プレスリリース

データセンター向けSSD への適用を目指した相変化デバイスの低消費電力動作に成功-“溶融しない”相変化で高速・低電力・1億回書き換え動作を実証

掲載情報:日経BP(12/10)、日刊工業新聞(12/11)

プレスリリース

データセンター向けSSD への適用を目指した相変化デバイスの低消費電力動作に成功-“溶融しない”相変化で高速・低電力・1億回書き換え動作を実証
 

2013年12月9日
超低電力デバイス技術研究組合
Low-power Electronics Association & Project (LEAP)

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概要

超低電力デバイス技術研究組合(理事長:豊木則行、以下LEAPと略記)は国立大学法人筑波大学との共同研究により、データセンター向け固体ストレージSSD(Solid State Drive)への適用を目指した、相変化デバイスの高速・低電力・1億回動作に成功しました。
SSDの不揮発メモリには、現在、フラッシュメモリが用いられています。フラッシュメモリは多値記憶により大容量化を達成していますが、高い内部電圧が必要なことと低いデータ転送速度を補うために消費電力が増大する等の課題があります。今後、データセンターに用いられるSSDにはこれまでにない高速処理能力が求められます。特に、アクセスが集中するストレージ階層に相変化デバイスを使用し、これまでにない高速、低電力、高信頼などの特性を新たにSSDに付加することが重要です。
先のリリース(VLSI Tech.2013)では、抵抗変化でデータを保持する相変化デバイスにおいて、GeTe/Sb2Te3超格子膜の電荷注入による動作の機構を見出しました。今回は、書換動作後にGeTe/Sb2Te3超格子構造が保持されることを観測して、“溶融を伴わない”抵抗変化現象を実証しました。さらに、GeTe/Sb2Te3超格子結晶膜を高品質化することで、従来の相変化デバイスと比較して1/10以下の書き込み時間と書き込み電力、及び1億回以上の書換動作が可能となりました。開発した相変化デバイスを適用することで、これまでにない高速、低電力、高信頼などの特性をSSDに付加できます。さらに高性能化に伴ってチップ個数の削減による低コスト化などのシステムメリットをもたらすと同時に、データセンターの低電力化に貢献することが期待されます。今後、実用化を目指した集積化実証の研究開発を進めていきます。
本研究は、平成22 年度経済産業省産業技術研究開発委託費「低炭素社会を実現する超低電圧デバイスプロジェクト」に関する委託研究として実施ました。平成23 年度からは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「低炭素社会を実現する超低電圧デバイスプロジェクト」に係る委託業務として実施しています。デバイス試作に関しては、独立行政法人産業技術総合研究所スーパークリーンルーム(SCR)を使用し、SCR運営室にご協力頂きました。