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ドアン・クアン・ヴァン准教授、IPCC特別報告書『気候変動と都市』に貢献

計算科学センターの研究者であるドアン グアン ヴァン准教授が、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書『気候変動と都市』の主任著者に任命されました。

ドアン准教授は、日本から選ばれた4名の主任著者の一人であり、50カ国から集まった100人の世界的な専門家の一員です。彼は、各国政府や国際機関から提出された1,200件以上の推薦の中から選出され、IPCCによるこの重要な出版物に貢献することになりました。IPCCは気候変動を科学的に評価する国連の機関であり、本報告書は2027年に公開予定で、最新の科学的研究を統合し、都市における気候変動の課題に対する実用的な解決策を提案することを目的としています。

今回、IPCCが都市に特化した報告書を発表するのは初めてのことです。報告書執筆の開始にあたり、主任著者たちは先週(3月10日~14日)、大阪に集まり、報告書の主要な優先課題を策定しました。 「都市は世界の温室効果ガス排出量の70%を占める一方で、世界のGDPの80%を生み出しています」とドアン准教授は述べています。「本報告書は、気候変動に適応できる都市の持続可能な発展のために、各国政府に対して明確で科学的根拠に基づいた戦略を提供することを目的としています。」 さらに、「同時に、本報告書は今後の研究の方向性を決定する上で重要な知識のギャップを特定するのにも役立ちます」と付け加えました。

ドアン准教授は、都市気候モデリングの分野で高い評価を受ける研究者です。彼は、高解像度気候シミュレーションや都市域における極端気候・気象を専門としています。筑波大学計算科学センターの准教授として、物理のモデルとAI技術の統合を推進し、気候研究の発展に貢献しています。

国際的にも、ドアン准教授は主要な気候研究機関と協力しています。彼は、アメリカ気象学会(AMS)の都市環境委員会の委員を務め、世界気象機関(WMO)の下で都市気候予測やAI/ML応用に関する複数の研究プロジェクトを主導しています。彼のIPCC特別報告書への貢献は、都市気候変動の理解を深めることに寄与します。また、気候変動に適応した持続可能な都市を構築するための解決策を開発する上で、計算科学の重要な役割を強調するものとなるでしょう。

Assoc. Prof. Doan (seventh from the left) and Chapter 2 fellow lead authors of the IPCC Special Report.
Assoc. Prof. Doan (second from left) with IPCC Working Group II Co-chair Prof. Winston Chow (fourth from the right) and fellow lead authors of the IPCC Special Report.