EP)プロセッサを2基搭載することにより、4基の最新型GPU(米エヌビディア社製Tesla K20X)をストレスなくCPUと結合させることを可能にしました。これにより、GPUへの通信性能を損なうことなく、5.688テラフロップスという世界最高クラスのノード単体性能を3U相当のコンパクトな構成で実現しました。
  3. TCA機構を持つ拡張部を既設のベースクラスタとInfiniBandネットワークによってシームレスに結合し、全システムで1ペタフロップスを超える超並列GPU計算を実行可能としました。

4.今後の見通し

 今回のHA-PACSの拡張により、科学技術の基礎となる大規模行列演算の並列処理の加速、宇宙物理分野における大規模並列処理の加速など、従来のGPUによる並列処理の効率を上げ、先端的計算科学の諸分野に貢献することが可能となります。

5.用語解説

*1 GPU
Graphics Processing Unitの略。本来PCサーバにおけるグラフィックス処理を目的として作られた専用プロセッサだが、近年はその高い演算性能とメモリバンド幅を利用した高性能計算への転用が活発化している。

*2 エクサ
10の18乗。ペタ(10の15乗)の1000倍。エクサフロップスとは、現在、スーパーコンピュータ「京」が持つ10ペタフロップスの性能の100倍、すなわち毎秒100京回の演算性能に相当する。

*3 演算加速装置
汎用計算を行うCPUに対する拡張機構として、PCI Expressなどの汎用バスを介して接続される高性能演算装置。計算を自律的に行うことは不可能で、CPUから起動されることにより、アプリケーションの一部または全部を高速に実行する。ただし、演算装置やアーキテクチャが高性能浮動小数点演算向けに特化され、必ずしも全てのアプリケーションプログラムが高速化されるとは限らない。一般的に利用可能な演算加速装置の例としては、GPUやメニーコアプロセッサなどがある。

*4 QDR InfiniBandネットワーク
高性能クラスタ型計算機で多用される高性能ネットワーク。Ethernetなどに比べて数倍~数十倍の通信性能を持ち、さらに数百~数千ノード規模のシステムをFat Treeと呼ばれるネットワーク構成で結合可能である。

6.関連情報

筑波大学計算科学研究センターホームページ
https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/
「HA-PACS」プロジェクト特設ページ
https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/research_project/ha-pacs/

<問い合わせ先>
梅村雅之(研究代表者)
筑波大学計算科学研究センター長/数理物質系教授
TEL 029-853-6485 E-mail:umemura[at]ccs.tsukuba.ac.jp
朴 泰祐(「HA-PACS」開発担当主査)
筑波大学計算科学研究センター/システム情報系教授
TEL 029-853-5518 E-mail:taisuke[at]cs.tsukuba.ac.jp

報道担当:
筑波大学計算科学研究センター広報室
TEL:029-853-6260(直通)、6487(代表) E-mail:pr[at]ccs.tsukuba.ac.jp

クレイ・ジャパン・インク 製品企画本部
TEL:03-3503-0901(代表) E-mail:jpsales_online[at]cray.com

エヌビディア ジャパン マーケティング本部 広報/マーケティングコミュニケーションズ
中村かおり
TEL: 03-6743-8712(直通) E-mail:knakamura[at]nvidia.com