2025年5月14日
国立大学法人筑波大学
エクシオグループ株式会社
国立大学法人北海道大学
守山市
ごみ焼却施設の設置者である滋賀県守山市協賛のもと、筑波大学、エクシオグループ株式会社、北海道大学は、共同研究契約を締結し、ごみ焼却施設における最適なごみ攪拌条件をAI(人工知能)を用いて判定するシステムの開発と社会実装に関する研究プロジェクトを、令和6年9月1日から現場調査等を続けており、令和7年5月より活動を本格化します。
ごみ焼却施設では、安定した燃焼を維持するため、熟練のオペレータにより、焼却対象ごみがごみピット内で最適な状態に撹拌されています。一方、人材不足の問題から、ごみの最適な撹拌を人の手によらず自動化することが、重要な課題となっています。本プロジェクトでは産官学が連携し、熟練のオペレータによる撹拌技術の代替手法を確立するため、最適なごみ撹拌条件をスーパーコンピュータによってAI判定するシステムの社会実装を目指します。
本プロジェクトでは、エクシオグループが守山市に建設したごみ処理施設「もりやまエコパーク環境センター」を実証サイトとして、北海道大学と筑波大学が共同開発したAI判定プログラムを、筑波大学のスーパーコンピュータPegasus上に実装します。
プロジェクトの背景と取り組み
労働人口減少に伴う慢性的な人材不足や地方財政のひっ迫により、公共事業の民間活用や効率化が推奨されています。廃棄物処理事業の中でも高度な施設管理が求められるごみ焼却施設では、熟練したオペレータにより、ごみを最適な状態に攪拌し、適切なタイミングで焼却炉へ投入することで、安定した燃焼を維持しています。しかしながら、将来的には熟練したオペレータが不足し、効率的な焼却施設の運営に支障をきたすことが懸念されています。
本プロジェクトでは、筑波大学、エクシオグループ株式会社、北海道大学、滋賀県守山市が、産官学の枠を越えて連携することで、各々の専門・得意分野を持ち寄り、上述した課題解決を目指します。具体的には、守山市のごみ処理施設「もりやまエコパーク環境センター」を実証実験拠点として、システムの研究開発を進め、オペレータ不足解消や焼却施設の運転効率化を達成する方法を検討します。ごみ処理プラントのマルチモーダルデータ計測、スーパーコンピュータを用いたプラント状況(ごみ種別や攪拌度や、ごみを焼却炉へ投入するタイミング)を認識するAI、VR(仮想現実)を用いた作業支援UI(ユーザーインターフェイス)などの構築を通じ、熟練オペレータの作業支援、もしくは、一部を代替するシステムの実現、および、その社会実装と研究成果の社会還元を目指します。
期待される波及効果
AIモデルによる焼却施設運転の高度化・効率化を達成するシステムのプロトコルを開発することで、同様の課題を抱えた全国の焼却施設への水平展開が進むと期待されます。また、実証実験を通じて獲得された産官学連携のノウハウをベースに、スーパーコンピュータを用いた社会課題の解決を目指した研究開発が加速するという学術的な発展も期待できます。
参画者
筑波大学 計算科学研究センター 北原 格※、謝 淳(※北海道大学大学院工学研究院客員教授兼務)
エクシオグループ株式会社 電気・環境・スマートエネルギー事業本部 早川俊一、山本晃康
北海道大学 大学院工学研究院 廣吉 直樹、有馬 孝彦
守山市環境生活部環境センター 羽場 宏典、髙木 覚
研究資金
本プロジェクトにおけるスーパーコンピュータでの実装研究は、筑波大学の「AI時代における計算科学の社会実装を実現する学際ハブ拠点」事業の支援を受けて行われます。
また、本プロジェクトはエクシオグループ株式会社が北海道大学に設置している寄附分野(北海道大学大学院工学研究院環境循環システム部門グローバル開発情報学分野)の活動の一環であり、本分野の支援を受けて行われます。
問い合わせ先
筑波大学 計算科学研究センター 広報・戦略室
エクシオグループ株式会社 経営企画部コーポレート・コミュニケーション室 広報担当
北海道大学 社会共創部広報課 広報・渉外担当
守山市 環境生活部 環境センター