計算科学コロキウム

第126回計算科学コロキウムを、7月10日(水)16:00より開催します

第126回計算科学コロキウムを、7月10日(水)に開催いたします。多数のご来聴をお待ちしております。

 

場所    :筑波大学 計算科学研究センター ワークショップ室
日時    :2019年7月10日(水)16:00 – 

講演タイトル:量子多体摂動法の有限温度理論と統計的アルゴリズム

講演者氏名 :平田 聡 教授(イリノイ大学 アーバナ・シャンペン校)

使用言語  :日本語

Abstract:

量子化学における多体摂動論の応用は非常に古く,1926年のSchrödingerや1934年のMøllerとPlessetの論文にまでさかのぼる.現在でも研究が活発に行われているのは,その有用性とともに知識の不完全さを物語っている.このセミナーでは,以下の二点に集中して,多体摂動論の基礎理論および新規アルゴリズムを紹介する.(1)  1960年にKohnとLuttingerは論文で,多くの教科書に詳述されている有限温度多体摂動論に誤謬があると主張し,波紋を呼んだ.我々は,摂動論の基本定義に立ち返り,各種熱力学ポテンシャルの低次摂動補正を数値計算し,教科書の表式がこれらの正しい結果を再現しないことを確認した.さらに,誤謬の原因を究明し,熱力学ポテンシャルの一次摂動の正しい解析表式を導出した.(2) 分子や固体の電子相関エネルギーや準粒子エネルギーバンドの高精度計算には,多体摂動論が威力を発揮する.しかし,その行列代数に基づくアルゴリズムは,現代のスーパーコンピューターのデザインにそぐわず,非効率なものとなっている.我々は,スケーラブルで無限に計算続行可能かつ簡単に耐障害性な,モンテカルロアルゴリズムを多体摂動論に導入した.

世話人:重田 育照