プレスリリース

栄養もエネルギーも⾃分でつくらない微⽣物「スクナ古細菌」を発⾒

2026 年 10 ⽉ 9日

国⽴⼤学法⼈筑波⼤学
国⽴⼤学法⼈京都⼤学
国⽴⼤学法⼈東京⼤学⼤学院新領域創成科学研究科
国⽴⼤学法⼈⼭形⼤学
国⽴研究開発法⼈海洋研究開発機構
東北⼤学・海洋研究開発機構 変動海洋エコシステム⾼等研究所
国⽴⼤学法⼈東北⼤学

 

概要


これまでに知られている古細菌の中で最も⼩さなゲノムを持つ種を発⾒しました。この古細菌は、栄養やエネルギーをつくる遺伝⼦をほぼ失っている⼀⽅、⾃らの遺伝情報を複製し機能させる能⼒を保持しています。⽣物がどこまで単純になれるのかを考える上で、重要な⼿がかりとなる発⾒です。

他の⽣物に依存して⽣きる微⽣物では、不要となった遺伝⼦が失われ、ゲノム(遺伝情報の総体)が ⼩さくなります。その究極の形であるミトコンドリアや葉緑体では遺伝⼦の消失が進み、⾃らの遺伝 情報を働かせたり複製したりする能⼒まで宿主細胞に委ねており、独⽴した細胞とは⾔えません。こ うした能⼒を保ちつつ、⽣物がどこまで遺伝情報を削減できるのかは、よく分かっていませんでした。 本研究チームは、海洋性微⽣物を対象とした単細胞ゲノム解析の過程で、未知の古細菌のゲノムを ⾒いだしました。その⼤きさは 23.8 万塩基対で、これまで解析された古細菌ゲノムでは最⼩です。こ の古細菌は既知のどの古細菌とも遺伝的にかけ離れており、そのゲノムの⼩ささから、⽇本神話に登 場する極⼩の神にちなんで Candidatus Sukunaarchaeum mirabile(スクナ古細菌)と名付けまし た。海洋の遺伝⼦配列データからは、近縁と⾒られる配列も多数⾒つかり、これまで⾒落とされてきた 系統の存在が⽰されました。スクナ古細菌のゲノムでは、栄養やエネルギーをつくる遺伝⼦がほとん ど失われている⼀⽅、遺伝情報を働かせ複製するための主要な遺伝⼦は保持されていました。本研究 は、⽣物が⾃らの遺伝情報を働かせ複製する能⼒を保ちながら、どこまで単純になれるのかを考える 上で重要な⼿がかりとなるものです。

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掲載論⽂

【題 名】 A hidden archaeal lineage with an ultra-reduced genome retaining only its replicative core
(複製の中核的機能のみを残した超縮⼩ゲノムを持つ、⾒過ごされてきた古細菌系統)

【著者名】 Ryo Harada, Yuki Nishimura, Mami Nomura, Akinori Yabuki, Kogiku Shiba, Kazuo Inaba, Thorsten Allers, Yuji Inagaki, and Takuro Nakayama

【掲載誌】 Current Biology

【掲載⽇】 2026 年 10 ⽉ 9 ⽇

【DOI】 10.1016/j.cub.2026.09.042