プレスリリース

細菌の増殖に決定的な影響を及ぼす化学物質をビッグデータ解析で予測

筑波大学 生命環境系 應蓓文(YING BEIWEN)准教授および筑波大学計算科学研究センター 天笠俊之教授らの研究グループは,細菌の増殖速度や個体数を決定づける化学物質の影響を、網羅的な実験およびそれによって得られた実験データに対するビッグデータ解析によって明らかにしました。

本研究では、細菌の増殖を決定づける培地成分の分析に、データサイエンスのアプローチを世界で初めて試みました。化学成分の組合せによる培地条件の設定、およびそこで実際に培養した細菌の増殖に関する時系列データを網羅的に取得しました。このような「培地条件−増殖速度」および「培地条件−飽和密度」のビッグデータから、増殖を左右する決定的な要因を、機械学習によって推定することに成功しました。その結果は、従来の微生物学における常識とは全く異なり、細胞増殖の最重要因子が炭素源ではなく、窒素源や金属イオンであることを示しました。また、予測された増殖の決定因子が、異なるメカニズムで細胞内に働くことも示唆されました。

図 機械学習による細胞増殖の決定要因の判定と予測のプロセス
(1)既存知識を問わない培地条件(単一化合物による様々な組み合わせ)を設定する。 (2)上記設定された条件下で、細胞増殖を実験的に計測し、増殖のデータを網羅的に取得する。 (3)上記(1)の培地条件と(2)の増殖結果を対応づけて、機械学習を実施する。 (4)予測結果を得て、実験で検証する。

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