筑波大学計算科学研究センターの庄司光男助教と重田育照教授は、HPCシステムズ株式会社の阿部幸浩博士、ストラスブール大 Mauro Boero教授、摂南大学の西矢芳昭教授との共同研究により、サルコシン酸化酵素の反応機構を理論解明しました。発表論文は、英国王立化学会誌「Physical Chemistry Chemical Physics」に掲載され、研究イラストは裏表紙(outside back cover)に採用されました。
論文の概要:
サルコシン酸化酵素は肝臓機能(クレアチニン測定)の診断薬として臨床検査で広く利用されています。本研究ではサルコシン酸化酵素とN-cyclopropylglycine(CPG)基質との反応過程を量子古典混合計算法(QM/MM)で理論解明することに成功しました。その結果、反応機構は通説となっていた機構(一電子移動機構)ではなく、異なる機構(Polor機構)であることを解き明かしました。さらに反応中間体を明確に帰属することができました。生体内の複雑な酵素反応過程でもスーパーコンピュータを活用することで、正確に解明することが可能になっています。
掲載論文:
Mitsuo Shoji*, Yukihiro Abe*, Mauro Boero, Yasuteru Shigeta and Yoshiaki Nishiya, ”Reaction Mechanism of Monomeric Sarcosine Oxidase with N-Cyclopropylglycine”, Physical Chemistry Chemical Physics, 2020,22, 16552-16561, DOI: 10.1039/D0CP01679A.
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