第144回計算科学コロキウムを開催いたします。多数のご来聴をお待ちしております。
日時: 2024年8月23日(金) 14:00-16:30
場所: 計算科学研究センター 会議室A
言語: Japanese
共催: 学術変革領域研究 (A) 「メゾヒエラルキーの物質科学」
14:00-15:00 | VB法とMO法の統合:クールソン・フィッシャー法 【Abstract】 |
井田朋智 准教授(金沢大学) | |
15:15-16:15 |
固体NMRによるプロトン伝導性物質の局所構造と分子運動の解析 【Abstract】 |
水野元博 教授(金沢大学) |
要旨
「VB法とMO法の統合:クールソン・フィッシャー法」
金沢大学 准教授 井田朋智
概要:分子の電子状態を記述する理論は大別して二つあり、一つが原子価結合法(VB法)であり、もう一つが分子軌道法(MO法)である。VB法は近代化学の進歩と共に、化学的現象を理論的に説明するために発展した。しかし現代の計算化学では、コンピュータの急激な進歩により、理論的な解釈は曖昧だが計算量により精度向上が容易なMO法が主流となっている。本講演ではVB法とMO法の違いを説明し、未だ量子化学黎明期に提案され、VB法とMO法を統合させる可能性を持つ、クールソン・フィッシャー法についての発展と現状をお話しする。
「固体NMRによるプロトン伝導性物質の局所構造と分子運動の解析」
金沢大学 教授 水野元博
概要:固体プロトン伝導体は燃料電池の電解質として注目されている。特に,“無加湿で高いプロトン伝導性”が求められており,沸点が水よりも高いイミダゾールやトリアゾールをプロトンキャリアとした固体プロトン伝導体の開発が進められている。これらの物質のプロトン伝導には,プロトンキャリア分子の回転運動が密接に関係しており,分子運動の解析はプロトン伝導の経路・メカニズムを理解する上で重要である。本セミナーでは,プロトン伝導体中のイミダゾールやトリアゾールの分子運動を固体NMR法により調べ,プロトン伝導の経路・メカニズムを解析した例を紹介する。
世話人:堀優太