2026年1月22日
京都⼤学
理化学研究所 仁科加速器科学研究センター
⼤阪⼤学 核物理研究センター
筑波⼤学 計算科学研究センター
概要
京都⼤学⼤学院理学研究科 ⼟⽅佑⽃博⼠課程学⽣(研究当時)、銭廣⼗三准教授、理化学研究所仁科加速器 科学研究センター核反応研究部 上坂友洋部⻑、⼤阪⼤学核物理研究センター 松⽥洋平教授、⼤⽥晋輔教授、 筑波⼤学計算科学研究センター 宮城宇志助教、東京⼤学原⼦核科学研究センター 横⼭輪助教らの国際共同研 究グループは、⼆重閉殻構造[1]を持つ不安定原⼦核(不安定核) [2]である質量数 132 のスズ (以降 132Sn と表記) の物質半径[3]を初めて測定し、その値が第⼀原理計算[4]による予⾔値より⼩さいことを明らかにしました。本 研究成果は原⼦核分野にとどまらず中性⼦星[5]の構造研究など宇宙分野にも⼤きな貢献をもたらすことが期 待されます。 原⼦核の⼤きさ(半径)は、その性質を表す最も基本的な量の⼀つです。安定な原⼦核では、半径と原⼦核 質量の間に「1/3 べき乗則」[6]が成り⽴つことがよく知られていますが、陽⼦数に⽐べて中性⼦数が⾮常に多 い中性⼦過剰領域ではこの系統性からズレが⽣じる事例が報告されており、実験・理論双⽅から研究が進めら れていました。特に⼆重閉殻構造を持つカルシウムの安定・不安定同位体では、最先端理論で説明のできない 異常が報告されており、他の⼆重閉殻な原⼦核での半径データが待ち望まれていました。 今回、本国際共同研究グループは、理化学研究所 RI ビームファクトリー(RIBF)において得られる⾼強度な 132Sn ビームと固体状態の⽔素標的[7]の散乱測定を実施しました。この測定から得られた弾性散乱[8] データを⽤ い、132Sn 物質半径の精密測定に世界で初めて成功しました。新しく得られた結果は、最先端の相互作⽤を⽤ いた第⼀原理計算の予⾔値に⽐べ⼩さいことを⽰しており、カルシウムで⾒られた半径異常が、中性⼦過剰核 のより広い領域に渡っていることを明らかにしました。 従来の信頼度の⾼い理論では再現できておらず、今後の更なる研究が期待されます。
- 【題名】
First Extraction of the Matter Radius of 132Sn via Proton elastic scattering at 200 MeV/Nucleon
- (核子あたり200MeVでの陽子弾性散乱による132Snの物質半径の初測定)
- 【掲載誌】
- Progress of Theoretical and Experimental Physics
- 【DOI】
10.1093/ptep/ptaf182
