第145回計算科学コロキウムを開催いたします。多数のご来聴をお待ちしております。なお、第145回は大気科学特別セミナーと共催となります。
講演タイトル: 日本気象学会賞・受賞記念講演 〜都市気象・気候と局地気象に関する現象メカニズムの解明と数値モデルの高度化〜
講演者: 日下博幸(筑波大学計算科学研究センター 教授)
日時: 2024年10月23日(水) 16:00-17:25
場所: 計算科学研究センター 国際ワークショップ室
言語: Japanese
共催: 大気科学特別セミナー
要旨:
日下博幸教授(筑波大学計算科学研究センター)は、都市気象学・気候学および局地気象学の分野で顕著な研究成果を挙げ、都市環境が気象や気候に与える影響の解明と、それに基づく数値モデルの高度化に貢献したことが認められ、2024年度日本気象学会賞を受賞されました。
日下教授の研究は、都市の長期的な気温変動に関する数値実験から始まり、ヒートアイランドが海風の内陸侵入を遅らせ、内陸の高温を強化するという相互作用を明らかにしました。その後、世界に先駆けて都市キャノピーモデル(UCM)を開発し、このモデルは世界最大のユーザ数を誇る気象モデルWRFに公式に搭載され、現在、世界中で広く利用されています。
また、日下教授は、WRF/UCMを用いた数多くの実験により、都市化が夏季の降水増加をもたらすメカニズムを解明し、都市気候学の著名な教科書でも大きく紹介されました。さらに、将来の温暖化の影響を予測する力学的ダウンスケーリングの研究も進め、都市シナリオや排出シナリオによる都市気候変化の定量化を行いました。
日下教授は都市気象に加え、局地気象にも取り組み、富山の「神通おろし」などの研究を通じて、多くの重要な成果をあげています。これらの研究は行政にも還元され、自治体の暑熱対策に貢献しています。このように都市気象学・気候学の分野で卓越した業績をあげたことから、2024年度日本気象学会賞が贈呈されました。