プレスリリース

Mat3ra Japanと筑波大学計算科学研究センター、日本におけるクラウド型材料モデリングの利用拡大に向けた覚書(MoU)を締結

2026年9月29日

Mat3ra Japan株式会社と筑波大学計算科学研究センター(CCS)は、CCSの研究者、教員、学生が学術利用を目的として材料モデリングプラットフォーム「Mat3ra.com」を無償で利用できるようにする覚書(MoU)を締結しました。また、日本全国の大学、国立研究機関、産業界へのクラウド型かつAI活用に対応した材料シミュレーションの普及を支援するため、CCS内に専任のリエゾン(連絡窓口)を設置します。

概要

Mat3ra.comの開発元であるExabyte Inc.の日本法人Mat3ra Japan株式会社と、筑波大学計算科学研究センター(CCS)は本日、CCSおよび日本国内の関連学術機関における計算材料科学プラットフォーム「Mat3ra.com」の利用と普及に向けた枠組みを定める覚書(MoU)の締結を発表しました。このMoUに基づき、Mat3raは研究・教育目的でのプラットフォーム利用をCCSに無償で提供し、CCSはMat3raとCCSコミュニティとの間の窓口となる「Mat3ra-CCSリエゾン」を任命します。

CCSは、日本を代表する計算科学研究拠点の一つです。2010年に文部科学省の共同利用・共同研究拠点「先端学際計算科学共同研究拠点」の認定を受けて以来、CCSは「学際共同利用プログラム」を通じて、全国の研究者にスーパーコンピュータ施設を開放しています。同センターが運用するシステムには、「Pegasus」や「Sirius(PACS12.0)」に加え、東京大学と共同運営する「最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)」を通じて運用される80.1ペタフロップスの「Miyabi」などがあります。Mat3ra.comは、研究者が材料の設計、物理ベースおよび機械学習によるシミュレーションの実行、そして再現性・共同作業・AI活用に適した形でのワークフローやデータの管理を行えるウェブベースの環境を提供し、このインフラを補完します。これにより、学生や研究者が第一原理計算やデータ駆動型の材料モデリング手法を導入する際の障壁を低減します。

連携の範囲

本覚書(MoU)に基づき、両機関は以下の取り組みにおいて連携します。

  • プラットフォームへのアクセス:CCSに所属する研究者、学生、教員は、非営利の学術利用を目的として、Mat3ra.comプラットフォーム(関連するソフトウェアモジュール、データストレージ、一部の計算リソースを含む)を無償で利用できます。
  • リエゾン(連絡調整役)およびトレーニング:CCSは、両機関の公式な窓口となる適切な「Mat3ra-CCSリエゾン」を任命します。Mat3raは、プラットフォームの技術的な利用方法、ユーザー管理、ワークフローの統合などを網羅する包括的なトレーニングをリエゾンに提供し、その費用を負担します。リエゾンは、利用開始時の導入支援(オンボーディング)やCCS内でのワークショップ・トレーニングの実施を調整するほか、Mat3raの利用に関心を持つ国内の他の学術機関との窓口役を担うこともあります。
  • 全国的な普及:文部科学省の共同利用・共同研究システム形成事業「学際領域展開ハブ形成プログラム(CURE)」の下、CCSが主導する「AI時代における計算科学の社会実装を実現する学際ハブ拠点」を通じて、リエゾンは日本の大学、国立研究機関、産業界への計算材料科学インフラのさらなる普及に貢献することができます。
  • 教育と研究への統合:CCSは、教員、研究者、学生の間でMat3ra.comの利用を促進し、適切な場合には学術カリキュラム、セミナー、研究プロジェクトへの同プラットフォームの導入を支援します。
  • 継続的な改善:CCSは、プラットフォームの継続的な開発に役立てるため、その性能、使いやすさ、改善の可能性に関するフィードバックを定期的にMat3raへ提供します。

本プラットフォームを通じてCCSが生成した研究データは、CCSの所有物となります。本覚書は署名をもって発効し、当初の有効期間は2年間としますが、両者の合意により延長可能です。金銭的な負担や具体的な成果物を伴う将来のプロジェクトについては、別途個別の契約で定めます。

パートナーからのコメント

Mat3ra Japan株式会社の代表取締役であり、Exabyte Inc.のCEOでもあるティムール・バジロフ(Timur Bazhirov)博士は、次のように述べています。「日本は世界最先端の材料研究と製造の拠点を擁しており、筑波大学計算科学研究センター(CCS)は30年以上にわたり計算科学の最前線を走ってきました。CCSのコミュニティ、そしてこのハブを通じて日本全国の大学、国立研究所、企業にMat3ra.comを提供できることを光栄に思います。私たちの目標はシンプルです。すべての学生や研究者が、現代的なシミュレーションツールを用いて、実用的かつ再現性が高く、AI活用にも適した方法で材料を設計できるようにすること、そして学術的な知見から産業利用に至るまでの道のりを短縮することです。」

筑波大学計算科学研究センター長の重田育照(しげた やすてる)教授は、次のように述べています。「当ハブの使命は、計算科学やスーパーコンピューティングを産業界を含む社会全体で実用化することにあります。Mat3ra.comは材料シミュレーションへの参入障壁を下げ、私たちが運用するハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)リソースを補完するものです。今回の覚書(MoU)締結を機に、リエゾン(連携担当者)の育成やコミュニティ向けワークショップの開催を行い、日本全国の研究者や学生がこのプラットフォームを最大限に活用できるよう支援していきたいと考えています。」

本連携は、CCSの量子物性研究部門の大谷実(おおたに みのる)教授と、Mat3ra Japan株式会社の取締役兼ビジネス開発責任者であるジャン=ドミニク・フランソワ(Jean-Dominique Francois)氏によって調整・推進されています。

筑波大学計算科学研究センターについて

筑波大学計算科学研究センター(CCS)は、1992年に計算物理学研究センターとして設立され、2004年に現在の名称で再発足しました。同センターは、計算科学とコンピュータ科学の連携・融合を通じて「学際計算科学」を推進しています。素粒子物理、宇宙物理、原子核物理、量子物性、生命科学、地球環境、高性能計算システム、計算情報学という8つの研究部門を擁しています。CCS(計算科学研究センター)は、2010年に文部科学省の共同利用・共同研究拠点「先端学際計算科学共同研究拠点」の認定を受け、全国の研究者にスーパーコンピュータ施設を「学際共同利用プログラム」を通じて提供しています。また、東京大学と共同で「最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)」を運営しています。2023年からは、文部科学省のCUREプログラムの下、「AI時代における計算科学の社会実装を実現する学際ハブ拠点」を設置・運営しています。詳細については、https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/をご覧ください。

Mat3ra.comについて

Exabyte Inc.が開発したMat3ra.comは、材料科学分野において、クラウドHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)と人工知能(AI)を戦略的に統合し、イノベーションを推進するクラウド型研究開発プラットフォームです。本プラットフォームは、世界中の4万人以上の科学者コミュニティを支援し、半導体、エネルギー、防衛などの分野で材料AIの発展に不可欠な、高品質かつ信頼性の高い(グラウンドトゥルースとなる)物理データの生成や共同研究を可能にします。Mat3ra.comは、ENEOSやEMD Electronicsといった「Global 2000」企業から主要な政府系研究機関に至るまで、多岐にわたる顧客にサービスを提供しています。また、これまでの取り組みや現在進行中のプロジェクトは、米国空軍(AFRLおよびAFWERX)、米国海軍(海軍研究所)、米国国立標準技術研究所(NIST)、米国エネルギー省(DOE)の支援を受けています。日本国内においては、東京・大手町の「Inspired.Lab」を拠点とするMat3ra Japan株式会社が、顧客、パートナー、ユーザーへのサービス提供を行っています。

詳細については、Mat3ra.com をご覧ください。

Mat3ra 社 CEO  Timur Bazhirov 氏と筑波大学計算科学研究センター 重田センター長